おそめ 石井妙子
- 2016/06/23
- 12:27
裏表紙より。
川口松太郎の小説「夜の蝶」のモデルになった伝説の銀座マダム上羽秀さん(1923ー2012)の生涯です。
いやー面白かったなぁ(@o@)こんな面白い本は久しぶりに読みましたね。あまりにも面白くて二日で読んでしまいました。
「ツルゲーネフの兄弟」と「かの子繚乱」は挫折中で一向に読了できそうもない私ではございますが(苦笑。いつか読了したい。)
まぁしかしこれよく出版できたなと思いました。というのは内容がノンフィクションでとても赤裸々なので、登場する人々は故人も多いとは言え、それでも複雑な家族関係や不倫関係などが世間に公表される訳なので関係者にはかなり抵抗があったと思うからです。事実関係者から出版に反対の声もあったと書かれています。私ももし秀さん及びここに登場する人の関係者だったなら出版に抵抗があったと思いますね。
そういう意味でノンフィクションを書いて世に出すということは書く側もある意味命懸けだなと思いました。
内容ですが。とにかく全てがドラマチック❗❗(@_@)生い立ちからしてドラマチックなのですがそれ以降もずっとドラマチック。「こういうことって映画か小説の中でしか有り得ないよね。」ということが続いていくのです。例えば所帯を持った人(内縁の夫)には別に家庭があった。それを知ったのは二人の間に子供が生まれてしばらくしてからだった。ここまでならよくある話かもしれない。夫はろくに働かず殆どヒモだった。ここまでもよくある話かもしれない。ところがその後夫は下積み経験さへ無いままに映画界に進出し、プロデューサーになり数々のヒット作を生み出し大成功。夫の娘(正妻との間に生まれた)も大女優になった。その女優さんは素晴らしい美人でその後梨園の妻に。その娘も今大女優。
こういう映画や小説の中でしか有り得ないようなことがノンフィクションとして書かれているのですからそれはもう面白すぎて読むのをやめられない止まらないでした、はい❗
とにかく全体の人脈図が凄いし色々起こったことも全てが映画のよう(@_@)
銀座の夜の歴史に関しては全く知らないのでそれも面白かったし勉強になった。因みに銀座のママと聞いて思い浮かぶのは田村順子と山口洋子位。山口洋子は本書に出てきました。山口洋子がおそめさんを偶然初めて見かけた時あまりの美しさに見とれた(「博多人形のようだった。」)というエピソードが印象的。
昔銀座のバーの前身はカフェだった。昭和30年代はまだ洋酒は輸入制限があり、闇ルートで入手するのが普通だった。個人経営の店が主だったところに企業資本が参入し、低料金や指名制度が定着してきたのは昭和35年以降。その頃から客層も変わってきた、等々。
先日読んだ「おひとりさま 荷風」(高山修一)にも永井荷風が昭和20年代に闇市で買ったものの家計簿が出ていてとても興味深かったのですが、こういう自分が知らない時代(世界)の資料はとても面白いしワクワクしますね。
おそめさんが活躍した時代のことは知りませんが、まだ比較的最近山口洋子さんが鬼籍に入られたというニュースを聞いた時に、この時代の銀座の灯は完全に消えたのかなあなんて思いました。横浜黄昏銀座黄昏😢あの人は行って(逝って)しまった。もう帰らない🙇
この本を読んで改めて思ったことは人生は好きな仕事をできるのが一番幸せだということ。昨日美容院に行ったのだけれどそこのオーナーが、仕事は好きではない。生活の為にやっている。できれば違う仕事が良かった。と言っていました。おそめさんは子供の頃から芸妓になりたいと言っていて実際になった。お座敷は辛いことも多々あったが大好きだったし天職だった。店を出してからも一貫して「店に出ている時が一番幸せ。」と言っていたそうです。
水商売をやっている人でも本当はお酒はそんなに好きではないという人もいる様ですが(おそめさんのライバルだったエスポワールの川辺るみ子さんはそうだったらしい。)おそめさんは生来お酒が好きで店を畳んでからもお酒は呑んでいた様です。隠居をしていた晩年も「店をやりたい。」と言っていたそうです。
家庭や男性では苦労も多かった様でしたが好きな仕事を貫いたというだけでも(紆余曲折はあったが好きな人とも添い遂げたし)とても成功した(幸せな)人生だったにちがいないと思いました。
