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フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法

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2017    112分  アメリカ

 前作「タンジェリン」で注目を集めたショーン・ベイカー監督がフロリダの安モーテルを舞台に、社会の底辺で生きる母娘の厳しくも愛おしい日々を優しく見つめた感動ドラマ。やんちゃな6歳の女の子が、過酷な現実の中でも周囲の大人たちに守られて伸び伸びと暮らしていく姿を、次第に浮かび上がるアメリカ社会の矛盾とともにカラフルな映像美で描き出していく。主演は天才子役と高い評価を受けたブルックリン・キンバリー・プリンスと演技初挑戦のブリア・ヴィネイト。共演に本作の演技でアカデミー賞助演男優賞にもノミネートされたウィレム・デフォー。
 “夢の国”ディズニー・ワールドのすぐ隣にある安モーテルに流れ着いたその日暮らしのシングルマザー、ヘイリーと6歳の娘ムーニー。無職のヘイリーが滞在費の工面に頭を悩ませる一方、ムーニーは同じモーテルに暮らす子どもたちと一緒に、周囲の迷惑も顧みずにイタズラし放題の冒険に満ちたキラキラの毎日を送っていた。管理人のボビーは、そんなムーニーたちのやんちゃぶりに手を焼きながらも、優しく見守っていくのだったが…。

allcinemaより

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自分が想像していた内容と違いました最終的にはボビーが貧困母子を救ってあげて、ムーニーの新学期が始まる頃にはヘイリーは落ち着いてちゃんとまともな職に就き、ムーニーは落ち着いて学校に通える様になるのかと想像していたのですが、そうではなかったのですね。

なんだか見ていてとても落ち込みました。結局世の中ってお金が無いとまともな生活ができないのだということをどうしようもなく突きつけている内容だったので。この映画を見ている間中思ったのは、ムーニーの将来はどうなるの?この子は新学期からちゃんと学校に通えるの?こんな食生活では健康に育てないし、精神衛生的にも健全な大人になれない。そればかり思っていました。

ヘイリーは仕事が見つからないから売春しか生きていく方法が無い。それが現実。でもヘイリーはそれ以前に人として駄目だった。万引き、無銭飲食、暴言悪態の数々。人の話をまともに聞かない。貧困以前の問題。『わたしは、ダニエルブレイク』で貧困母子の母ケイティがフードバンクで空腹のあまり思わず缶詰を開けてしまい、自分が哀れで泣き崩れた。ヘイリーは「ワッフルもらってきてー」とレストランで働く友人のところへムーニーを行かせる。只でもらっているが、それが当たり前と思っている。ホテルのビュッフェで無銭飲食をする時も全く悪びれない。呆れてものが言えない。こんなだからムーニーの言動も酷い子になってしまっている。その事に危機感を持っていない。まともではない親を持つ子の将来は悲惨なものになる。『ムーンライト』のシャロン、『チョコレートドーナツ』のマルコ。今のヘイリーの状況はムーニーを里子に出すしかない。或いはまともな暮らしができるまでの間離れて暮らすしかない。誰かそのことをヘイリーに気づかせてあげてほしい。ヘイリーには『ステラ』を見てほしい。ステラはまともに生きていたが、娘の将来を思って断腸の思いで身を引いた。彼女の選択した生き方をどう思うかとヘイリーに訊きたい。どうせ4letterwordで中指立てるだけだろうけど。

それでもヘイリーとムーニーが相思相愛なことだけは良かった。でも今の二人の暮らしは破滅に向かっているからムーニーにとっては試練だけれどあの結末は良かった。

ヘイリーとムーニーの演技が自然すぎてこの母娘が現実と錯覚してしまう程だった。私が一番印象的だったのは、こういうぎりぎりの暮らしの中でも二人が生活を楽しんでいたこと。特にムーニーと友達たちは毎日がとても楽しそうだった。この子たちを見ていたら自分の子供時代を思い出して、そうそうこの位の時って近所を探検しているだけで楽しかったよねとうん十年ぶりに思った。ムーニーが友達の女の子と肩を組んでいる画像。これと全く同じ構図の写真(正面からだけど)を持っています。当時の仲良しとこうして肩を組んだ写真です。年齢も丁度この頃でやっぱり当時の自宅の近所です。その写真の存在自体も忘れていましたが、このシーンが思い出させてくれました。
毎日楽しく遊んでいたのは同じだけれど、誰かにお金を無心することも車に唾を飛ばすこともテーブルの上に立つことも無かった。人を押し退けて食べ物をもらうことも。何かに火を点けてはいけないということも分かっていたし点けたいと思ったことも無かった。大人になってからその様に教育されたことは幸運なことなのだと知った。

