ある夜自転車で走っている男性が車に轢かれるという交通事故が起きます。一体何が起きたのかということを少しずつ説明していく映画です。その過程でジョヴァンニとディーノ、カルラの人となり、それぞれの家庭の状況が明かされていきます。
たまたまですが、これの前の記事Smokeもそれぞれ人物の名を冠した章ごとに分かれていましたが、今作も同じ作りでした。
久しぶりに面白い映画を観たなぁと思いました。ストーリーとしては特に斬新でも奇抜でもないし、よくある感じと言えばそうですが、説明の仕方が丁寧でリアルなので説得力があり、思わず引き込まれました。また役者がそれぞれ適材適所でそこも絶妙でした。プライドが高く一般人を見下しているジョヴァンニ。社長夫人でセレブだけれど心が満たされないカルラ。能天気で卑しいディーノ。特にディーノの性根の卑しさにびっくり。
この映画で一番可哀想なのは交通事故に巻き込まれた自転車に乗っていた男性です。しかし登場人物たちは自身の保身ばかりに必死になっている。人間の本性を見た思いですね。この映画のタイトルはそこを皮肉っているのでしょう。一番大切なものは何ですか？と。
でも実際自分がそれぞれの立場になったら、やっぱり自分の立場や家族や大切な人を守るために必死になってしまうのかもしれません。
交通事故がらみということで『
私の、息子』を思い出したり、もう一つタイトルを思い出せないけどやっぱりお金持ちの息子が事故を起こした映画を思い出しました。
でも今作が一番面白かったな。
カルラの恋人役で出ていたルイジ・ロ・カーショ、久しぶりに見ました。アーティスト系の役で出てましたが、カルラに掌返された時の切れ方が笑っちゃうくらい女々しくて、でも人間らしくて最高でしたね。
シリアスなヒューマンドラマがお好きな方にお勧めします。
TV(BS)にて
★★★★★★★★
