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恋文・私の叔父さん 




内容(「BOOK」データベースより)

マニキュアで描いた花吹雪を窓ガラスに残し、部屋を出ていった歳下の夫。それをきっかけに、しっかり者の妻に、初めて心を許せる女友達が出来たが(「恋文」)。

二十一の若さで死んだ、姉の娘。幼い子供を抱いた五枚の写真に遺された、姪から叔父へのメッセージとは(「私の叔父さん」)。

都会の片隅に暮す、大人の男女の様々な“愛のかたち”を描く五篇。直木賞受賞。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

連城/三紀彦 
1948(昭和23)年、愛知県生れ。大学在学中、『変調二人羽織』で「幻影城」新人賞受賞。’81年、『戻り川心中』で日本推理作家協会賞受賞。’84年、『宵待草夜情』で吉川英治文学新人賞受賞、同年、『恋文』で直木賞受賞。’96(平成8)年、『隠れ菊』で柴田錬三郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

Amazonの商品情報より。


作品、著者共に存在を知りませんでしたが、ネットでたまたま知って興味を持ち、Kindleにあったので即購入(ラッキーでした。流石直木賞受賞作。Kindleには無い(電子書籍化されていない)ものも多いので)。

短編が五篇収められています。

『恋文』

上参照。

『紅き唇』

老婆と義理の息子の同居生活のお話。
紅い口紅に秘められた老婆の想いとは。

『十三年目の子守唄』

女手一つで料亭を切り盛りしてきた女将、その息子で三十五歳の俺、俺より四つ年下の義父、俺の腹違いの弟(十三歳)が織り成す人間模様。

『ピエロ』

美容師の妻と無職の夫。夫は献身的に妻をサポートしてくれるが、いつも飄々としている夫に、妻の心には満たされないものがあった。

『私の叔父さん』

上参照。


表題の『恋文』と『私の叔父さん』は映画、ドラマ化されています。



映画 1985年



ドラマ(TBS) 2003年



映画 2012年  



数時間で読了。大変素晴らしかったです。久しぶりに本を読んで泣いてしまいました😭

五編とも素晴らしかったです。どの話も映像が目に浮かんで来ました。

個人的に一番好きだったのは『紅き唇』です。苦労して生きてきてた義母。娘が二人いて片方とは不仲で、もう片方には若くして先立たれた。先立たれた娘の夫(義理の息子)の元に押しかけて同居が始まる。義理の息子もいい人で義母を受け入れる。義母も甲斐甲斐しく義理の息子の世話をする。そんな暮らしの中で、義理の息子は義母の戦時中のエピソードと、そこに秘められた義母の想いを知ることに。そのエピソードが何とも切なく暖かく美しい😢💘。涙がこぼれました。特に蛍の描写がとても美しく、心に残りました。そして義母にとっての、紅の意味するところが泣けます。

因みにこのお話は著者のお母さんの体験が元になっているらしいです。

一番心にグサッと来たのは『ピエロ』です。西川美和の『永い言い訳』を思い出す人も多いのではないでしょうか。所謂髪結いとその亭主の話ですが、このお話の髪結いの亭主は、ピエロの様なキャラクターで、本心が見えないのですね。個人的には、こういう人っているよね、でもこういう人って一番質が悪いっていうか、手に負えないから私は嫌。と思うタイプです。こういう人って、死ぬまで一緒にいても、きっと本心は分からないんだろうなというところが怖い。『永い言い訳』の髪結いの亭主の男性は、人間としては良くなかったけれど、心の内はよく分かった。でも『ピエロ』の方の男は、最後まで何を考えているのか分からず、本当に怖かった。

映画ファンならおそらくルコントの『髪結いの亭主』を思い出すでしょうね。これらの小説とは美容師の妻とその夫(ルコントの映画は妻は確か理容師だったかも)ということと、夫が無職ということ以外は共通点はないですが、結婚生活が突然不幸な形で終わるというところが共通しています。

それにしても髪結いとその亭主というのは、小説や映画の永遠のテーマなのかなと思いました。


『恋文』は夫が余命幾ばく無い元カノの看病をする為に、妻子を残して家を出るという話です。元カノから来た手紙がきっかけとなっています。事態を理解している小学生の子供が、この一件を、母が勤めている出版社の雑誌の人生相談に手紙を書いて送るのですが、その文面が、子供らしいけどリアルでユーモラスで且つ切なくて最高です。
実際にはあり得ない話に思えますが、世間にはこうい話って珍しくない様ですね。

読者レビューで、ドラマのラストの方が良かったというのがあったので、気になって動画サイトで最終回だけ見てみました。私的には絶対小説のラストの方がいいと思います。個人的にはこの小説はラストが一番印象的で、ラストシーンの情景が一番強烈に脳裏に残りました。ドラマの方のそれは如何にも取って付けた感じでした。しかも演技が下手すぎです。是非原作をお読み頂きたいと思います。

『十三年目の子守唄』は男の身勝手さにイラッとする部分はありましたが、ストーリーの軸は「父子」で、そこはとてもよく理解できましたし、ホロッとしました。
このお話はちょっとミステリーの要素があるのですが、元から私は推理の才能が無く、このお話も全くとんちんかんな推理をしており、最後はびっくり😲(+自分のとんちんかん推理にも)でした(笑)

『私の叔父さん』は一番泣けました😢特に残された写真のストーリーは切なすぎ。その五つの連動したシーンがくっきりと脳裏に浮かび、涙がこぼれました。話の内容は一番現実離れしていると思いますが、儘ならないのが恋愛なので、こういう想いもあるだろうなと。
これは正に映画そのものという感じのお話です。

五編とも皆映画の様なお話ですが、『恋文』と『私の叔父さん』は特にセンセーショナルな設定なので、映像化されたのは頷けます。因みに私の好きな『紅き唇』は、映画『紙屋悦子の青春』(2006 主演原田知世)を思い出しました。共に実話ベースの戦時中のお話で、主要人物が三人のところも同じです。紅き唇は女二人、男一人、紙屋~はその逆ですが。紙屋~は若干地味ですが、切ないお話で私は好きでした。

因みにwikiによると、連城三紀彦の作品は、昭和から平成まで絶え間なく(と言って良いと思いますが)映像化されてきている様なので、凄い人なんだなあと思いました。昭和の一時期だけという感じの人も多いので。

作品(本)のレビューを見ていると、映画やドラマを見て原作を読んだという人も少なくなかったですが、私は映像の存在も全く知らなかったので、原作が最初になったのはラッキーでした(いつもは映画を見て原作を読むことが多いですが)。何の先入観も無く読めたので。

今作は名作と思いますし、とても満足して、やっぱり本は素晴らしいと思わせてくれました。純文学系が好きな方にはお勧め致します。

因みに連城三紀彦はミステリーが有名ということなので、ミステリーも読んでみたいと思いました。

コメント

No title

りゅうちゃん

見たのありましたか⁉
何を見たのかにゃ?
感想が聞きたいたいです☺✨

暑いですが、夕方になって過ごしやすくなりました。風が涼しいです😌✨

仙台33度と予報で見たような。。。
体調御留意くださいませ🌷✨🍹✨☺✨

No title

かみえるしゃんの説明文を読んでいて、原作(本)も読んでみたくなりました。
映画は見たものもありました(^-^)

ところで、今日は暑くなってますが、そちらは如何でしょうか?
今夜は蒸しそうな予感です(^^;)

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kamieru

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三匹のにゃんずと地味に暮らしています。
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