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彼が愛したケーキ職人





2017   109分 イスラエル/ドイツ



イスラエルの新鋭オフィル・ラウル・グレイザー監督による長編デビュー作で、数々の映画賞を賑わせたヒューマン・ストーリー。事故で夫を亡くした女性と、その夫と不倫関係にあったケーキ職人の青年が、やがて出会い、次第に距離を縮めていく姿を丁寧な筆致で綴る。主演はティム・カルコフとサラ・アドラー。
ベルリンのカフェでケーキ職人として働く青年トーマス。イスラエルから出張でやって来たオーレンは彼のケーキを気に入り、出張のたびに立ち寄るようになる。そしていつしか2人は深い仲に。しかしある時、いつものように再会を約束してイスラエルに戻ったオーレンからの連絡が突然途絶えてしまう。実は、オーレンは交通事故で亡くなってしまったのだった。悲しみに暮れるトーマスは、オーレンの面影を求めて彼の故郷を訪れる。そこではオーレンの妻アナトが悲しみを乗り越え、休業していたカフェを再開させていた。やがて客として現われたトーマスは、ケーキ職人としてカフェで働き始めるのだったが…。


allcinemaより






















事前知識はイスラエル作品で三角関係の話らしいということのみ

なので途中でオーレンが亡くなることや、アナトがカフェを経営していてそこにトーマスがたずねてくることなども全然知らなかったのでまっさらで楽しめました。

感想を一言で言うなら

「素晴らしい」(T_T)💘

こういう映画を作ってくれる人がいる限り私は死ぬまで映画を見たいという気持ちは無くならないと思った作品でした。


まず脚本が素晴らしいと思います。
三角関係。LGBT。ドイツ対イスラエル。ユダヤ教の宗教観。その中での生活、子育て。それによって移民が受ける影響。皆大好き美味しいケーキ🎂✨
興味深い題材が複数入っているので、ハリウッド大作やアクション、アニメ、ホラーしか興味無いよという人以外は必ず何処かに引っ掛かる(惹かれる)ところがあるのではと思います。特にラブストーリーベースのヒューマンドラマが好きな人には絶対お勧めです。絶対見てね‼️
(鼻息荒くお勧め😤)

そして構成も素晴らしいです。余計なシーンや音楽が無い。基本的に静かですが、どのシーンも味わい深い。アナトがトーマスの作ったケーキを食べてお皿まで舐めるシーン。トーマスが厨房でクッキーを作っていてそれを見にきたイタイ(アナトの息子)にトーマスが黙って飾りつけのクリームを渡してあげるシーン。オーレンが遺した水着をトーマスが自宅で履いて寝ているシーン。どのシーンも人間らしい。忘れられない。そしてサントラが自然でシーンにとても馴染んでいる。

言わずもがなですが役者が素晴らしいです。アナトとトーマス役の二人が最高です。表情を見ているだけで気持ちが伝わって来る。アナトがトーマスが作ったスイーツを食べた時のなんとも幸せそうな表情がプロだなあと。トーマス役のティム・カルコフ(カルクオフ?)はオーディションで選ばれたらしいですが、演技力も素晴らしいけど、全体の雰囲気や顔立ちや体型が穏やかで純粋でシンプルなトーマスの役柄にぴったりすぎてこの人を選んだ監督の眼力が素晴らしいなと。それとオーレン。如何にもフェロモン系の色男で穏やかな物腰と笑顔が素敵。こういう人はやっぱり女にも男にもモテちゃうだろうなあという雰囲気を醸し出していて、このキャスティングも絶妙でした。


不倫の罪深さや人種差別(「何でよりにもよってドイツ人なんだ。」アナトの義兄の台詞)、人を愛するということ、運命の不思議。。。色々なことを考えさせられる映画でしたが、一番思ったのは不倫の罪深さとトーマスの純粋さでした。

☆☆ネタバレ注意☆☆

トーマスは家庭のある人と不倫していたので罪深い。それは言い訳はできない。でもまっすぐに深くオーレンを愛していた気持ちを思うと涙が出ます😢オーレンにいつも「今度はいつ来る?」と必ず訊いていたトーマス。オーレンと連絡が取れなくなった時に何度も電話して留守電に「愛してる」と残した。本当にオーレンのことを愛していました。
トーマスのお父さんはトーマスが子供の時に家庭を捨てて出ていった。トーマスは小さなパン屋さんを営むお祖母さんに育てられた。
トーマスがオーレンに話していた言葉が忘れられない。