とても素晴らしいノンフィクションでお勧めです
いやー面白かったなぁ(@o@)こんな面白い本は久しぶりに読みましたね。あまりにも面白くて二日で読んでしまいました。
「ツルゲーネフの兄弟」と「かの子繚乱」は挫折中で一向に読了できそうもない私ではございますが(苦笑。いつか読了したい。)
まぁしかしこれよく出版できたなと思いました。というのは内容がノンフィクションでとても赤裸々なので、登場する人々は故人も多いとは言え、それでも複雑な家族関係や不倫関係などが世間に公表される訳なので関係者にはかなり抵抗があったと思うからです。事実関係者から出版に反対の声もあったと書かれています。私ももし秀さん及びここに登場する人の関係者だったなら出版に抵抗があったと思いますね。
そういう意味でノンフィクションを書いて世に出すということは書く側もある意味命懸けだなと思いました。
内容ですが。とにかく全てがドラマチック❗❗(@_@)生い立ちからしてドラマチックなのですがそれ以降もずっとドラマチック。「こういうことって映画か小説の中でしか有り得ないよね。」ということが続いていくのです。例えば所帯を持った人(内縁の夫)には別に家庭があった。それを知ったのは二人の間に子供が生まれてしばらくしてからだった。ここまでならよくある話かもしれない。夫はろくに働かず殆どヒモだった。ここまでもよくある話かもしれない。ところがその後夫は下積み経験さへ無いままに映画界に進出し、プロデューサーになり数々のヒット作を生み出し大成功。夫の娘(正妻との間に生まれた)も大女優になった。その女優さんは素晴らしい美人でその後梨園の妻に。その娘も今大女優。
こういう映画や小説の中でしか有り得ないようなことがノンフィクションとして書かれているのですからそれはもう面白すぎて読むのをやめられない止まらないでした、はい❗
とにかく全体の人脈図が凄いし色々起こったことも全てが映画のよう(@_@)
銀座の夜の歴史に関しては全く知らないのでそれも面白かったし勉強になった。因みに銀座のママと聞いて思い浮かぶのは田村順子と山口洋子位。山口洋子は本書に出てきました。山口洋子がおそめさんを偶然初めて見かけた時あまりの美しさに見とれた(「博多人形のようだった。」)というエピソードが印象的。
昔銀座のバーの前身はカフェだった。昭和30年代はまだ洋酒は輸入制限があり、闇ルートで入手するのが普通だった。個人経営の店が主だったところに企業資本が参入し、低料金や指名制度が定着してきたのは昭和35年以降。その頃から客層も変わってきた、等々。
先日読んだ「おひとりさま 荷風」(高山修一)にも永井荷風が昭和20年代に闇市で買ったものの家計簿が出ていてとても興味深かったのですが、こういう自分が知らない時代(世界)の資料はとても面白いしワクワクしますね。
おそめさんが活躍した時代のことは知りませんが、まだ比較的最近山口洋子さんが鬼籍に入られたというニュースを聞いた時に、この時代の銀座の灯は完全に消えたのかなあなんて思いました。横浜黄昏銀座黄昏😢あの人は行って(逝って)しまった。もう帰らない🙇
この本を読んで改めて思ったことは人生は好きな仕事をできるのが一番幸せだということ。昨日美容院に行ったのだけれどそこのオーナーが、仕事は好きではない。生活の為にやっている。できれば違う仕事が良かった。と言っていました。おそめさんは子供の頃から芸妓になりたいと言っていて実際になった。お座敷は辛いことも多々あったが大好きだったし天職だった。店を出してからも一貫して「店に出ている時が一番幸せ。」と言っていたそうです。
水商売をやっている人でも本当はお酒はそんなに好きではないという人もいる様ですが(おそめさんのライバルだったエスポワールの川辺るみ子さんはそうだったらしい。)おそめさんは生来お酒が好きで店を畳んでからもお酒は呑んでいた様です。隠居をしていた晩年も「店をやりたい。」と言っていたそうです。
家庭や男性では苦労も多かった様でしたが好きな仕事を貫いたというだけでも(紆余曲折はあったが好きな人とも添い遂げたし)とても成功した(幸せな)人生だったにちがいないと思いました。
とても素晴らしいノンフィクションでお勧めです

満足度
★★★★★★★★★