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天守物語(+外科室)/泉鏡花

天守物語』(てんしゅものがたり)は、1917年泉鏡花によって書かれた戯曲文芸誌新小説』に発表された。鏡花は「この戯曲を上演してもらえたら、こちらが費用を負担してもよい」という主旨の発言をしているが、生前には舞台化されなかった。第二次大戦後(1951年)、新派花柳章太郎らによって初演された。
岩波文庫版は澁澤龍彦が解説を執筆しており、同書所収の『夜叉ヶ池』よりこちらを高く評価している。
坂東玉三郎監督・主演、宮沢りえ共演で1995年に映画化されている。
2011年に文化庁芸術祭主催公演として、白井晃演出で舞台化。

あらすじ

ある城の天守閣から、妖しい夫人が地上を高みの見物のように見下ろしている。地方(猪苗代)から亀姫が遊びに来訪したりする。夫人が、地上での鷹狩の最中に不思議な力で鷹を武士らから奪い取ると、若い美男の鷹匠、図書之助が鷹を追って天守閣を上ってくる。恋に落ちる夫人と図書之助。そして事態は思わぬ方向へ……。


from wiki






☆ネタばれあり☆


何も事前知識なく読みました。読み始めてすぐ妙だな~(これって人間の話じゃない?『とおりゃんせ』の歌で幕が開くところからして確かに不気味といえば不気味ですが)
とは思いましたが主人公の城の主富姫が夜叉ヶ池の主のお雪様に頼みごとに行っていたというところでは怪しいなと思いながらもまだ分からず(^_^;)(因みに鏡花著の『夜叉ヶ池』は今読んでる途中です。)あやかしの話なのだということが決定的に分かったのは富姫の元に遊びに来た亀姫のお供の山伏に角があったところ(笑)。それに続く場面の亀姫の富姫へのお土産が生首だった所、その首に着いている血を亀姫のお供の一人の舌長姥(したながうば)が長い舌でぺロペロ舐めて綺麗にするところがげ~と思ったけどそういうキモい場面もユーモラスな台詞で笑えるようにしてあるのは鏡花ならではだな~と

こういう独特の雰囲気って鏡花ならではで『高野聖』でもひる(蛭)が沢山降って来る山道を僧侶が歩いているシーンが凄くキモかったけど反面その狼狽振りが旗から見てると笑えるみたいな
その独特の雰囲気が好きです

鏡花の作品はどれもどれもドラマチックですが(私的にはどの映画よりもドラマチックです。どのシーンもリアルに脳裏に描くことができます。)この作品もとてもドラマチックでした

例えば私が好きだったワンシーン

富姫が夜叉ヶ池に行きお雪様に頼んで嵐になった
その帰り道の描写


>私はね、 群鷺 ( むらさぎ )ヶ 峰 ( みね )の山の 端 ( は )に、 掛稲 ( かけいね )を 楯 ( たて )にして、 戻道 ( もどりみち )で、そっと立って 視 ( なが )めていた。そこには昼の月があって、 雁金 ( かりがね )のように(その水色の袖を 圧 ( おさ )う)その袖に影が映った。影が、結んだ玉ずさのようにも見えた。――夜叉ヶ池のお雪様は、 激 ( はげし )いなかにお 床 ( ゆか )しい、野はその 黒雲 ( くろくも )、 尾上 ( おのえ )は 瑠璃 ( るり )、皆、あの方のお計らい。

(青空文庫より抜粋)

富姫が着物の袖を押さえながら話す様子、昼の月、影、野と峰の色のグラデーションがリンクするところがドラマチックでうっとりします

他にも素敵なシーンが沢山ありました

富姫と図書之助が恋に落ちるシーンもドラマチックでとても素敵です

でもこのお話一つ気になることがありました
結末がちょっとミステリアスで・・・不安定な状態の二人はこの後どうなったのかなというのが気になります・・・



この作品は初めから戯曲として書かれていて冒頭にある様に鏡花の生前には舞台化されなかったということで鏡花は無念だったんじゃないかな~と思いました
でもこれを舞台化するのは難しいと思うのでなかなか形にする人が現れなかったのかな~と・・・

現在この作品は映画、舞台、人形劇、朗読劇、アニメなど様々な形で作品化されている様なので(因みに私はどれも見ていませんが)それを鏡花が見たらどれが好きだったかとかそれぞれの感想を聞きたかったな~と思います















私の富姫のイメージは正にこのお人形のこの感じ!!
きりっとした姉御肌の美女です



因みに一番上の写真は坂東玉三郎さん主演の映画版の天守物語ですが玉三郎さんはもう一つ鏡花作品を監督していまして(映画)それが『外科室』(1992)です
(この作品は監督しただけで出演はしていません)











何を隠そう私はこれを見て痛く感動し、鏡花にメロメロになり以来鏡花作品を読むようになりました

この映画は吉永小百合さん(伯爵夫人)、加藤正也さん(外科医師高峰)という配役が素晴らしかったです(高峰の友人役が中井喜一さんなのも良かった)

原作の外科室は短編ですがいつ読んでも胸が一杯になりどうしても涙が出てしまいます
こんなに劇的で美しく悲しい話は他に無いな~といつも思います










コメント

No title

りゅうちゃん


物の怪を演じるのは難しいだろうなぁと思いますがトワイライトやぼくのエリを見ても普遍的なテーマなんだと思います
(^-^)v
まぁ鏡花にかかると一層鮮やかですが

No title

かっちゃん


言葉が今のと全然違うのが大変だけどるび付きで読めば何とかなります
(^^;)


はい、その通り!!
富姫が「ここは人間の来る所じゃない
」と申しております
(^^;)


江戸川乱歩も少ししか読んだこと無いんですよね
父の看病の合間に読んでたんで思い出すとちょっと悲しいです
m(_ _)m

No title

なおさん


一応核心部分のネタバレは避けました
(^^;)


鏡花は多作なんですよね
語れる程は全然こなしてませんが私が読んだのはどれも好きでした
外科室は短編なのですぐ読めます
(中身は濃いと思いますが)

天守物語も私は分かりやすかったです

オカルトでなければ婦系図も良かったです

No title

何れの写真も美しくて見入ってしまいました。

アニメで見たことありましたが、人が演じるものも、また違った美しさが表現されていいだろうな~~って思いました♪

No title

う~~ん・・ムズイ・・(-_-;)

確かに、とうりゃんせ・・・・。

行きは、よいよい、帰りは怖い・・・。

「魔界」?への、入口?

残念ながら、僕は
全く見ていませんが、
こう言う、「不思議」物
好きデス。

「江古川乱歩」の小説にも
「精神的」に近いのが、ありますね・。(゚д゚)(。_。)

No title

ネタバレのところはささっと読み流しました(笑)
泉鏡花は読んだことないんですよ~。でもなんか好き系な感じがしました。
最初に読むとしたら天守物語でOKでしょうか。

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三匹のにゃんずと地味に暮らしています。
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