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マンマ・ローマ






1962    106分  イタリア


美しく成長した息子エットレを引き取った、元売春婦のマンマ・ローマは、市場の屋台で乏しい収入を得ながら、息子を上流階級の仲間入りさせることを夢見ている。彼女の悩みは、年上の子持ち女ブルーナにエットレが堕落させられることだ。彼女は策を弄し、売春婦仲間に頼んで、ブルーナと手を切らせ、さらに教会で見かけたレストラン経営者の弱みを握って、エットレをウェイターとして働かせることに成功した。しかし、幸福は長く続かない。彼女のヒモだったカルミネが彼女に売春婦に戻るよう脅しをかけてきたのだ。息子に過去をばらすと言われ、仕方なくマンマ・ローマは再び街に出るようになった。一方、エットレは仕事もやめてしまい...


映画.comより











ピエル・パオロ・パゾリーニ初期の傑作だそうです。
一言で言って本当に悲しい話でした。母と息子の話で、お母さんは本当に息子のことを愛していて、息子を立派に育てることだけが生き甲斐。母子の関係も理想的ではないが、悪くはない。息子は根は悪い子ではないと思うが、愛情無くして一人で生きてきたからか、人生の指針というものを持てず、向上心が無い。マンマ・ローマ(母)も不幸な生い立ちの様で、生きていく為に娼婦にならざるを得なかった様です(詳しい生い立ちは分からなかったが)。
全ての不幸の根源は結局貧困なのだと思うと、とても虚しい気持ちになります。息子は母と離れていた間どうしていたのかも不明。いつも彼の傍にいて気にかけてくれる人がいれば不良にならなかったのではないかと思うのですが。

息子が病院の窃盗で捕まってからの扱いが酷くて信じられなかった。熱があったのに治療もされず、拘束台に縛られて一人で放置されるシーンに驚愕。あんなの今では有り得ない。もしあったら国際的大問題。あの時代は実際ああいうことがあったのだろうかと思ってしまいました。イタリアじゃないけど(クレタ島)『その男ゾルバ』で村の美しい未亡人が村人が見ている中で、村の男にリンチの様に殺されたり、村のホテルを経営していた女性が亡くなると、すぐに村人が女性の家に押し寄せて、家にあるものを根こそぎ持っていく場面に衝撃を受けた。ああいう風習がうん十年前にはあったのかと。この映画の時代設定はいつなのか、はっきりわからないけれど、原作小説の出版は1946年なので70年前(>主人公アレクシス・ゾルバは実在の鉱山労働者ヨルゴス・ゾルバス 1867年 - 1942年をモデルとしている。wikiより。これは舞台が島なので、風土色がより強いのかと思いますが。)『マンマ・ローマ』は1962の作品なので55年前。百年前までいかなくとも、うん十年前まで「こんなに(現代では)信じられないことがあったんだ

」と映画や小説で思うことが沢山あります(どこまで真実かは分かりませんが)。

エットレ(息子)が小さい頃から病弱だったという役柄でしたが、童顔でとても可愛い顔をしていて、いかにもひ弱そうな感じでした。因みにこの俳優さん(
本名もエットレ)は53歳の若さで亡くなっていました。残念m(__)m

上のイラストの画像は母子が新居に越してきて、二人の新たな門出を祝うかの様に、タンゴを踊っている図です。このシーンが束の間の幸福という感じでとても良かった。そこに元ヒモの男が訪ねてくるところが、すでに波乱を予感させました


マンマ・ローマを演じたアンニャ・マニャーニは、以前ヴィスコンティの『べリッシマ』で見たことがあり、偶然にもこれも我が子(こちらは女の子)に情熱を注いでいる母親の役でした。でもべリッシマは全然こんなに悲しい話ではなく、マンマ・ローマの様な圧倒的な存在感という印象もありませんでした。今作の彼女はとても強烈です。

全体的に不幸な話で、マンマ・ローマが神父に相談をしても救われなかったりしたのですが、彼女がある時悲しみに打ちひしがれ、走り出した場面で、周りにいた人々が彼女を追ってきて慰めたのは唯一の救いを感じました(↑真ん中の画像)。


1962年当時のローマの風景も印象的でした。エットレたちが、小綺麗な外観の集合住宅が並ぶ街並みの脇にある空き地でよく遊んでいたのですが、その空き地に遺跡と思われるものが複数あるのが、流石イタリアだなぁと思いました。


TV(CS)にて
★★★★★★




コメント

No title

ふくさん

私は何でも見るのですが、どっちかと言うとヨーロッパ作品の方が好きかな?と言うか、インディペンデント系が好きなんですよね。でもハリウッド作品も見ますよ☺
あんまり何も考えずに見てます。

No title

お早うございます🙌

今年、ブログを始めるまで、ヨーロッパ映画はあまり観ていなかったんです
紹介頂いている映画は面白いよりも惹かれる作品がたくさんあります
この映画もまだ観ていませんが、辛いストーリーみたいですが、探しますね
いつもたくさんのナイス、ありがとうございます(*´ω`*)

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kamieru

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三匹のにゃんずと地味に暮らしています。
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