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blank13

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2017    70分 日本 

 人気俳優の斎藤工が“齊藤工”名義で記念すべき長編監督デビューを飾った家族ドラマ。自分たちを捨てて失踪した父親と13年ぶりに再会した家族が、その父の葬儀で初めて空白の日々を知っていくさまをコミカルなタッチを織り交ぜ描き出す。出演は高橋一生、松岡茉優、斎藤工、リリー・フランキー。ギャンブルに溺れて多額の借金を作った末に失踪した父が13年ぶりに見つかる。塗炭の苦しみを味わった母と兄は余命3ヵ月という父を許すことができず、見舞いを拒否し、弟のコウジだけが病院を訪ねる。やがて父はこの世を去り、葬儀には数少ない友人たちが参列して、遺された家族の前で、故人との思い出を語っていくのだったが…。

allcinemaより

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この映画を見ながら自分の父の葬儀を思い出しました。そういう方は多いのではないかと思います。

辛い話でした。実話ベースですから重いですね。
リリーさん演じる男(松田雅人)ははっきり言ってクズです。ギャンブルで借金作って失踪してそれっきり。そのせいで家族は血を流す苦労をした。死ぬ前に息子と会ったが最後まで詫びる言葉は一言も無し。こういう人は家庭を持つべきではない。葬儀で故人と交流があった人たちが、故人が良くしてくれたことを語りながら泣く。それを息子たちがなんとも言えぬ表情で見ている。ネットで読んだある人生相談を思い出した。妻からの相談。夫はボランティアが生き甲斐で労力も自分の給料もそれに注ぎ込んでおり、家庭に対してはほぼ何もしない。ある人の解答。どんなに他人を救おうとも自分の家族を幸せにできなければ意味が無い。なのでそれは本当の意味でのボランティアではない。そうです、これは本末転倒。松田雅人の生き方も同じ。知人を助ける暇があったら少額でも家族に仕送りするべきだった。それが人としての筋です。それが無ければ他人に何をしようとただの自己満足にすぎない。それでも孤独死して何週間も何ヵ月も気づいてもらえないなんてことも珍しくない今の時代に、これだけ勝手に生きて、身内に葬儀を出してもらえて、葬儀に来てくれる人がいて、泣いてくれる人がいるんだからとても幸せだと思う。自分が大人になってから、ちゃんと家庭として機能していた環境で育てたことは、幸運なことだったのだということをよく思うようになった。親にお金を貸していて戻ってこないという話をある人から実際に聞いたことがある。自分の親は精神的にも経済的にも完全に自立していたけれど、世の中にはそうでない家庭も少なくない様だから。特にこういう映画を見るとそういうことを思う。

長さが70分というのが丁度良かったと思う。葬儀のシーンは殆どコメディーだったので、あそこだけ舞台を見ている感じだった。非現実的だったしちょっとくどく感じた。上に書いた理由もあって白けた気持ちにもなった。面子も含めて監督のマニアックな部分が表れているとは思った。個人的には村上淳が好きなので彼ばかり見てしまった😆最後にコウジが雅人がいい人で良かったみたいなことを涙ぐんで言うところは不自然で共感できない。隣のお寺の葬儀の泣き屋のオチは古典的だけど印象に残った。
演技的には何と言っても神野三鈴が素晴らしくて感動した。最後の煙草のシーンは名シーン😭少年野球を喪服で見ている後ろ姿も忘れられない。私も息子が二人なので自分と重なるところがあった。あんな壮絶な苦労は何もしていないけれど。また笹川美和の『家族の風景』が名曲すぎて涙がこぼれた。

ストーリーは昔の邦画そのもので、今時こういう内容は新鮮だった。基本シンプルに描こうとしているけれど、ところどころの映像や音楽にどうしても凝り性の部分が表れていると思った。

放送作家のはしもとこうじさんの体験がベースになっています。御本人のお話を鑑賞後に読んでしみじみしました。特に、お父さんが入院中に2回しか会いに行かなかった。2回目に会いに行った時痩せていて怖くてもう行けなかった。亡くなった後病院に行ったら看護婦さんに「ずっと来るの待ってましたよ」と言われたというお話と、お父さんと最初に会った時に、現金輸送車の運転手をしていると言ったら「そんな仕事してるのか」と言われたことがきっかけで本当にやりたいことをやろうと思って放送作家に転職したというお話が印象的でした。

「この映画を○○に捧げる」のクレジットのところでどっと泣けました。その写真を見て、人生って長いようであっという間なんだろうなと思いました。
もっと人々に日日感謝をして生きようと思いました。

★★★★★☆






コメント

ラティファさん

感想ありがとうございます。

ロバート・キャンベルさんのお父さんもキャンベルさんが子供の時に失踪し、大人になってから再会した時やっぱり謝らなかったとキャンベルさんが話していたのをラジオで聞いたのを思い出しました。印象的な話だったので覚えています。
キャンベルさんは淡々と話されていましたが。

御両親この暑さで大変だと思います。大切にされてください。私も母は生きていますが疎遠です。

ラティファさんがお母様に映画を紹介されたというお話を以前読んで羨ましかったです。
私の母は基本映画は見ません。

でも昔一緒に観に行ってくれたことはあります。
マラソン・マンと炎のランナーだったと思います。

No title

自分の家族には何もせず、周りの人にお金を貸したり、優しくしても〜
kamieruさんの感想、もっともです。
私も、そう思いました。

まだ私は両親が存命なんですよ、、

白けちゃったり、笑えない箇所、私もありました

ひささん

こんばんは。

> 「blank13」というタイトルがいいですね。

タイトルが映画の丁度中盤で出るのです。印象的でした。

>しかも70分。

海外の映画祭に出品する際に、長編は70分以上という規定があるらしくて、その為に始めはもっと短かったものを長くした様です。個人的には丁度良い長さと思いました。

>この映画をだれに捧げたのでしょうね。

おそらくこの映画のモデルになった方ではないかと思います。子どもとの2ショット写真でしたので。はしもとさんが小学生の時に失踪したそうです。

>世の中には信じられないような話が結構ありますね。

事実は小説より奇なりですね。「おそめ」はその連続でした。秀さん(マダム)のパートナーが全くの素人から映画会入りして、その娘が大女優に。その系譜がまたびっくり。本当に小説そのものでした。

No title

こんばんは。
「blank13」というタイトルがいいですね。しかも70分。この映画をだれに捧げたのでしょうね。気になります。世の中には信じられないような話が結構ありますね。

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