本屋大賞にノミネートされた川口俊和の同名ベストセラーをTV「ひよっこ」「ナラタージュ」の有村架純主演で映画化したハートフル・ファンタジー・ドラマ。望んだ過去に戻れる不思議な喫茶店を舞台に、それぞれの事情を抱え、過去に戻りたいと願う登場人物たちが繰り広げる切ない人間模様をオムニバス・タッチで綴る。共演は薬師丸ひろ子、波瑠、吉田羊、松重豊、石田ゆり子。監督は数々のTVドラマを手がけ、本作が映画監督デビューとなる塚原あゆ子。
時田数が働く喫茶店“フニクリフニクラ”には、不思議な都市伝説があった。それは、店内のある席に座ってコーヒーを注文すると、望んだ時間に戻ることができるというもの。ただし、過去に戻っても現実は変わらない、過去に戻れるのはコーヒーが冷めるまでの間で、コーヒーは冷めないうちに飲み干さなければならない、などの細かいルールがあった。そんな噂を聞きつけ、幼なじみとケンカ別れしてしまった独身女性や若年性アルツハイマーの妻と優しいその夫など、店には過去に戻りたいと願う客たちが訪れていた。しかし肝心の席には、いつも同じ女性が座っているのだったが…。
allcinemaより
原作は未読です。普通に楽しめました。あまり涙は出ませんでした。軽めのタイムリープものという印象です。
☆雰囲気ネタバレ注意☆
一番素晴らしかったのは薬師丸さんと重松さんの夫婦のパートです。安定感のある演技が素晴らしく、ストーリーも最も感動的で泣けました😭一番のお勧めです。
数と亮介の純愛が素敵だった。特に年越しの瞬間シーンが好きです(T^T)数はお母さんのことで悲しんだから心の暖かいパートナー(亮介)と巡りあえて良かった。
二美子と五郎のパートも感動は無いけど良かった。二美子はユーミンの『魔法のくすり』そのものです。
さめたふりをして ふいうちをかけて
欲しいものは欲しいと云った方が勝ち
やっぱりアメリカ行かなくちゃでしょ。その行動力があれば人生は変わる。ナイスです👍✨
五郎は二美子と向き合ったが、久美に全く向き合わなかった八絵子には違和感を感じた。折角遠路はるばる会いに来てもろくに話もしない。手紙も全く読まない。理由はどうあれそれって人として駄目でしょ。根は悪くない人だけど人は行動が全てだからね。まあ一番辛いのも八絵子だけど。
数とお母さんのオチは。。。ネタバレになるから言えないけど微妙かなあ。
時田家の女性新世代の一件は面白かったけどちょっと分かりにくかった。幽霊も幽霊に見えなかった。全ての人に見える幽霊というのも不思議だ🙄
一番疑問なのは、過去に行くのに何故こんなに細かいルールがあるのかということ。不自然に感じます。特にこの喫茶店に来たことが無い人はその時点でアウトなのは何故???