「僕には仕事がある。家もある。君とも会える。世の中には何も無い人もいる。」

仕事(自身の営む店)とオーレンがトーマスの世界の全てで、それに満足していたトーマスがとても素敵で幸福に見えた。こういうささやかだけれど幸福な人生に憧れます。でも人の幸せを犠牲にして得られる幸せ(不倫)は本当の幸せとは言えない。

オーレンが亡くなった原因も衝撃だった。それは書きませんがそれを聞いてああそうだったのかと目から鱗が😮
愛っていうのはやっぱり厄介で不可思議なものだと思った。トーマスとアナトの出逢いも元はトーマスとオーレンの不倫に端を発していて(それ(オーレンを介して二人が出逢ったこと)自体がとても罪深いと思ったけれど)、そこまでは運命だけど、二人の間のケミストリーはそれ以降の問題なので。

でも思うのですが、トーマスはゲイですよね?彼はバイセクシャルではないですよね?それとも自分でも気づかないけどバイセクシャルだったのでしょうか?そうは思えないのですが。(『ボヘミアン・ラプソディ』でフレディがGFに「僕はバイセクシャルかもしれない」と打ち明け、GFが「あなたはゲイよ」と言いGFが悲しむシーンが頭に浮かびました)トーマスはアナトを愛し始めたということではなくて、あくまでも彼女を通してオーレンを見ていたのだと思うのです。でもアナトはトーマスを愛し始めていた。ということはアナトのトーマスへの想いはワンウェイになるのです。ということは二人に恋人としての未来は無いのです。仕事上のパートナーならあるかもしれません。同じ男を愛した者同士のシンパシーはあるかもしれない。でもそれ以上にはなり得ない。そう思うとなんだかまたまた罪深い展開だなあと思ってしまいました。その後の展開が気になりました。

映画を観たあとにオフィシャルウェブサイトを見たり、トレイラーを見ていたら泣いてしまいました😢普段そんなことってほぼ無いのですが。今も色んなシーンを思い出すと涙が出ます。とても素晴らしい映画です。多くの人に観て欲しいです。


外国映画の邦題は98%がっかりするものばかりですが、この邦題は悪くないんじゃないかと思いました。小説のタイトルのようですね。実際小説の様なお話です。


★★★★★★★★★★

コメント

ラティファさん

余韻の残る忘れられない作品ですね😢💘
先日レビューした『ランダムハーツ』もそうでしたが、人って突然亡くなると遺された人達がもがき苦しむのですよね。
でもそこから生まれてくるものもあって。。

ラティファさんが本作をお母様にお勧めしたというエピソードがとても素敵でした✨

ブログをお褒めいただきありがとうございます。
嬉しいです🥰
無名の映画だと画像が全く見つからなかったりして困りますよね😩

コロナ禍以降普通に暮らせることをとても幸せだと感じるようになりました。
元から日常の細やかな幸福に満足するタイプですが、コロナ以降今まで普通にできたこと(美容院や病院に行くことなどが)非日常になってしまったので。

No title

kamieruさん、こんにちは!
感想を拝見しつつ、しみじみと映画の詳細が思い出されました。

こちらのブログの映画感想は、世界のポスターが色々貼ってあったりして、とても楽しくて好きです。
私もブログ開始した当初は、世界のポスター探しを一時していたのですが、結構手間がかかるんですよね。笑

>こういうささやかだけれど幸福な人生に
そうなのよー、ここが好きです。
この欲張らずに今ある状況に感謝、満足して生きるっていうかね。
バベットも、そういう生き方をしていましたよねえー

No title

まうさん

感動しました❗

お勧めです‼️😢

No title

北海道は来月公開なんです!
予告だけでそそられる作品ですね!
写真のケーキも、とても美味しそうだし
早く見てみたいです!

No title

アンダンテさん

とても素晴らしい作品で、観に行った甲斐がありました。

No title

今日、観に行く予定なので後ほど再訪して読みますね。

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「彼が愛したケーキ職人」感想

余韻の残る映画でした。4つ★ちょい。

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三匹のにゃんずと地味に暮らしています。
映画、私の猫のこと、テニス、通販で買ったもの、その他日常のことを書こうと思います。
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