『万引き家族』と比較している人が多いようでしたが、私がこれを見ながら思い出していたのは先に挙げた映画たちです。貧困な母子とそれを気にかける男性という図式は『わたしは、ダニエルブレイク』(ダニエル自体が生活に困っていたというところは流石にケン・ローチ)、駄目親の元の不幸な境遇の子供を何とか救いたいというところは『チョコレートドーナツ』(実話ベースなので非常に重い)。
今作にはこれらの様な説得力が無い様に感じた。今作は貧困な親子とそれを気にかける男性の日常を描いているだけで、それ以上が無かった。ラストは親子の将来を暗示はしていたけれども、それ以外の起承転結が無いので中途半端な印象だった。そう言うスタイルの映画なのだろうけれど、個人的には起承転結が分かりやすいものが好きなので、映像は魅力的だし役者は良かったけれど全体としては物足りなかった。でも子役の女の子とウィレム・デフォーが魅力的だったから見て良かった。

★★★★☆


コメント

かずさん

ご訪問、コメントありがとうございます。

私も雰囲気はとても好きでした。
自分の子供時代を思い出しました。

No title

この作品はメッセージ性が僕の中で凄く響いてとても好きな作品です(^-^)

ひささん

> こんばんは。拍手をしてコメントをいれましたが、どうもうまくいかなかったようですね。ここにも同じコメントを入れておきます。

大丈夫。ちゃんと拍手もコメントも入っています。拍手嬉しいです。ありがとうございます🙌💘

実は私もあまりよくシステムが分かっていません💧ヤフーは簡単で楽でしたね😑

> 映画の中で隣のホテルの女性オーナー?が「そんなことをしているから、いつまでも貧乏なのよ」というセリフがすべてだったように思います。

ヘイリー本当にどうしようもないですね🙇
床にこぼしたジュース、誰が掃除するのですかと思いました。

No title

こんばんは。拍手をしてコメントをいれましたが、どうもうまくいかなかったようですね。ここにも同じコメントを入れておきます。間違っていたらゴメン。
映画の中で隣のホテルの女性オーナー?が「そんなことをしているから、いつまでも貧乏なのよ」というセリフがすべてだったように思います。駄作とは言いませんが期待外れの映画でした。

結構ありますね

こんにちは。

雰囲気は良いのだけれど脚本がイマイチですよね。こういうの結構多いと思います。人によってはこのドキュメンタリー的なところがいいという人もいますが。私は物足りないですね。最近だとバリー・ジェンキンス。雰囲気は凄くいいんだけどかなり物足りなくて不完全燃焼な気持ちが残ります。特にビールストリートがらそうでした。

子供は芸達者でもいいと思いますがこの女の子はちょっと出来すぎな感がありましたね。
私が凄いなあと思ったのはスクーティー(子役の男の子)は実際モーテル暮らしだったそうですが、この出演によって一家でアパートに引っ越せたそうです。そして彼がきちんと教育を受けられるようにスポンサーがついたそうです。その位ハリウッド映画ってお金になるんだなと思いました。なのでやっぱり名演をしないとだめなのでしょう。金額が大きいから。因みにヘイリー(ムーニーのママ)役は、スポンサーは有名人を希望したそうですが、監督は貧困の役にそれは無いということで、あの人をインスタグラムから発掘したそうです。素晴らしい人選だったと思いますね。演技も良かったし。とてもこれが演技デビューとは思えないほど。只一つ気になったのは監督の上から目線が現れているということ。全身タトゥー、緑の髪、顔にピアス、暴言に悪態。彼がイメージした貧困のシングルマザーがこれというところが鼻につきますね。
ウィレム・デフォーはいい人だけど自分の家庭は上手くいっていないという設定が良かったです。

肩透かし

おはようございます。

この映画は予告を観て結構期待しながらDVDを借りたのですが、大きな肩透かしをくらったという思いが強いです。

特にあのラストは、、、。

それと、子役の演技があまりにも達者すぎて鼻につきました。よく子役と動物にはかなわない、などと言われますが、子役は台詞を棒読みするくらいが現実的という意味で私は望ましいと思います。

結局本作で私の印象に残ったのはウィレム・デフォーだけの感じでした。

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