天国への階段
- 2020/04/22
- 01:17
1946 104分 イギリス
題名からホノボノとしたハリウッド流の天界コメディを連想すると、少しばかり肩透かしを喰らう。これはユーモラスだが、英国流に大変シビアな所もあるファンタジーである。第二次大戦中、被弾して帰還する飛行隊長(D・ニーヴン)の無線を、米夫人部隊の兵士(K・ハンター)が受信。死を目前にして尚もウィットを失わない男に、女は懸命の励ましを送る。やがて機は英国近海に墜落。落下傘で脱出した彼は、海岸に泳ぎ着いて彼女と巡り合うが……。現実には死にかけている彼の幻想をモノクロの“天国”で表現し、生と死の意味、戦争の虚しさを強く訴える。そして、手術中の彼の姿が交錯して描かれ、生は死との格闘であると観客に分からせる仕組み。他人同士ムダに殺し合っているヒマはないのだ。パウエル=プレスバーガーのコンビが披露する、数々の映像技法と造形美は見事。とくに、手術室からそのまま天国へ続く階段が延びているセットには目をみはる。戦後まもないイギリスの心境が伝わる秀作。
allcinemaより
面白かったです。まず脚本が面白い。ピーターは死ぬ筈だったが、死に損なった為に生きて恋に落ちた。そこへ天国からお迎えの使者が来る(この使者がお茶目なキャラで最高。フランス革命で斬首されたフランス人という設定もユニーク)。ピーターは恋に落ちたから天国へは生きたくない(生き続けたい)、抗告すると宣言し、それが認められ天国で裁判が行われる。生きるか死ぬかを天国の裁判で争うという設定を初めて見たので、その発想が面白かった。よく悪人が裁かれるという設定のものはあるけど、ピーターはそうではないところがポイントですね。地上では恋人のジューンと知り合いのドクターが、彼を救おうと奔走する。特にドクターの情熱は天国まで続いており感動😢💘
驚いたのは74年前の映画なのに目の覚める様な鮮やかなカラーと見事なセット。特に文字通りの天国への階段の荘厳さは素晴らしい。天国への階段とピーターの手術シーンがリンクする場面も全く違和感が無いところなど本当にお見事でした。
裁判シーンは政治色が強く、世界史に暗い私の頭ではイマイチ理解できなかったが、本筋とちょっとずれている内容であるということは分かった。
ああだこうだ言ってはみても結局最後は愛が勝つというオチへの序章でしょうか。ビートルズのall you need is loveが脳内にこだましました。
🌹まとめ👼
ストーリーがユニーク。技術が素晴らしい。テーマも興味深く奥深いです。戦争、ロマンス、生と死、運命、友情、ユーモア、政治、哲学。色々な要素が入っていますが、重すぎず、でも色々考えさせられます。単純に映像だけで見ていてもモノクロとカラーの使い分けなど面白くて飽きません。
私的ベストシーン
1 「声で恋に落ちたんだ」
2 薔薇で証拠の涙を掬うところ🌹😢💘✨
素敵な映画なので未見の方にはお勧めします。
★★★★★★★★★