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家族の難題

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オランダ デンマーク 南アフリカ

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Netflixより




これ凄い映画でした😮
一言で言うと言葉は悪いですが、毒母、毒祖母の話です。

☆以下ネタバレ注意☆

マリアンヌは95歳(当時)。南アフリカで独り暮らし。プールがある白い家に住んでいる。ある日孫のトム(ドキュメンタリー映画監督。本作の監督)を呼び寄せる。祖母は長年家族とは交流していない。トムは祖母と家族の間に何があったのかを確かめようと祖母宅へ向かう。

トムは過去に何があったのかを訊ねるが、マリアンヌは「真実なんて無い。あなたが探しているものは見つけられない。」と言う。
マリアンヌはトムに私が愛しているのはあなただけと言う。

マリアンヌはドイツ生まれ。「20メートルの廊下」が有り、家政婦や乳母がいる家で育った。父はいつもユダヤ人を貶していた。父はマリアンヌのこともいつも否定した。父はマリアンヌの外見しか見ておらず彼女の中身を見ることは無かった。そのことが彼女の人格形成に影響した。ある時父がユダヤ人であることが発覚。一家はナチスの迫害から逃れる為にオランダに移住した。マリアンヌはオランダの暮らしに慣れ、自由恋愛を満喫していたところ妊娠。生むことを選ぶ。でも愛してもいない男と結婚させられる。マリアンヌは二人の男の子の母親になった(下の男の子がトムの父親)。トムの父親が3歳の時父親(マリアンヌの夫)が失踪。マリアンヌは子供たちを施設に預けてファッションモデルとして働く(当時はそれなりに?有名モデルだったらしい)。子供たちは突然施設に預けられたことがショックで生涯のトラウマとなる。その後マリアンヌは南アフリカに移住し事業を興す。ある時オランダで暮らす次男(トムの父親)に自身の仕事を手伝わないかと打診。次男一家は快諾し家族で南アフリカに移住した。しかしマリアンヌが自身主催のファッションショーの後に失踪。後にマリアンヌはその理由を次男が長男のことで自分を責めたからと言っている(長男は精神疾患を患い入院していたが、退院後弟のトムの父親が面倒を見ている)。マリアンヌ失踪後も一家は南アフリカでの生活を希望していたが美味く行かなかった様で?4年後にオランダに帰国。トムの両親は離婚した。


マリアンヌのモデル時代の映像(かなり古いのによく残っていたと思う)、トムの赤ちゃんの頃の一家がまだ幸せだった頃の映像(トムのお父さんが撮影マニアだったので映像があった)、トムの父親と兄の子供時代の無邪気な表情の写真などがリアルでとても印象的でした。

詳しい説明が無いので色々なことがミステリーな映画です。マリアンヌがシングルマザーになった時裕福だった筈の両親に頼れなかったのは何故?(もう亡くなっていた?オランダに来て没落した?お父さんと不仲だったから?)、そもそも何故彼女は南アフリカに渡ったのか?優雅な独り暮らしをしている財産はどの様に築かれたのか?再婚はしなかったのか?失踪した時は何処にいたのか?…謎が多いです。お金持ちの恋人がいたのかもしれませんね。

何が一番強烈だったかと言うとマリアンヌのキャラクターです。母親に向いていなかったとこは確かでしょう。既に白髪頭でリタイヤする歳のトムの父親が今も泣きながら「僕の人生に母親はいなかった」と言うのですから。
トムのお兄さんの独り暮らしをしている家にうん十年ぶりに訊ね(行きたくないと言っていた)、笑顔で迎えてくれたお兄さん(息子)だったがマリアンヌは部屋が散らかっているので中に入ることを拒み、「酷い(状況だ)わ。誰か面倒は見ないの?」とトムに愚痴っていたのには唖然。本来はあなたが面倒を見るべきだったのですよ?自分の息子なんですから。
トムがマリアンヌに「お父さんたちは施設に預けられたことが悲しかったと言っている」と言うと「何故そんなことが悲しいのか分からない」と言う。
人の心の傷みが分からない人なのですね。
一番ぶっ飛んだのは実の孫(トム)に恋心を抱いていたこと。「私が20代なら激しい恋が燃え上がるのに」😦占い師にトムと寝たいと言っていた。60歳年下の「実孫」です。完全にサイコですが、もしかして痴呆入っていたのかも?
うん十年ぶりに一族と再会した時に撮った家族写真をトムに見せられてトムのガールフレンドに怒っていた。「これは家族写真じゃない。この人は家族じゃない。図々しい。あなた(トム)がこの人と別れるなら話は別よ」「僕の大事な人だよ。僕が大事なら彼女も大切にして」「無理よ」
開いた口が塞がりませんでした。典型的な毒祖母です。

ちょっと前に見た『何も変わらない:ハンクとして芸術家の魂』で、ハンクさんは「誰かの人生に責任を持ちたくなかったから」結婚しなかったと言っていました。(でも女の人と子供とハンクさんの3人で映っている写真が出てきて、その女性は恋人だった様ですが、子供との関係は分かりませんでした。)
ハンクさんは高齢になってから甥と姪の子供たちに面倒を見てもらっていた様なので、やはり人間は誰でも多少なりとも誰かの世話になりながら生きるものだと思います。ハンクさんは兄弟がいて、兄弟が家庭を持ったことから甥と姪の子供たちまで命が繋がっているので、これはハンクさんにとってもラッキーなことでした。何が言いたいかと言うと、マリアンヌが最晩年に白羽の矢を立てたのは孫のトムだった訳ですが、これも息子がいたからできた訳で、マリアンヌにとっては幸運だったと思いますが、母親に向いていなかったので息子さんたちには悲劇だったなと思いました。

一番衝撃だったのは長男のことを「生まれるべきじゃなかった」と言ったことです。もう老人になっている自分が生んだ息子に対して95歳の母親が言う台詞かなと。自分の意思で生んだのにね。
ずっと笑顔でマリアンヌに接していたご長男が気の毒でした。

長々と書きましたが、毒人間は死ぬまで毒人間なんだなと思った映画でした。
そういう人でも看取ってくれる人がいるのは幸運だなあと思いましたね。財産があるからなのか。大人としての対応なのか。

トムにとってはこういう言い方はあれだけど、作品としては格好の題材になりましたね。身内なので生々しいけど。

最近見たドキュメンタリーの中で一番衝撃でした。

★★★★★★★






コメント

ひささん

こんばんは。

生い立ちにトラウマがあったのかもしれませんね。
病気かもしれません。

理由は分かりませんが強烈な人です。

こんばんは

「事実は小説よりも奇なり」といいますから、こんな凄まじい話もあるのでしょうね。
私たちには分からない理由や事情があるのかもしれません。それとも一種の病気かも。真実はわからないでしょうね。

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