孤独な聾唖の青年と、平凡な女子高生の静かな心の交流を描いた傑作で、ベストセラー『愛は寂しい狩人』の映画化作品。後にクリント・イーストウッド作品の常連となったS・ロックのデビュー作でもある。知的で優しさにあふれながらも聾唖ゆえに社会の片隅でひっそりと生きる青年が、間借りした家の長女に恋をし生きる希望を見い出していく。が、少女はその気持ちを受け入れるには精神的に未熟すぎ、やがて二人の心のすれ違いは残酷な結末を迎えてしまう。孤独の淵をのぞき込み、絶望に打ちひしがれるナイーブな青年を演じたA・アーキンが素晴らしい。夏から秋への季節の移り変わりをとらえた撮影も見事。
アラン・アーキン演じるジョン・シンガーは話せず耳も聞こえない青年です。私は今まで俳優が障害のある人の役を演じたもので心から感動し、かつ何て凄い俳優なんだろうと思ったのはダニエル・デイ・ルイスの『マイ・レフトフット』しか無いのですが今作はそれ以来の大感動でした。アラン・アーキンてこんな名優だったんだと初めて知りました💦
ジョンは発達障害のあるアントナパウロスと暮らしていて二人は大親友。因みに彼らは手話で会話をします。ジョンがどれだけアントナパウロスを大事に思っているかは彼の一挙手一投足に表れている。でもアントナパウロスの親戚が彼を施設に入れると決めてしまった。見送りの時ジョンはアントナパウロスを乗せたバスを追いかけて走った。バスが遠くなってもジョンの手は親友に話しかけていた。とても切ないシーンだった(T_T) 前から興味はあるのだけれど二人を見ていて手話が理解できたらいいなあと思った。(手話の部分は字幕が出ない。)
ジョンはアントナパウロスのいる施設がある街へ引っ越す決心をし、一軒家の一部屋を間借りすることに。そこで出逢ったのがその家の長女ミック。ミックは初めジョンをよく思っていなかったが自分を理解してくれるジョンに徐々に心を開き二人の心は通っていく。ミックも家庭の事情で学校をやめなければならなくなったりと悩みを抱えていた。二人はお互いの中に孤独を見たことから心が通った。
因みに上の解説にジョンがミックに恋をしたと書いてあるけれど私はそうは思わず、ジョンは彼女を妹の様に思っていたのだと思う。(彼女はまだ14歳の設定らしかったし。)でもジョンにとってミックは彼の孤独な人生に光を与えてくれた存在だったのだと思う。
ジョンと酔っぱらいの流れ者ジェイク、黒人の医師コープランドとの出逢い、彼らと友人になっていく過程も素晴らしい。
ミックの家でのパーティーの様子も素敵。リボンやアジアっぽい提灯で家を飾り、如何にも時代を感じる少年少女たちのファッション、ダンスの振り付けも楽しい。ミックは自分で染めた淡い色のワンピースを着て髪をアップにしていて可愛かった。一緒に踊る友達のお兄さんも長身のイケメン♥ミックのママもパールのネックレスをしてお洒落していた✨
ジョンはミックのいでたちを見て可愛いと一言言う(声は出ていない)。いつも筆談か身振り手振りで会話していた彼が唯一口を開いた瞬間。ミックはその言葉に顔をほころばせる。とても素晴らしい演出だった(:_;)
今作の結末にはとても驚いた(@_@。
これの前に見た『くちづけ』と同じ時代の作品です。主人公が孤独と共に生きているところも同じ。でもくちづけの主人公プーキーとジョンは丁度対照的な性格。プーキーはエキセントリックな言動で周りを振り回す。彼女は苦しんでいるのだけれど傍からすればとても迷惑な存在。ジョンはその反対で周りの人すべてに真摯に向きあい赤の他人でも困っている人を見ると放っておけない。そんな彼に人々は心を開く。
でも自分の孤独は誰かと分かち合えなかった。。。ところに胸が引き裂かれる
m(__)m
プーキーは泣いたり叫んだりできるだけまだ幸せだったと思った。
ヒューマンドラマが主食の方は必ず、それ以外の全ての方にも見て頂きたいとても素晴らしい作品です。
サントラがデイヴ・グルーシンのところもポイントです。
アラン・アーキンは今作でオスカー(主演男優賞)にノミネートされましたが受賞したのは『夜の大捜査線』のロッド・スタイガーでした。夜の大捜査線も面白いし素晴らしいですが私がアカデミー会員ならアラン・アーキンに一票入れました!
因みに最新DVDのカバーはこれらしいのですが
主役はアラン・アーキンなのでこのカバーは納得いきません。
しかもこの写真のソンドラ・ロックは記憶にないのですが。
意味が分かりません。
TV(CS)にて
★★★★★★★★★★