
2017 100分 ロシア
ロシアの片田舎で、突然死期が近いことを告げられた73歳のおばあちゃんが、都会にいる息子に迷惑をかけたくないと、自らお葬式の準備に奔走する姿をユーモラスに描いたヒューマン・コメディ。主演はマリーナ・ニーヨロヴァ、共演にアリーサ・フレインドリフ、エフゲニー・ミロノフ。監督は長編4作目のヴラジーミル・コット。
夫に先立たれ、ロシアの寒村でひとり暮らしをしている73歳のエレーナ。つましい年金生活ながら、それなりに充実した老後を送っていた。ところがある日、病院の検査で医師から“いつ死んでもおかしくない”と告げられてしまう。都会で忙しい毎日を送る愛する息子オレクに迷惑はかけたくないと、いきなり自分で自分のお葬式の準備を始めるエレーナだったが…。
allcinemaより
原題は『鯉』。タイトル通り一匹の鯉がストーリーの鍵を握っています。
内容はシリアスですがコミカルに作られており、悲喜劇という趣でしょうか。
上画像、エレーナが自分で棺桶を買ってバスで帰ってくるのです。棺桶をバスの通路に置いて。同じバスに乗り合わせたパンクファッションの女の子が「クール!写真撮っていい?」と棺桶バックに自撮り。女の子「死体入ってるの?」エレーナ「。。。入ってるわ」女の子「ゲー‼️😨」
かなりウケました😆こんな感じで結構笑えるシーンが多かったです。
私はエレーナと年代は違いますが同じ立場なので気持ちはよく分かりますね。自分なりになるべくきちんと死ぬ準備をする。そういうところはリアリティを感じましたが反面終始お伽噺の様な雰囲気でもありました。
題材もテイストも基本的には好きですが、一つとても嫌なところがありました。それは鯉の扱われ方。初めにエレーナの元教え子の男性に釣られるのですが、以降人間のエゴに振り回され散々な目に遭うのです。釣った男性はほぼ思いつきで鯉を無理矢理エレーナに押し付ける。エレーナは要らないと言っているのに。以降最後まで鯉には受難続き。魚は食べるのならば速やかに捌くべきです。冷凍、解凍、また水に戻す(窮屈な器)、連れまわす、車に押し付ける。可哀想で仕方なかった。虐待以外の何物でもない。鯉にとって人間の終活なんてどうでもいいんだから。こういう風に映画に使われること自体も嫌です。水の中から床の上に飛び出るシーンだけでも魚にとっては酷いダメージですから。
こういうのって物語自体は良くても動物にダメージがある時点で失望します。生きてる魚を手で持ったりするの本当にやめてほしい。
本作はエレーナと一人息子との関係を描いた作品でもありました。二人の関係はとても皮肉的なものでした。息子は都会でビジネスマンとして忙しく働いており、実家にはもう5年も帰っていない。実はその原因を作ったのはエレーナだったのです。息子はエレーナが自分を干渉した過去に対して心残りがある。でもエレーナは自分がしたことは正しかったと信じている。こういう親子は少なくないだろうなとと二人を見ていて思いました。でも二人はお互いに愛情を持っている。特にエレーナは。彼女はトータルではとても幸せだと思います。同居している親が亡くなってもどうにもできなかったので白骨化したまま放置していたというニュースが珍しくない昨今ですから。
本作を観て『92歳のパリジェンヌ』を思い出しました。老婦人の終活というところが同じです。内容も近いですね。92歳のパリジェンヌは尊厳死を実行した女性の実話なので衝撃的でした。最近では『最高の人生の見つけ方』(2019)を観ました。これも女性二人の終活のお話でした。92歳~は自ら死ぬことを選ぶ。最高の~は死ぬまでの時間を目一杯楽しむ。本作のエレーナは粛々と死ぬ準備をするがなかなか死がやってこないことに戸惑う。それぞれ考えさせられるものがありましたね。因みに私が一番忘れられないのは『死ぬまでにしたい10のこと』です。彼女は死ぬには若すぎたのでこれだけちょっとケースが違いますが。『天国の口、終わりの楽園』もぶっ飛んでましたね!あれ憧れるなあ。私にはとてもできないけど。
鯉のことが無ければもっと高評価だったのですが。
そこが引っかかったので今回は★無しで。