先日たまたまたこういう類の小説を聞きました。NHKのラジオ文芸館で。以下内容です。
「帰去来の井戸」
作:光原百合
大学生の由布の伯母、七重が営む雁木亭には不思議な習慣がある。
町を出てゆく馴染み客に「帰去来の井戸」の水をひとくちだけ飲ませるのだ。
そうすれば、この町を出ても必ずもう一度戻ってこられるという。地球の裏側で死んでも、帰去来の井戸の水を飲んだ人間には迎えの舟が出て、雁木にたどり着くことが出来るというのだ。
雁木とは、岸壁から海に向って作られた階段状の構造のことをいう。
潮の干満の差が大きい海岸では雁木のところに舟をつないでおけば、潮が引いて海面がずっと下がっても段を降りて舟のところまで行ける。
不治の病にかかり、店を閉めることになった七重が由布に伝える不思議な伝説と由布が目撃する幻想的な光景とは・・・。
番組オフィシャルウェブサイトより
☆ネタバレ注意☆
共通点が複数ありました。舞台が飲食店で、タイムリープの鍵が飲み物。母と娘、伯母と姪(血縁関係の女性二人)がキーパーソン。戻る時に水を越えていく❗👀
しかし帰去来の井戸の方は細かいルールは全く無く、井戸の水を一口飲むだけで必ず戻って来られる。(ネタバレ注意)しかも故人は自分の好きな年齢の時の姿でやってきて、親しい人に逢いにも行ける。あちらに戻る時も慌てて何かをしなければならないことは無い。船には乗らなきゃならないみたいだけど。でも雁木の方は満月の晩と決まっている様だったので、そこはフニクリフニクラとは違いますね。
コーヒーが冷めないうちには原作を読んでいないのと映像で見たこと、帰去来の井戸は映像無くして原作を「聞いた」という違いはあるけれど、私は帰去来の井戸の方が好きでした。
雁木とそこに繋がれた舟や、「あちら」から来た舟を迎える女将の様子などの描写がとても情緒があったのです。何よりも細かいルールが色々無いのが美しかった。私はそう感じました。。。
これもたまたまなのですが、今霊媒が書いた本(「人生を、もっと幸せにいきるためにー死者からのメッセージ」ジェームズ・ヴァン・プラグ)を読んでいて、霊媒(著者)が行ったセッションの様子(故人とその関係者が霊媒を通して交流を持つ)と、それに纏わる教訓が書かれています。セッションの内容は全てノンフィクションだそうです。それが物凄く壮絶な話が沢山出てきまして、例えば麻薬で亡くした弟に対して深く罪の意識を持ち続けている姉に、セッションで現れた弟が、悲しまないで。僕は前世でもこういう死に方をしたので、それを克服するのが目的の人生だったのだけれど克服できなかった。お姉ちゃん大好きだよ(亡くなったとき彼は昔姉と一緒に撮った写真を一人で見ていた)。とか言うのです。如何に人生というのは厄介なものかということをこれを読んでいると実感します。しかも実話なので壮絶です。なのでこの本を読んでいると『コーヒーが冷めないうちに』(映画)は全体的に軽めな感は否めません。まあそこがいいのかもしれませんが、私は物足りなかったかなあ。
それとこの本に書かれているセッションの風景も何も複雑なことは基本的に無い様に感じました。心を開かないと上手く行かないセッションもある様ですが、故人が関係者に伝えたい気持ちがあると、もうそこに(関係者と霊媒の近くに)霊が来ている様でした。なのでやっぱりこの映画の(フニクリフニクラの)複雑なルールには違和感を感じます。
因みに数と亮介が早朝に訪れていた、桜並木?が池?の対岸に見える美しい公園が印象的だったので、何処なのかと調べたら、葛飾区の水元公園というところだそうです。それと亮介の実家のシーンはどう見ても千葉県(の真ん中の方と思う)でした。お父さんの車が袖ヶ浦ナンバーだったので。電車を包む菜の花が美しかった。
以下余談
亮介は早朝の公園で朝陽の写真を撮っていました。私はこの映画をレイトショーで観たので帰りは遅い時間になりました。帰路で暗い川の上に架かる橋を車で渡っている時人の姿が目に入りギョッとしました

(夜中近かったので)。三脚の上にカメラを据えて椅子に腰掛け頭をうなだれていました(寝ている様に見えました)。結構ホラーな瞬間でした。その橋の上にはよく写真を撮りに来ている人を見かけるのですが、大体は夕焼けか朝焼け目当ての人です。あんな夜中に撮るものは無いと思われます。。。?日の出には早すぎるし。。。星ですかね?出ていなかったと思いましたが('_'?)まあ余計なお世話ですが不思議でした。
因みに私は過去にも未来にも行きたいとは思いません。過去は変えられるなら行くけど、この映画みたいに変えられなければ行っても意味が無い。父親の死に目に会えなかったのでそこは後悔があるので戻って見送りたいという気持ちはあるけど、父はそういうことを気にする人じゃなかったので😑
★★★☆