2014 165分 アメリカ
「スクール・オブ・ロック」「ビフォア・ミッドナイト」のリチャード・リンクレイター監督が、オーディションで選ばれた6歳の少年エラー・コルトレーンを主演に据え、彼の12年間の成長と家族の変遷の物語を、劇映画でありながら実際に12年間をかけて撮影するという画期的かつ大胆な手法で描き出し、登場人物に刻まれるリアルかつ自然な時の流れまでをも鮮やかにフィルムに焼き付けた感動の家族ドラマ。共演は両親役にパトリシア・アークエットとイーサン・ホーク、姉役で監督の実の娘ローレライ・リンクレイター。
テキサスの田舎町に住む6歳の少年メイソンは、母のオリヴィアと姉サマンサとの3人暮らし。父親のメイソン・シニアは離婚してアラスカに放浪の旅に出てしまった。シングルマザーとなったオリヴィアは、キャリアアップを目指して大学への入学を決意し、メイソンとサマンサを連れてヒューストンに移り住む。そこで多感な思春期を送り始めたメイソンは、やがて母の再婚や風来坊の父との交流、そして初恋と、様々な経験を重ねていくが…。
allcinemaより
いつもの様にwowowで見たのですが事前に解説や映像が沢山流れるのでそれらを必死で何も見ない様に、聞かないようにして見ました。知っていたのは「アッと驚く内容(らしい)」ということだけです。(12年かけて撮影されたというのも知らなかった。)リチャード・リンクレイター作品ということさへ知らなかった(^^;)(だからイーサン・ホークなのね💡)オスカーは毎年見ているのでパトリシア・アークエットが受賞してスピーチしたのは覚えているがそれがこの作品というのもうろ覚え(^^;)
見初めて少年が成長し始めた最初の方のシーンであれっ!?(@@;)と思い、なるほどそういうことなのかと。以降は慣れました(笑)
一言で言うとよく完成したなと。これって途中で俳優や監督に何かあったら完成しない訳ですよね。とりあえず完成して世に出て良かったなと。
この作品を見て一番思ったことは特にオチが無いんだなと。起承転結がある作品ではない訳です。つまりタイトルのまんま一人の男の子の少年時代を追った只それだけの内容。とは言っても12年間だし生きてるから色々ある訳ですが特にドラマチックなことはないという。なので人によって好みが分かれるかもしれませんね。つまらないと思う人もいるでしょうね。私は最初の方だけ可も不可も無いという印象でしたがそれ以降は飽きずに見れました。役者が良かったと思います。男の子とお姉ちゃん。パパとママ。この4人を見てるだけで十分面白かったです。
私はアメリカに住んだことは無いですがメイソンの少年時代は今のアメリカの典型的な家庭の一つではないのかなと思いました。お父さんがアルコール中毒だったりモラハラだったのは可哀想だったけれど両親が離婚、再婚をしている人はとても多いと思います。昔からアメリカ人と話すと普通にmy stepdad(mom) (stepfather stepmother 継父 継母)という言葉が出てくるのでそれを実感していました。
メイソンの場合は両親が子供たちをとても愛しているところが救われましたね。
お父さん(メイソン シニア)が子供たちとドライブ中に車を停めて「会話をしよう。」と言うところや子供たちと遊んでいる時にハイテンションすぎるところがうざいと言えばうざいけどいいお父さんだなと思う。思いっきり抵抗感を示している子供たちに性教育の話を続けるシーンもね(^^;)。なんか憎めないですよね。ママも向上心のある人で大学に戻り教壇に立つようになったのもとても立派。世の中にはもっと悲惨な家庭環境の子たちがたくさんいて例えばチョコレート・ドーナツのマルコのお母さん(ドラッグ中毒)の様に全く親としての役目を果たせない人が本当に沢山いるからメイソンとサマンサは親の事情で苦労もしたけど根底に確かな両親の愛があるからそこはとても幸せで良かった。
