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北京の自転車


 
 
2000年 中国/台湾 1時間53分
 
 
チェック第51回ベルリン国際映画祭で審査員特別賞を受賞したヒューマンドラマ。経済成長が急激に加速し、都市が変ぼうしていく一方、都市部と農村の貧富の格差が社会問題となった中国・北京を舞台に、1台の自転車を介して出会った17歳の少年二人の青春模様が描かれる。主人公の少年二人を演じたツイ・リンとリー・ピンがベルリン映画祭で新人男優賞を受賞。中国で生きる少年たちのリアルな姿から目が離せない。
 
 
ストーリー:村から北京に出稼ぎに来て、自転車宅配便の仕事をすることにした17歳の少年グイ(ツイ・リン)。毎日懸命に働くグイだったが、ある日何者かに自転車を盗まれてしまう。一方、仲間たちの中で一人だけ自転車を持っていない高校生ジェン(リー・ピン)は親に内緒で中古自転車を購入。それは、グイが盗まれた自転車だった。
 
 
 
from cinematoday
 
 

 

 

 
 
 
存在も知りませんでしたが(日本では一昨年初公開されたようです)最近見た中ではダントツに面白かったです
世の中には面白い映画が埋もれてるんだな~と思いました
こういう作品なら都内の単館上映でも出向いて観ても後悔は無いと思う様な作品です
 
まず街並みが好きでした
昔ながらの石造りの塀と古い家が並ぶ中を細い碁盤の目の様に道が通っていて(胡同というらしいです)そこをこの作品の登場人物たちが自転車で走り回る様が印象的
 
ジェンが住んでいる家(日本で言うところの長屋風アパートの様な感じ?)の屋上からの景色が又良い
大きい瓶や粗大ごみみたいのが雑然と置いてあってその屋上はフラットなんだけどそこに隣接して隣の家の屋根瓦がぐるりと四角く中庭を囲む形にあって庭の真ん中に木が一本覗いている
ジェンはその瓦に乗ってぐるりと歩く
それを屋上から義理妹が見ている
 
屋根の向こう側には竜宮城を思わせる形のお城があってその横にはビルが見える
この如何にも発展途上といった感じの古いものと新しい物が混在している何とも言えない雰囲気の景色が味わい深い
 
一方で少年たちが自転車のアクロバットに興じる場所が建設中のビルと思われるもので結構な高さがあり一応柵はあるけどスカスカ状態で落ちたら完全に死ぬぞという場所なのが見ていて目が点になった(@_@;)
建設途中で頓挫したのか何なのか分からないけどいつも人がいなくてああいう危ない場所に勝手に出入りできるというところも混沌としているなぁとそこで少年たちが「自転車会議」をしている内に日が暮れて眼下に街のネオンが瞬くのを眺めながら思った
 
因みに私が暮らしている地域にもビル群と畑や田んぼが連なる場所が隣り合っている所があるけどこの作品で見る様なワクワクする様な何とも言えず味わい深い様な感じは無いです(-_-;)
何故だろう
北京とここではエネルギーが違うんだね(^_^;)
あの時代の中国は特にそうだったのかも
 
 
脚本が面白いです
ストーリーは一言で言うと「ある自転車の数奇な一生」という趣だけど主役は自転車じゃなくて少年です
(ロベール・ブレッソンの『バルタザールどこへいく』(1964)を思い出しました
これは数奇な一生を送るロバとそれに纏わる人々の話ですがさすがにロバは主人公になれても自転車はなれないみたいです(^_^;)
 
1台の自転車を通して二人の少年の人生が交錯するんだけど結構予想外な展開で「で?どうなるの?」と思っている内に最後まで飽きずに見ることができた
 
主人公の二人の少年は地方から北京に自転車宅配の出稼ぎに来たグイと裕福ではない家庭の高校生ジェン
それぞれの結構しんどい現実を二人の俳優たちが等身大に演じていて共感できました
(↑にもありますが主演の二人はベルリン国際映画祭で今作で新人男優賞を受賞)
彼らに絡む女優さんが二人いて二人とも美人で内一人(↑の写真の女優さん)は日本の80年代のアイドルを彷彿とさせる容姿でそれにも郷愁を感じました
 
カメラワークが古くて新しい感じで凄く良かった
ハリウッドの作品には絶対に無いタイプで新鮮でした~
これってwowowのベルリン国際映画祭特集で見たんだけどそのラインナップに同じく中国作品の『初恋のきた道』があって(あれもたまたま2000年作品でした。何故世に出る時間がこんなに違うのかな?)あれもとてもいい作品でしたが私はこっちの方が超ツボって感じでより好きでした
それはやっぱり主演の二人の存在と脚本の面白さによるものと思う
 
