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バベットの晩餐会

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1987      102分  デンマーク

フランスでTVの監督をしていたガブリエル・アクセルが10年ぶりにデンマークに戻って作り上げたヒューマン・ドラマ。19世紀後半のデンマークの小さな漁村。プロテスタント牧師の父を持った姉妹の下へ、パリ・コミューン(パリ市民による自治政権)により父と息子を亡くした女性バベットが移り住んでくる。月日は流れやがて、知人にもらったクジにより一万フランを得たバベットは、その金を使い村人たちのために晩餐会を開く……。

allcinemaより

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前置き失礼します👮✨

昨日の朝ラジオを点けたとき映画の話をしていたのです。その時間はいつも聞く番組が決まっていますが、その時はたまたま別の局が流れました。が、映画の話だったのでそのまま聞きました。女性が熱く語っていました。解説をまとめるとこうでした。
「できなかったことや手に入らなかったものを、料理(食べること)を通して体験するのです」
この言葉が印象的で興味を持ちました。アナウンサーが言いました。「(この映画を見たあとに)ワインを買いに行きました」
私は食べ物にはさほど興味はありませんが、解説していた女性の情熱が伝わり(確か自分のバイブルの様な映画だと言っていた様な気がします。違ったらごめんなさい。とにかく本当に好きなのが伝わりました)、是非見たいと思いました。
ところがそのコーナーは映画のタイトルを言わずに終わりました。ガーン😨こういう時はアプリで再放送を聞けば良いのだと早速調べましたが、なんと❗この番組は再放送が無いと知る‼️😱😱😱
解説していた女性の名前でぐぐると御本人のツイッターの呟きが幾つか表示されましたが(緊張したなど)、タイトルの手がかり無し。万事休すかと諦めかけましたが、少し時間を置いて再度ぐぐると解説の方がツイッターで原作(小説)を紹介されていました。それでめでたくタイトルにたどり着きました
🙌👏👍😉❤️

それがこの映画ですが、小説も映画も存在を知りませんでした。すぐに見ようと早速探すと一つのチャンネルでだけ配信がありました。私はそのチャンネルは契約していませんでしたが、これを見るために契約しました(仮ですが)。そしてめでたく見ました。以上が前置きです。以下感想。

原作はカレン・ブリクセン(アイザック・ディネーセン)の小説。『愛と哀しみの果て』の作者だと知りました。原作は共に未読ですが、映画『愛と哀しみの果て』は凄い話で(実話ベースなので)忘れられない作品の一つです。原作を未読で言うのもなんですが、共に素晴らしい話だったので、才能のある人だったんだなあと思いました。

さて本作。生きててよかったと思いました。ごくたまにそう思う映画とめぐり逢いますが、正にそういう映画でした。本当にめぐり逢えて良かった。神様がラジオを通してプレゼントしてくれたのだと思います。

食べ物の映画で初めて泣きました😭信仰、友情(人々の絆)、ロマンス、各人の人生を料理でまとめたヒューマンドラマ。メインはバベットの晩餐会。晩餐会がいよいよ始まるという時。美しく整えられたテーブルが映った時涙がこぼれてきてしばらく泣きながら見ました。それはバベットの人生の集大成だからです。ボロボロだった自分を受け入れてくれた姉妹と村への感謝。自分が人生を捧げてきた料理。過去の栄光と挫折。それら全てを一度の晩餐会に注いだバベット。それは彼女の命そのもの。(こうして書いていても又泣けます😢)彼女のすべてが注がれた料理は、そこにいた虚しい心を抱えたすべての人を幸せにしました。バベットの真心と情熱が起こした奇跡です。

私が一番感動したのはこのバベットの心意気。姉妹はバベットが宝くじのお金で帰国してしまうと覚悟しました。「神は与え、そして奪われる」バベットのことです。バベットの存在は姉妹の人生の一部になっていました。でもバベットはそのお金を晩餐会に使う。なんて男前なのでしょうか。こういう人だからこそ有名店の伝説の料理長だったのでしょう。

マーチーネと将軍の長きに渡るプラトニックラブも切ないけれどとても素敵でした。マーチーネと結婚できなかった将軍は、出世はしたけれど虚しい人生だったと思っていた。でもバベットの料理と共にマーチーネと再会し、心に灯が灯った。
「この美しい世界ではすべてが可能に思えます」

もう一人感動したのは晩餐会の給仕の男の子。彼一人で給仕の全てをやったのです。いえ、料理の材料の運搬、料理のアシスタントも。実際スーパーマンでした。食器一つ破損せず手順も完璧でした。慌てることも固くなることもなかった。『日の名残り』のスティーブンス位完璧な仕事でした。彼がいなければこの晩餐会は成り立ちませんでした。お見事👏

やっぱりストーリー自体が素晴らしいと思いました。美人姉妹の信仰に生きる人生。彼女たちの人生に現れ去っていった男性。教祖を失って久しく、老いて信仰心が薄れた村人たち。それらがバベットと晩餐会に集約される。何気無いけどよくできています。この映画に関しては監督の手腕も大きいですね。

キャスティングも良かったですね。特にバベットのステファーヌ・オードラン。大好きなシャブロルの『不貞の女』


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で、不倫している人妻を演じており、そのスーパークールな演技に圧倒されましたが、バベットも基本はクールでした。名女優ですね。惚れ直しました。他のキャストも良かったです。

名作とはこういう映画のことだと思います。
ヒューマンドラマが好きな方には是非お勧めです。


★★★★★★★★★★







コメント

ラティファさん

こちらにもコメントありがとうございます❗

>ラジオで聞いた、とある映画のタイトルが解るまでに、一ドラマあったんですね。

>radikoで聞ける番組と聞けない番組があるんですよね、判明して良かったです。

優しいお言葉をありがとうございます😢💘

私は本作は満点をつけました。あまりにも感動しまして。私は点数は甘めかもしれませんが、それでも満点はあまり出ないです。

この作品を人生最期の作品に選ぶ方がいるというのはよく分かります。その位名作だと思います。
本当に見れて良かったですし、映画ファンで良かったと思いました。
気分は完全に水野晴郞(いやあ映画って本当にいいもんですね~)でした。

No title

kamieruさん、こちらにも。
ラジオで聞いた、とある映画のタイトルが解るまでに、一ドラマあったんですね。

radikoで聞ける番組と聞けない番組があるんですよね、判明して良かったです。

私もこの映画は、とてもガツンと来ました。
今見たら、4つ★半つけてました(辛口評価な私にとっては、滅多に出ない、ほぼ満点です)

大金を何に使うか、って処で、あのような気持ちを持って、みんなにお料理をお披露目する彼女、
この精神性は素晴らしいですね。

ひささん

村人たちの暮らすあのこじんまりとした家が素敵でした。
御者のおじさんがいつつまみ食いをするかとはらはらしました😅

この監督は代表作はこれだけの様ですが、奇跡の一本ですね。
名作を残すというのは大変なんだなあと思いました。
役者もそうですね。

こんばんは

料理の映画というとまずこれが浮かんできます。
あの寒村の雰囲気が何ともいいです。まさしく名作だと思います。
御者の人が美味しそうに料理を食べるのですよね。
幸せを呼ぶ料理でしたね。

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三匹のにゃんずと地味に暮らしています。
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