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7人目の陪審員

 

 
2007 90分  仏(TVM)
 
 
1962年フランスの田舎町
薬局の主人グレゴワールと友人で憲兵隊長のヴァラールは運河で釣りを楽しんでいた
ヴァラールの居眠り中男女の言い争う声を聞いたグレゴワールは声がした納屋に様子を見に行くとそこには若い女性マリアンヌが一人でいた
魔がさしたグレゴワールは女性に手を出そうとしたが激しく抵抗されたことから誤って女性を絞殺してしまう
間もなくマリアンヌの恋人でアルジェリア人青年のカデールが容疑者として逮捕される
グレゴワールは何の因果かこの裁判の陪審員に選ばれてしまう・・・
 
 
 
久しぶりに面白い映画見たな~と思いました
国際TV映像フェスティバル金賞受賞作品だそうですが私が審査員でもこの作品をきっと推したことでしょう
(^_^)v
 
 
『刑事コロンボ』形式で冒頭で事件の内容を見せてその後犯人がじりじり追い詰められていく心理的葛藤が見所です
 
 
まず学生時代に勉強しなかった私は何故この作品の舞台が1962なのかを調べました
この年はフランス領だったアルジェリアがフランスから独立した年
アルジェリア戦争の状況も劇中でラジオから、TVから伝えらていました
この当時アルジェリア人を差別する人は多く当時のフランスの世相的にはカデールを犯人として事が解決されることが望ましかったのでしょう
グレゴワールの妻や彼の友人たちもそれを当然としていた
 
何食わぬ顔をしながらも日々良心の呵責に苛まれていったグレゴワールは裁判でカデールに有利となる様な言動を取りマスコミに取り上げられ時の人となる
アルジェリア移民やリベラルな思考のグレゴワールの息子からは支持されたが封建的な思考のグレゴワールの仲間や彼の妻からは非難される
 
この様な感じのとても社会派、ヒューマンドラマ派のサスペンスなのでその手が好きな方には大変お薦めです!
 
主演のジャン=ピエール・ダルッサンさんの役作りが大変素晴らしく感動
グレゴワールさんは実は過去にも一度犯罪を犯しており一見は物静かで穏やかな人だけど自分の中である一線を越えると普通の人ではなくなってしまう病気の人(危険因子を常に隠して生きている)であるということを窺わせるシーンとしてオフタイムに人形の修理をしているところが何度かありました
大きな机の上に裸の人形の各パーツ(頭、胴体、手足
、目玉)が散乱していてそれらを黙々といじっているんだけどその中で目玉を二つ並べて動かしているシーンがグレゴワールさんの超ヲタぶりを見たようで結構ぞっとしました
もう一つ彼が余暇にやっていたものはジグソーパズルでした
やはりヲタ系気質であることを窺がわせます
冒頭の部分で彼は釣りをやっていてそれは一見穏やかで普通なのですが一歩その場を離れた時にそこでとんでもない行動をとってしまったというところがやはり彼が病気であるということを如実に示していますね
上の写真(グレゴワールさんです)見てください!如何にもそういう人物に見えませんか!?
役者さんて本当に凄いですね~(^o^)
彼は病気だけどでも心の底には人間のヒューマニティーをきちんと持っている訳です
 
 
そういう部分にも監督さんの意図がよく見えたな~と思いました
 
 
私が劇中で一番印象的だった台詞は憲兵隊長のヴァラールがグレゴワールに言った
 
『この仕事をして学んだことは一番重要なのは真実より秩序だということだ。』
 
です。
 
この瞬間、え??(´・ω・`)??と思った
事の内容と規模にもよるでしょうが私は基本的に一番重要なのは真実だと思うので・・・
 
 
「真実とは正義とは何なのか?」見るものに様々なことを問いかける作品だと思いました
 
 
日本でも裁判員裁判が実施されるようになりつい最近も耳かき店員殺害事件の裁判員裁判が連日報道されていることもあり(この作品は特殊なあり得ない例で内容は全然違いますが)とてもタイムリーで重々しい作品だったと感じました
 
 
因みにこの作品もそうだったのですが学生時代勉強をしなかった私は様々な国の歴史を映画から学ぶことがよくあります
 
 
ここ数年に見た中で歴史的背景はその人の人生を大きく左右すると感じ、かつ作品としても素晴らしいと感動したのは『君のためなら千回でも』(2007)です
アフガニスタンという国について何も知らなかった私はこの作品で色々教えてもらいました
 
 
 
その時も映画というものはやはり素晴らしいものだな~と思ったのでした
 
 
 
☆☆☆☆☆☆☆☆
 
TV放送(CS)にて
 

コメント

No title

佐々木さん始めまして^^

私はずばりそこで見ました♪

ミステリーチャンネルで映画やってるって知りませんでした

良い作品を放送しているんですね~♪

No title

ヒッチコック劇場でも同じストーリーが今(1/14Fri.1630~1730)AXNmisteryChannelで放映中です。

No title

ぽこっちさん(*^_^*)


人によって真実も違うんですよね

グレゴワールは自分の真実を貫くことで罪を償いたかったのだと思います

No title

勉強になります。時代まで調べその背景にあるものは・・・?真実ではなく秩序だったんですね。見たいけど怖い感じです。

No title

りゅうちゃんp(^-^)q

ですよね~
人形パーツ散乱+黙々はちょっと引きますよね~(^^;)
それでも病気じゃなければ純粋な趣味でそれでいいけど婦女暴行はどうしようもないですm(_ _)m
多分気持ちの発散が上手にできないタイプだけどそこが罪のない人を救おうとする正義感と裏腹なところですよね

No title

なんかすごく深い感じがする映画だな~って思いました
されど、人形にしても各パーツを黙々といじってたらちょっと私も引いちゃうな~って思いました(^m^)
それと真実より秩序を選ぶ、舞台の中での彼の人間性や仕事での立場を創造しちゃいました。
ハイ、もちろん私も真実です(^-^)

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