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未来を乗り換えた男

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2018     102分 ドイツ/フランス

ナチス・ドイツの迫害を逃れてメキシコに亡命した作家アンナ・ゼーガースが1942年に執筆した『トランジット』を、「東ベルリンから来た女」「あの日のように抱きしめて」のクリスティアン・ペッツォルト監督が現代に置き換えて映画化したサスペンス・ドラマ。台頭するファシズムの中で祖国ドイツを追われた男が、南仏マルセイユで繰り広げるサバイバルの行方を、偶然出会ったミステリアスな美女との皮肉な運命とともにサスペンスフルに描き出す。主演は「ハッピーエンド」のフランツ・ロゴフスキ、共演に「婚約者の友人」のパウラ・ベーア。
 フランス南部の港町マルセイユ。祖国ドイツを追われた青年ゲオルクは、ドイツ軍が迫るパリからも脱出し、ようやくここに辿り着く。ひょんなことから、パリのホテルで自殺した亡命作家ヴァイデルのトランクを預かったゲオルクは、遺品の書類を利用して彼に成りすまし、船でメキシコへ亡命する計画を立てていた。そんな時、必死で夫を捜す美しい女性と出会い、心奪われる。しかし彼女の夫こそ、亡くなったヴァイデルだったのだが…。


allcinemaより


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フランツ・ロゴフスキは今一番気になる俳優。『あの日のように抱きしめて』が大好き(東ベルリン~も好きです)。『婚約者の友人』(オゾン)が大好きで、あのパウラ・ベーアは最高だった。となると見るしかないでしょうやっぱり❗因みに本作はこちらの地域には来なかったと思います。と言うか県内に来たのでしょうか?という感じですが😑

非常に話(設定)が分かりにくい。これはナチが台頭してきたフランスで、レジスタンスだったドイツ人青年がメキシコへ逃亡しようとする「架空の現代」が舞台の話(SF)だと分かっていないと全く話がちんぷんかんぷんになるので、これからご覧になる方はこれを頭の中に入れて御覧ください。それに恋愛と難民問題が加味されます。原作を読んでいると面白さが違うのかもしれませんね。IMDbには映画の代わりに原作を読みましょうというレビューもありましたが。

戦時下の話をSFにしたという着眼点は面白いと思いましたが、彼らがいる世界の設定の説明が無いので、例えば見た感じは普通に現代なのに何故誰もスマホを持っていないのだろう?事務所に響いていた電話の音は普通に現代の電話の音だったけれど。みたいなことが気になってストーリーにイマイチ没頭できないところがありました。そう言えば『あの日のように~』の設定もエキセントリックだったな。要するに整形してしまった妻に夫が妻本人だと全く気づかず偽装結婚で夫婦を演じるという話だけれど、普通顔が変わっても一緒に暮らした人が分からないとは考えられない。エキセントリックなシチュエーションが好きなんですねこの監督。
でも港町マルセイユの雰囲気や、ゲオルクとマリーを見ているだけで素敵で(カフェでの抱擁シーンが素敵だ😢💘)満足してしまったというものはありました。マルセイユで友達になったアフリカ人難民母子、特に男の子とゲオルクとのやりとりが良かった。ファシズムの台頭で行き場を失った人々の魂のうつろいも印象的。特に犬を連れた女の人。しかしナチの台頭の描写の迫力が無く、そこは中途半端な感じだった。

これを見て私は『あなたはまだ帰ってこない』を思い出しました。こちらはデュラスの自伝的小説の映画化で実話です。

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ナチ占領下のパリが舞台です。人間関係が似ているんですよね。デュラスはゲシュタポに連れていかれた夫の帰りを待っているんだけれども、デュラスには別に恋人がいて(マリーも同じ)実は夫のことは愛していない。でもずっと再会を待っている(マリーも同じ)。そこに第3の男が現れるところも同じ。何とも言えない余韻が残るところも同じ。事実とSFですけれども。

マリーが言う「捨てられた者と捨てた者どちらが先に忘れる?」は分かりやすくて印象的な台詞でした。マリーは夫を捨てたつもりが捨てられたと思い夫を捜しまわる。
「あなたはまだ~」の結末は言いませんが、マルグリットの最後の台詞が意味深で強烈でした。先のマリーの台詞はデュラスなら言わない台詞ですね(という気がします)。マリーは根底はシンプルな人だったのではないかと思いました。

本作はやっぱり戦時下の話にした方が分かりやすかったと思いました。そうではないところがポイントなのでしょうが、やはり中途半端な感じが残ります。でも主演の二人が好きだし、カフェのマスターによる味わい深いナレーション、ゲオルクが電車の中で読んだマリーの手紙(支離滅裂だけれど達筆)、大使館の窓越しに見るカフェで腕を組んだ少年と溶けたアイスクリーム、壊れたラジオなどノスタルジックな印象が残るシーンが多く、基本的に雰囲気が好きなので見て良かったです。

★★★★★★



コメント

ラティファさん

こんにちは👋😃

もう立秋過ぎましたが暑いですね💦

主演の二人がとても素敵なのでうっとりしました。
現代の設定が残念でしたね。

ポニョちゃん軽い脱水状態だったらしいです。可哀そうに😢
今は牧場にいるらしいですが、このまま牧場にいてほしいです。
飼い主の管理状況があまり良くないらしいので。
動物を飼うってそんなに簡単なことじゃないし、捕獲したヤギ牧場の方が言ってましたが。今はヤギブームで飼ってる人が多いけど食べ物など管理が難しいらしいのでやっぱり素人が飼う動物ではないと思います。

No title

kamieruさん、こんにちは!
わー、これ懐かしいです。
愛ある感想ですね^^
私は、期待が大きかったのか、、、なんだか乗り切れませんでした。

PS ポニョ無事確保できたみたいで良かったですね。
以前より、こちらで取り上げられていて(割とお近くなのですね)気になっていたのです。

ひささん

架空の現代という設定への違和感を取り除けないと楽しめない作品でしょうね。
私は二人を見ているだけで結構満足してしまいましたが、戦時下の設定であればもっと感動できたでしょうね。
原作には興味があります。

こんにちは

監督に惹かれて鑑賞しました。第二次世界大戦下の物語とばかり思っていたので戸惑いました。
その戸惑いが最後まで残ってあまり楽しめませんでした。
たしかに原作のほうが面白いかもしれませんね。

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三匹のにゃんずと地味に暮らしています。
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