 
私が一番驚いたというか印象的だったのは二人の自転車への執着(それは殆ど執念。命がけ)で特に二番目の写真のグイに象徴されているが
「死んでもこの自転車だけは離さない。持っていくなら俺を殺せ。」とでも言わんとばかり(^_^;)
 
今日本でこういうことする少年はまずいないと思うのでここに彼の現状(この時代の裕福ではない少年の現状)を見て取れました
 
でも見終わった今でも「何故ここまで??」という疑問もあります
実際劇中でも度々「たかだか自転車じゃないか」という台詞が出てくるのですがしかしジェンとグイ、特にグイには他には代えられない存在なのです
 
これは現代の日本人には彼らの気持ちは分からないな~と
 
でもそういうところにとても惹かれる作品なのです
 
 
命懸けで自転車を追いかけて彼らの人生はどう変わったのでしょうか?
 
あれから11年
いまや中国は日本を抜く経済大国と化しました
ジェンとグイの人生も変ったことでしょう
二人は今どうしているでしょうか?
気になります
 
因みに主演の二人はその後どうしているのかと思い調べてみたら俳優は続けているようなので良かったな~と思いましたが(でもあまり有名ではないようです?)私はいずれも出演作品を見たことが無かったので又見たいな~と思いました
特にジェンのリー・ピンさんの繊細な感じが好きでした
 
この作品に出逢えてよかったです☆
 
 
TV(BS)にて
 
☆☆☆☆☆☆☆☆

コメント

No title

tedさん

何でも現地に行って体験することに勝るものは無いと思います

まぁ政情不安なところは微妙ですが
中国は半日感情が消えることは無いと思うので気にかかりますが行ってみたい国です

No title

なおさん


この作品見ていたら自転車に纏わる様々な思い出が走馬灯の様によみがえりました

実際乗った自転車には愛着がありますよね☆彡

No title

りゅうちゃん

今度お話の内容聞かせてね^^
差し支えない程度に^^

No title

わかめさん


分かります!
多分じかに見ると感動するんだと思います
この作品にも市民が自転車に乗っているシーンがありますが本当に自転車は市民の一部なんだな~と実感しました
一方で車の渋滞も映っていました
時代はどんどん流れているんですね

No title

これは初耳な映画でしたね~…。
それにしても、最近の中国を映した映画ってのは興味がありますね。
ニュースや何かではその変貌だとかを知れますが、実体は正直知らないし…。
まあ、映画でも限界があるとは思うんですけど、ある種の衝撃は受けるかもしれませんね。
機会があったら見てみます。

No title

面白そうな映画ですね~。私、チャリ通勤だし♪
マイ・チャリには愛着がありますが、この主人公ほど執着はないですよね~(笑)
といっても、買い換えるときには寂しくなるものです。ブヒブヒ。

No title

なるほどね~~~~!!って思いながら拝読しました

中国のお客様がよくこのような話しをされてたな~って思い出しました(^-^)

No title

この映画は全く知りませんでしたが、
最近の中国映画はレベルが高いですよね!

早朝の通勤時間帯に北京の大通りを埋め尽くす自転車に感動したことがあります。あれはやっぱりすごい光景でした。今でもかなり多くの中国人にとって自転車は貴重な財産なんですよね。

No title

ジミーちゃん


映画と関係あるコメントですよ


これね~性格も関係あるでしょうね
グイの場合は生活かかってるし人生かけて北京に来たから命懸けなんでしょうね
でも自転車が無くなった時点で転職したり故郷に帰る人もいるでしょうから
彼は自転車無しの人生は無かったんでしょうね
でもこれ微妙な結末なんですよ
この後がどうなったのかが気になりますね


所詮物(あの世には持っていけない)とは思ってもなかなかあっさりと手放せないものはありますね

でも段々歳を重ねると大切なものは精神(目に見えないもの)と思うようになりました

No title

他人には判らなくても本人には・・・って良くあるんじゃないですか?
ボクも酒にハマるまでは大事にしていたモノがそれなりにありました^^
今はオークションで物の価値があまりにも相対化されている「ような気がします。

2000年の中国人なら尚更モノを大事にするのでは?

映画と関係ないコメですみません(_ _).

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三匹のにゃんずと地味に暮らしています。
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