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蜂蜜


 
 
2010 103分  トルコ/ドイツ
 
 
トルコを代表する監督セミフ・カプランオールが同じ人物を主人公に、それぞれ青年、大人、少年時代を描いた“ユスフ3部作”の3作目として撮り上げた作品。2010年のベルリン国際映画祭でみごと金熊賞を受賞。深い森に囲まれた山岳地帯を舞台に、蜂を探して山奥に入ったまま戻ってこない最愛の父の帰りを待ち続けながらも、哀しみをこらえ、残された母と家を守ろうとけなげに振る舞う6歳の少年の姿を、詩情あふれる美しい映像と共に静謐な筆致で描き出していく。
 
 
 
from allcinema
 
 
 

 
 
子供が主人公の作品はこの世に数多くあると思いますがこの作品の主人公ユスフは今まで見たどの子供とも違うな~というのが一番思ったことでした
 
彼はあまり言葉を発しないのですが表情と行動を見ていると手に取る様に彼の考えていることは伝わります
とても難しい役だったと思いますがユスフを演じたボラ・アルタシュさんは見事だなぁと
でもこれはボラさんの才能もあるでしょうが作品全編を通して監督さんの力量だなぁと感じました
凄い監督さんだと思います!!
フォーカスにぶれが無く自分の描きたいことを独自の世界観で完璧に(ではなくても高い割合で)描けているのではないでしょうか
 
 
少しレヴューを見てみたのですがこの作品は評価が分かれるようですね
中には「眠かった」や「何故これが金熊賞?」というレヴューもありました 
私は終始目が離せず深く感動しました
 
 
好みが分かれる理由はおそらくはこの作品がイスラム教の教えが根底にあるところだと思います
タイトルの『卵』『ミルク』『蜂蜜』もそこから来ています
この作品はイスラム思想を理解している人で+三部作を全て見て初めて理解できるものかなと思いました
 
因みに私はイスラム教についての知識は無くこの作品が3部作の一部ということも全く知らなかったのですがそれでも深く感動しました
最近見た作品の中ではダントツで素晴らしかったです
 
 
 
その理由①
↑の解説の最後の一行
>詩情あふれる美しい映像と共に静謐な筆致で描き出していく。
この作品の特徴を端的に物語る言葉です
もともと私は静謐な筆致タイプの作品が好きですがこの作品を見た時
「よく『静謐な筆致』で綴るという言葉を映画解説で見かけるけれどこの言葉がこれ以上相応しい作品は他に無いと思う。」と思いました
で、先ほどallcinemaの解説を見たら正にこの言葉があったのです
 
そして本当にユスフが暮らす山間の街の風景が美しかったです
私が特に心に残ったのはユスフは一人深い森の脇の小道を歩いて学校に向かうのですがその時ユスフの家で飼っている鷹(と思います)をお父さんが腕に乗せて空に放つのですがユスフはその鷹の行く末を追いかけて走るのです
何て詩的な映像なのかと思いました
私は山間の街で育ってはいませんが今の日本では見られない光景なのではと思います
 
 
 

 
 
その理由②
とにかくユスフがいじらしかったです
ユスフはお父さんが大好きで二人は一心同体に見えました
最近の日本は親が子供を虐待のニュースを毎日聞くように絆のかけらも無いような悲惨な家庭も増えている様ですがユスフと父親や他に最近見た中ではジュゼッペ・トルナトーレさんの『BAARIA』の様に家族無くして人生は成り立たないという様な強い家族の絆を感じさせる作品がまだあるところにはあるんだなぁと感じてしまいます
 
ユスフの表情、行動を見ていると本当にお父さんが大好きなんだというのがありありと伝わりお父さんが大好きすぎるから友達にも意地悪しちゃったけど後でその友達に謝る気持ちを描いたエピソードもユスフのいじらしさを伝えていてホロリ(T_T)
 
お父さんがいなくなった後も自分なりにお母さんを元気づけようとして取った行動もいじらしすぎて思わず涙がポロリとこぼれてしまいました(T_T)
 
 
理由③
この作品ではメタファー的なシーンが多く劇中の台詞(言葉)が後のシーンに繋がっていくのでつまり台詞(言葉)とストーリーがとても親密な作品となっているところも好きでした
↑のユスフがお母さんを元気付けようとしてとった行動はその最たるものでした
後にユスフは詩人になる様なのでこのシリーズの根底には言葉の持つ重み、日本語で言うところの言霊のようなものがあるのではと思いました
いづれにしても大変精神的な作品と思いました
 