個人的に一番分かるなぁと思ったのはママがメイソンの巣立ちの日に見せた表情。私も息子の母なので自分の経験を思い出しました。時間って本当に早く過ぎてしまうんですよね。育てている時は大変なことばかりなんだけれど過ぎてしまうと長い年月も一瞬に感じます。
この作品の言わんとしているところはラストの女の子の台詞に凝縮されているのかなと。人生のどの瞬間にも無駄はないということだと思います。
ストーリーとはあまり関係ないのですが個人的にツボだったのはチャーリー・セクストンが出ていたことですね(@_@。💘メイソン・シニアの昔の音楽仲間で出ていました
このハンサムな顔と低いセクシーボイスはもしやチャーリー・セクストンではないのか!?と思ったら本人でした。さすが音楽通(と思われる)リチャード・リンクレイター。美味しいところを持ってきますね💓て言うかテキサス出身の人なのでそれで出ていたのかなと思いましたが。でもどうせならもう少しライブシーンを入れてほしかったですね。折角ライブハウスのシーンがあるのだからあと数秒でいいので弾いて歌っているところを入れてほしかったなぁ。これからというところで終わっちゃったので残念!!m(__)m 蛇足ですが昔(1990頃?)この人を間近で見たことがあります。しかもセバスチャン・バックとの2ショット。二人とも長身、長足、イケメンで同じ人間とは思えぬ美しさでこの世にはスーパーカッコいい人がいますねと思った瞬間でしたね。(笑)今はバズは老けたなぁと思うけどチャーリー・セクストンは今も渋め系ろけんろーらーという感じでカッコいいですね。劇中でメイソン シニアが「ジミー(チャーリーの役名)は今もモテる。」という台詞があったけどそりゃモテるわあなた!!(笑)映画カテじゃなくてrockカテの様な話になってしまいましたが😅
サントラも良かったですね。特にバンド・オン・ザ・ランのシーンが印象に残っています。イーサン・ホークが車の中でブラック・アルバムについて語るシーンではビートルズが聞きたくなりますね😊♪メイソンはポールがいいと言っていたっけ。
12年間の時の流れの中の世相も面白かったですね。小さい頃はメイソンの布団カバーが日本の某有名アニメキャラだった。ハリーポッターフィーバーも微笑ましかった^^サマンサの髪形はあまり変わらないけれどメイソンのがくるくる変わるのも面白かった。横暴な丸刈りは絶対許せないけど(怒)
でも人の顔って変わるんですね。サマンサは基本変わってないと思うけどメイソンは小さい頃のイメージと違いますね。
本編が終わった後画面に現れたこれを見た時に、そうだったのか!と思うと同時に何となく納得しました。
この人の作品て遊び心や皮肉も散りばめてあるけど根底に生真面目さみたいなものを感じます。今作もそう感じたからです。私は好きです。でもこの作品を傑作かと思うかと訊かれれば私はそうは思わないけれど見て良かったと思います。
少年の巣立ちまでの長い物語と言えば『みなさん、さようなら』(2012)を思い出します。あれは12歳から30歳までなので追っている年代が違いますが実に18年間です。こちらは大人の俳優さんが12歳から30歳までを演じているので子供の頃のシーンでは流石に違和感があったし(18年間を演じる俳優さんはとても大変だったと思うし凄いと思ったけど!!)制作時間もBoyhoodよりはるかに短いと思いますが私的にはこちらの方が深いと思いました。というのはトラウマを克服するというドラマがあるのとこちらは典型的な母一人子一人で他の身内は一切出て来ない。しかもずっと一ヵ所でのお話。つまり非常に狭い世界で生きている少年が長い長い時間をかけて違う世界に出て行く経緯を丹念に描いているという分かり易い内容だったからですね。Boyhoodも成長して巣立っていくというところは同じじゃんと言われそうだけどBoyhoodの方は只成長を追っただけという感が否めない。エンディングも、あ、これで終わりなのねという感じで特に感動が無い。(みなさん、~はとても感動した。)そういう作品なのだと思うしそこがいいという人もいるのでしょうけれど。
TV(BS)にて
★★★★★☆