
1981 120分 アメリカ
アル中の治療で長く療養生活を送っていた女優のジョージア。退院した彼女のもとに、舞台出演の依頼が舞い込む。彼女は娘の励ましを得て、稽古を始めるが……。酒で失敗した女優が再起に向けて頑張る姿を、娘との交流を交えて描く。
allcinemaより
『依存症と戦うシリーズ』1
離婚歴のあるブロードウェイ女優ジョージア(マーシャ・メイソン)が3ヶ月間のアルコール依存症のリハビリから退院するところから物語が始まります。美容家トビー(ジョーン・ハケット)とゲイの売れない役者ジミー(ジェームズ・ココ)がジョージアを暖かく迎えてくれました。3人は大親友です。
ジョージアに娘のポーリー(クリスティ・クニコル)から電話が来た。会いに行くとポーリーから同居の打診が。父親の許可も得ているという。ジョージアはリハビリが終わったばかりなのもあって戸惑うが一緒に暮らすことに。ポーリ-は子供の頃から自分の傍にいてくれなかった母からの愛情に飢えている。ジョージアは娘を愛しているが今までのこともあり、不安もあった。
娘との同居をスタートさせたジョージアに新しく来た仕事は元彼(脚本家)からのオファーで、ジョージアと彼のうまくいかなかった暮らしを書いた舞台。そんなの誰が演るかと怒るジョージアだったが、脚本を読んでみると素晴らしく、引き受けることに。実はジョージアは元彼に未練が。でも彼には新しい恋人がいて。。。それを承知で引き受ける。仕事は楽しいけれど複雑な状況にストレスも感じるジョージアだった。
ポーリーとの同居はポーリーが大学に入るまでの期間限定。母と娘は離れていた時を埋めることができるのか。ジョージアは無事にアルコール依存から立ち直り女優として再起できるのか。
そういうお話です。脚本は当時マーシャ・メイソンの夫だった劇作家、脚本家のニール・サイモン。因みに二人は1983年に離婚しています。この作品の2年後ですね💔離婚後も仕事は一緒にした様です。脚本家の元彼が女優との暮らしを舞台にするくだりなどは正にリアルライフから来ているのだろうなと。
なんと言ってもマーシャ・メイソンの演技が素晴らしかったです。この役でこの年のオスカーの主演女優賞にノミネートされています。が、授賞は逃しており、こんな名演技で受賞できないって何で?と思い誰が受賞したか見てみたら、何と天下無敵のキャサリン・ヘプバーン(『黄昏』で受賞)。ちょっと相手が悪かったですね。でも私は『黄昏』も見ていますが、確かに良かったですが、私が会員だったらマーシャ・メイソンに投票しましたね。
因みにトビー役のジョーン・ハケットは本役でゴールデングローブ賞で助演女優賞を受賞。
それとジョージアの二人の親友がとても良かったです。彼らもなかなか人生が上手くいかなくて受難の時を生きていました。それでもいつもジョージアを愛で包んでいて素晴らしかった。『セックス・アンド・ザ・シティ』の4人を思い出しました。いつだって色々あるけどいつもお互いをカバーしていたので。持つべきものは友というのは本当ですよね。と友達がいない私も思う。
自分は基本お酒を呑まない人なので禁酒の辛さは分かりませんが、ストレスを感じたジョージアが又お酒に誘惑されてしまうシーンの気持ちは分かる気がしました。彼女はそのせいでトラブルを起こしてしまうのですが、この作品のレビューで、また飲みだしたらあんな程度では済まないというのを読んで、確かにそうだろうなと。以前ラジオで聞いたのですがアルコール依存症を克服した人が話していて、禁酒して16年経つけど今でも飲酒している夢を見ると。『男が女を愛する時』のメグ・ライアンを見た時も思った。こんなに簡単に克服できる筈ないよねって。でもジョージアが色々あっても前向きに生きようとしているのは伝わった。特にラストシーンにそれがよく表れており、とても良いシーンで心に残った。
ポーリーの印象に残った台詞。
「私はママを絶対諦めない。私が80歳になっても追いかける。」
彼女のママへの愛を感じた。幸せなママ‼️
売れなくて苦労する俳優ジミーを演じるジェームズ・ココを見て、典型的な性格俳優と言われるタイプの人だったので、成功するまで大変だったろうなあと思ったが、それに関するこぼれ話がありました。
マーシャ・メイソンと彼女が演じたジョージアよりも、ジミーとジェームズのキャラクターはより密接な関係があった。ニール・サイモン曰く「キャラクターを作る時ジミーの個性の側面を使いました。尊敬されるスターのジミーではなく、数年前に初めて会ったジミーです。」なんか分かる気がしました。
因みにマーシャ・メイソンさんは現在77歳。女優の他に実業家もされていたようですね。2018年にコネチカット州の牧草地にモダンな家を建てられたとか。75歳で家を建てるって素敵です。悠々自適なんですね。どうぞいつまでもお元気で。
★★★★★★★