 
作品中にイスラム教の起源に関するくだりの台詞があってコーランの一部なのか分かりませんがそれだけ私がたまたま知っていたことが出てきたので嬉しかったです
それはムハンマドがヒラー山で瞑想しているときに大天使ガブリエルに啓示を受けてイスラム教の開祖になったくだりです
(因みにこのくだりをいつか外国人のイスラム教の友だち(その時その人は手にコーランを持っていた)に「このエピソードだけ知ってるよ」と言って話したら凄く喜んで親指を立ててくれたことを思い出しました(^-^)
しかしこの作品には他にもアルチュール・ランボーの詩やイソップ物語が引用されているそうで私はそれは全然分からなかったのでまだまだ修行が全然足りないな~と思いました
 
今のことはこの作品の字幕翻訳を担当された方のインタビューを読んで知ったことでとても勉強になりました
この作品に興味を持った方は是非お読みください
因みに去年6月の記事です
 
 
私はこの作品を見た時一篇の詩の様な作品と思いましたが監督さんも同じことを言っていたのでとても嬉しかったです
 
私が監督さんの言葉で一番感動したのはここです
 
>監督は「僕の映画製作は“禅”だ」と言われたんです。京都にある龍安寺にある枯山水だと。映画自体は一編の詩で、日本の松尾芭蕉だと言うんですよ。五七五であれだけの世界を作れるんだから、自分は100分でもっと大きい世界を作りたいが、なかなか芭蕉には勝てない、といった話をされました。
 
 文化通信.comより
 
日本人として嬉しいですが芭蕉の句も数える程しか知りませんので(^_^;)m(__)m
でもこれ凄く分かる気がします
五七五には全てが凝縮されていて一目(耳)瞭然だけど映画は解釈が分かれますからね
因みに私が芭蕉の句で知ってる中で一番好きなのは
夏草や兵どもが夢の跡
です!!
でもこの作品(蜂蜜)は
閑さや岩にしみ入る蝉の声
の世界に近いかな~と勝手に思いました
 
あと翻訳した方の言葉
 
>僕が勘違いしていたのは、台詞が少ない作品なので簡単だと思っていたことです。ところが台詞が少ないだけに、どう言葉をつなげていくかという違う制限があることに気付き、逆に難しかったですね。
 昨年12月にカプランオール監督に会いにトルコへ行き、いろいろ作品世界について難解な話を聞いてから、さらに辞書を使うことをやめて、観たまま、映像で自分が感じたことから翻訳するようにしていったらアルシネテランさんにも納得してもらえるようになりました。
 
(アルシネテランとはこの作品を配給した会社です)
これはこの作品の特徴をよく現しているな~と私は思いましたので抜粋しました
 
 
 
あとこのシリーズは中年から始まり→青年→子供と時間を遡っていくのが興味深いな~と思います
『卵』と『ミルク』も是非見たいと思います
 
トルコはアジアでもあるので私たちの郷愁と通じる部分がある様に思います
私は今までトルコ作品は数本しか見ていませんがいずれも独特の哀愁と味わい深さを感じました
 
 
あと監督さんの談話でトルコも今は手付かずの自然は殆ど残っておらず蜂蜜のロケ地も正に開発されようとしているというのを寂しく思いました
ユスフの暮らす地は深い緑の覆われている素晴らしいところでしたがそれでも電線が目に留まりました
これは時代の流れで仕方ないことなのでしょうがもしこの風景の中に電線が無ければ完璧なのにな~なんて思ってしまいました
 
あと気になったのはユスフのママがユスフのパパに「これからどうする?」と言う台詞がありこれは周りから蜜蜂がいなくなっていて蜂蜜が取れないということでよってユスフのパパはより遠出をして行きそこからユスフとママの苦難が始まる訳です
地球上から蜜蜂が消えていっているというのは結構前から聞いていますが本当に蜜蜂が地球上からいなくなるとユスフとママとパパだけじゃなくて地球上の人全てが困るのでとても気になります
そう言えば昨日もTVで鯨が打ち上げられて原因が分からないというニュースを見ましたがそれも気になります
 
