80年代のNYアートシーンで時代の寵児となり、わずか27歳の若さでこの世を去った天才画家バスキアの素顔に迫るドキュメンタリー。ニューヨークのストリートでグラフィティを描いていた少年が、やがてウォーホルに見出されて一気にスターダムへと上りつめる一方、突然浴びた強烈なスポットライトに戸惑いを隠せない。そんな天才ならではの栄光と苦悩を本人の貴重なインタビュー映像と関係者の証言で明らかにしていく。from allcinemaバスキアに関してはよく知りませんが数年前に彼の唯一の主演作
『DOWNTOEN 81』を見たことがありました
その時もバスキアの名前くらいしか知りませんでしたが27歳で夭折したと聞いて創作家というのは何故早く逝ってしまう人が多いのだろう。。。バスキアの友人で同時代を生きたキース・へリングもそうだった
他思いつくままに挙げると樋口一葉、小林多喜二、村山槐太、中原中也、
山田かまちetc
大勢いらっしゃいます
私的にはスキナードの1977を思い出しますがm(__)m
何とも無念です
DOWNTOWN81はアパートを追い出されたアーティストの卵(バスキア)が街を彷徨い様々な人たちと交流する中で不思議な体験もするという半リアル、半バーチャルの様な内容でしたが製作当時バスキアは19歳でまだ時代の寵児になる直前だったみたいですが成功前のバスキアは正にホームレス同然の暮らしをしていた様なので正に当時のバスキアそのままの様な等身大の作品だったのではと思いました
(魔法を除けば(^_^;)
私の印象ではフィルムの中の彼も存在感があり絵になる人だったのでもしもう少し健康で生きていればもう少し俳優もやってほしかったと思いました
(その後バスキアは時代の寵児になり飛ぶように絵が売れて多忙を極めていた様なので俳優をしている暇は無かったのかもしれません)
しかしこの作品中でバスキアはNYのダウンタウンを放浪しているのみで正直言うと私には他のシーンの方が印象的でした
特に当時のバンドのライブシーンが沢山出てきたのですがその雰囲気が思いっきりアンダーグラウンドで圧倒されました
そういう意味でこの作品は映画としては特に傑作とかそういうものではないかもしれないけど当時のNYのカルチャーシーンを肌で感じられる貴重な資料ではないかと思います
この作品の元のタイトルがNEW YORK BEAT MOVIEなのですがこのタイトルが作品を象徴していると思います
NY大好きな方は何かを感じられる映画ではないのかと
そして一番よく覚えているのはデボラ・ハリーです
彼女は妖精(魔法使い?)の様な役でスラム街に出没していたと思いましたが正に『掃き溜めに鶴』とはこのことだと思ったのでした
(非常にインパクトのある鶴ですが☆彡)
因みにバスキアの絵を最初に買ったのもデボラで値段は200ドルだったそうです
バスキアは絵が売れて有頂天になり当時のGFを連れてチャイニーズレストランに行き「何でも好きなもの食べて」と言いGFは「一番高いものでも10ドルくらいの店だったけど嬉しかったわ。」のエピソードが微笑ましかったです(from バスキアのすべて)
『バスキアのすべて』の中に『DOWNTOWN81』の話も出てきてエピソードを聞けてよかったです
数年前DOWNTOWN81を見たときはこの作品は81に撮影を終了したものの資金難により未完成のままフィルムが長らく行方不明になっていたものをバスキアを愛する人たちが捜索しやっと98に発見、2000に完成してようやく陽の目を見た(from allcinema)というヒストリーも全然知らなかったので『バスキアのすべて』を見たことによってそういうことも知れてよかったです
で、感想は『DOWNTOWN81』が完成は遅れたものの撮影当時はリアルタイム(79~81)を背景に作られていたのと半バーチャル的な夢がある内容なのに対し『バスキアのすべて』は生前のバスキアのインタビューやアートを創作中の映像+生前バスキアと親交があった人たちが当時を振り返る証言で構成されていて完全にドキュメンタリーの趣なので必然的にこちらの方は「故人を偲ぶ」感が強くそれが重かったかな~と私は感じました
バスキアの人生も壮絶でしたが証言をする人たちもそれなりに年齢を重ねている訳でそれが容姿や表情にも表れてていて皆ここまで来るににはそれぞれ色々あっただろうなぁとか思ってそういうのもしみじみしました
私は今作で初めてバスキアの作品をまともに見たのですが天才だなと思いました
バスキアの作品は幸福感が溢れるものが無くどれも根底に闇がある印象があります
闇と生命力が同居している様な感じがしました(私のイメージです)
そして凄いエネルギーを感じてとても惹かれました
同時にバスキア自身も素敵な人だったんだなと思いました
下積み時代のスタッフがバスキアが成功してから取り巻きに囲まれている彼が自分を無視したとか女の子にモテモテで沢山女の子を泣かせていたとか(実際複数GFがいた様だしプレイボーイだったのかも))我侭な注文をする人には窓から食べ物を投げつけていたとかetcそういう話も含めて人間らしい人だったみたいでした
特にお折り合いが悪かったらしいお父さんとのエピソードが印象に残っています
(ある日行ったレストランにお父さんも偶然来ていたのを気付いたバスキアがニコニコしながら席をたってお父さんに会いに行ったけどしょんぼりした顔で席に戻ってきた等)
「大晦日にバーで一人で呑んでいた。寂しそうだったけど俺に気付くと人懐こい笑顔を見せた。」という友人の話も悲しかった
凡人には想像もつかないけどアーティストというものは孤独な生き物なんだろうなぁと
成功して苦悩しながらも長生きする人もいるけど苦悩に満ちドラッグに溺れ早く逝ってしまったバスキアはとても人間らしい人だったのだろうと思いました
アーティストとして、一人の人間としてジャン・ミシェル・バスキアという人の魅力を丁寧に伝えている良質のドキュメンタリー作品と思います
一つ気になったのはこの作品で『バスキアのすべて』は描かれていないと思いました
個人的にはもうすこしバスキアの生い立ちと家族とのことを知りたかったなと(少し触れられてはいたけど少なかった)思います
なので原題
JEAN-MICHEL BASQUIAT: THE RADIANT CHILD
の方がやっぱり内容にピッタリだと思います
TV(BS)にて☆☆☆☆☆☆☆☆