2015 95分 イギリス
「愛の嵐」「スイミング・プール」のシャーロット・ランプリングと「長距離ランナーの孤独」「ドレッサー」のトム・コートネイの共演で贈る辛口の夫婦ドラマ。今は亡き夫のかつての恋人の存在が突然浮かび上がってきたことで、思いがけず心をかき乱される妻の葛藤と、亀裂が生まれた夫婦の愛の行方を繊細なタッチで描き出す。監督は、これが長編3作目のアンドリュー・ヘイ。
イギリスの片田舎で穏やかな毎日を送る老夫婦のジェフとケイト。5日後に結婚45周年の記念パーティを控える中、スイスの警察から1通の手紙が届く。それは、50年前にジェフと登山中にクレパスに転落して亡くなった当時の恋人カチャの遺体が、昔のままの状態で発見されたことを知らせるものだった。以来、ジェフはカチャへの愛の記憶に浸っていく。最初は自分と出会う前の話と平静を装っていたケイトも、“彼女と結婚するつもりだった”と悪びれることなく口にする夫に次第に不信感を募らせ、いつしかそれはこれまで積み重ねてきた45年間の結婚生活にも向けられていくのだったが…。
allcinemaより
☆プチネタバレあり☆
厳しい内容ですがよく分かるなぁと思いました。所詮夫婦は他人なので完全に一つになることはできないでしょう。もしそうではない夫婦がいたならそれは本当に稀有で幸福な例でしょう。ケイトにとって結婚45周年でそのパーティーも控えているというタイミングでこういうことが起こったのはとても不幸でしたが、それも運命だったのでしょうね。ジェフは正直と言えばそうなのでしょうがいささか(かなり)無神経かもしれません。45年経った今でも「僕のカチャ」なんて臆面も無く言うのですからケイトは面白くないでしょう。夜中に物置部屋で昔の写真を探したりしてケイトの心を掻き乱すのも甚だ無神経。そしてその昔の思い出の証の中からケイトは思わぬ秘密を知ってしまう。これ全てジェフが無神経だからこそ。昔のものは処分しておくべき。もし処分したくなくても絶対に妻の目に触れぬ様にしておくべき。本当に男って馬鹿ですね(-"-)(あ、ジェフがですね)。だってケイトが見たものはあまりにも衝撃が大きかったから。
物語最後のケイトのとった行動と表情に全てが象徴されているのですが、これはこの二人がおしどり夫婦だったことの裏返しな訳で、そこに不幸感が溢れますね💔でも今更どうにもならないしこれからも何も無かった様にやっていくしかないと思いますが、そこが人生の厄介なところですね。彼女の気持ちは「私たちの45年間は何だったの?」というところだと思います。それでも十分幸せな二人とは思いますが、人生って厄介だなと思った作品でした。
この様な内容の人生相談をネットで時々見ると「死んだ人にはかなわない。」という言葉をよく目にします。故人にはいい思い出しか残っていないから生きている人はかなわないと。でもそれでは元も子もありません。ジェフはもう二度とカチャのことを言わず、昔のものは処分し、ケイトだけをしっかり見ること。遅いかもしれませんが(爆)。
このブルートーンの風景がとても素敵でした。エンドロールで作品はイギリスのノフォークで撮影されたとありましたが、長閑で緑が多くて広々としていて毎朝ケイトが大型犬を散歩している光景に憧れました。そう言えばシャーロット・ランプリングってイギリス人なんですよね。フランス映画のイメージが強いです。クリスティン・スコット・トーマスもそうなんだけど。
それにしてもシャーロットの眼光は鋭いですね。彼女の瞳を一度見ると千年の魔法にかかった様に決して目をそらせなくなってしまうのです。銀熊賞を初め複数の女優賞受賞も納得です。
TV(BS)にて
★★★★★★