本題からずれましたがこういう生態系が狂う環境破壊や天変地異(鯨の打ち上げは地震の予兆かという説もあります)を思わせる事象も先のリンクのインタビュー記事内で監督が言う
「古きよきものが失われて来ている。(現代の人々は)迷っているのではないか?」(だから戦争になったり地が流れるのではないか)と根本は共通すると思います
 
 
 
TV(BS)にて
 
☆☆☆☆☆☆☆☆

コメント

No title

お仕事お疲れ様です
この時間(五時)から予約の方いらっしゃったのでしょうか?
りゅうちゃん偉いです!!
というのは私が以前やってもらっていた人は予約が4時でも難色を示したからです
必ず3時までには来てみたいな感じで(-_-;)
その人は一応主婦だったけど子供は成人してるし親の介護も無いし旦那様とは別居してたしで別に仕事が遅くなっても問題ない(五時くらいなら)と思うけどな~と内心ひそかに不満に思っていました
まぁ人にはそれぞれ事情や信条があるでしょうが顧客の身になれば多少は遅くまでやってくれるほうが明らかにあり難いです
別の夜遅くとは言ってないんだし
そういうの気使って結構大変でしたね
愚痴でごめんね(爆)

No title

りゅうちゃん

地震よりも地震警報で心臓麻痺で死にそうです
(><)マジで


そうかっ!!(~○~)
ね!?私って超天然でしょっ!?ばいやしこと思って疑いませんでした(笑)
ばいやしこじゃなくていやしこなんですね!(笑)
でもいやしこもイマイチ意味が分からないのですが想像はつきます(^_^;)
りゅうちゃんの言葉はいつも勉強になります
私は文化全般に興味があり特に言葉にはあるので凄く楽しいです(^-^)

えっと・・・←脳内空白タイム(笑)
三温糖は私も一時期使っていました
身体にいいんですよね^^

続く

No title

かみえるしゃんってば~~~~(^0^)

ばいやしこ・・・・ごめんましゃい。言葉つなげて書いたので・笑・・私ってば、いやしこ・・・と書いたつもりでした(^-^)
それと、地震速報ちょ~うけました(^m^)
時々おもしろく綴られたりしますよね~♪
でも、地震・・最近恐ろしい記事が週刊誌やTVで言われてますよね!!東京直下型とか・・・・そんなこと起きないで欲しいです!!なんか最近地震多いじゃないですか!!3月って大きな地震の多い月と言われてるから心配です。
警報はもう聞きたくないですよね~~!!

それと、蜂蜜摂ってるんですね(^-^)体に良いから♪
お砂糖はうちは三温糖を主に使ってました。煮物が美味しくなる感じがするので(^-^)・・・っていうか婆ちゃんの代から三温糖なのです~~♪
お砂糖使わなくても蜂蜜でもお料理美味しいですよね(^-^)ちょっと高くついちゃいますけど(^-^)体にはナイスです♪

では、これからまた仕事入ります。コメントのお返事後程させていただきますね~~(^-^)

No title

りゅうちゃん


ばいやしこって初めて聞きましたがあわてんぼうとかいう意味でしょうか?


昨日ラジオで緊急時神速方
こんなん出ました(爆)
出て久しぶりに心臓バクバクしちゃいましたが全然揺れなくて凄く迷惑だなと思いました
あれって多大な迷惑なのに謝罪が無いですよね
仕方ないことなのかな?
凄く精神的ストレスがかかるんですよね
う~ん・・・地球は壊れてきてると思うけど地震だけは勘弁してほしいなと思います


蜂蜜毎日摂っていますよ
(^o^)
うちお砂糖が無い家です
珍しいかな?(^^;)

No title

塩あめの次のタイトルだったので、私ってばいやしこだから、蜂蜜もなにか掘り出し物があったのかしら???なんて思ってしまいました(^-^)
余談ですが、かみえるしゃんは今も蜂蜜をホットドリンクで飲んでましたか(^-^)

さて、お話しですが、評価が分かれると書いてありますが、かみえるしゃんが思わず涙がポロリ。。。とあったので、きっと私も同じように感動するだろうな~って思いました

それと、天変地異といえば・・至る所で起きていて、最近考えさせられることがあります。日本でも大変なことが起きないで欲しいと願うこのごろです。

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