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マタギ奇談

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マタギたちが経験した山での不思議な経験を、長年にわたって取材、書き下ろした実話譚。

第一章 歴史のはざまで 
マタギが八甲田で見た人影はなんだったのか/菅江真澄と暗門の滝の謎/尾太鉱山跡で見つかった白骨/雪男を求めてヒマラヤに行ったマタギ

第二章 マタギ伝説 
山の神様はオコゼと男根がお好き?/老犬神社由来/サゲフリ/神様になったマタギの常徳/兼吉穴/「鬼は内ー、鬼は内ー」

第三章 賢いクマ 
演技して逃げたクマ/クマに騙されたマタギ/トメ足をしたクマ/スイカ泥棒/真剣白「歯」取り/復讐するクマ/クマを育てる/クマは如何に岩壁の穴に入ったか

第四章 山の神の祟り 
四つグマの祟り/大然集落を襲った山津波は山の神の祟りか/忌み数/クマ隠し/セキド石

第五章 不思議な自然 
大鳥池の巨大怪魚/マサカリ立て/山が教えてくれた

第六章 人間の不思議な話 
濡れ衣/呼ばれる/老マタギと犬

※『新編 山のミステリー』(山と溪谷社)の著者が紡ぐ、『山怪』(田中康弘・山と溪谷社)にも通じる山の民の体験録。お楽しみください!

Amazonより

未読の方が内容を想像できるかなと思って目次を載せてみました☺️

以前から存在は知っていて、買うには至らず未読でしたが、primereadingで無料で読めると知って読みました。因みに本書はベストセラーらしく、文化人類学一般関連書籍カテゴリーで第一位となっています。

ドキュメンタリーから民話までバラエティーに富んだ内容で全編楽しめました。が、個人的にきつかったのはマタギと熊の対決の描写です。狩猟のことは何も知りませんが。
今はそうではないらしいですが、この本に出てくる話は古い時代の話が多いので、一発では絶命はせず、とどめをさす為に追加で撃ったり槍で差したりという描写がありました。その間に熊がとても苦しむのが読んでいてとても辛かったです。それが子育てしているお母さん熊だと余計。この部分は動物が好きな人が読むととても辛いと思います。マタギの話だから仕方ないのでしょうけれど辛かったです🙇

母熊を撃ってしまったマタギが遺された小熊たちを育てた話がありました。懐いてしまって山に返せなかったので結局頑丈な檻を作って一緒に暮らしたということでしたが、その後の熊たちがどうなったのか気になりました。大切にされたとは思いますが、やっぱり本来の山の中で暮らせれば良かった。。。と複雑な気持ちになりました。

個人的に一番ぶっ飛んだのは冒頭の八甲田山雪中行軍、弘前第三十一連隊に纏わる話です。
ざっと書くと新田次郎の小説には別の人が書いた元ネタがあった。小説と映画の中には描かれていない真実があった。連隊が無事に生還できたのはマタギたちの案内があったからなのに彼らを酷く扱い何の補償もしなかった。マタギたちは凍傷で手足を失い、廃人となりそのまま亡くなった者もいた。口外したら刑務所行きだと脅した為にその事実は何十年も公にならなかった。
という内容の話でした。初耳なので衝撃でした。
言葉が無いくらいショックでした。

もう一つ衝撃だったのは第四章の山津波の話です。1945年の赤石村雪泥流災害について詳細に書かれていました。完全な津波小説で凄い衝撃でした。私は全く知らない災害でした。当時も終戦直前のことだったので報道されなかったのだそうです。勉強になりました。
大惨事だったのですが、その様な状態の中でも犠牲になった村人の遺体から金歯が抜かれているのを見て「この村には鬼がいる」と村人が泣いたという逸話が何とも殺伐とした気持ちになりました。『その男ゾルバ』という映画で(ギリシャの島が舞台です)島に暮らす元娼婦だった女性が亡くなると、島民が女性の家に押し寄せてそこにあるものを洗いざらい持っていくのを見て衝撃を受けたのですが、そのシーンを思い出しました。

他にお勧めなのは最後の『老マタギと犬』です。白神山地の老マタギと彼の愛犬の絆の話です。そのまんま映画の様な話です。どなたが読んでもしみじみと感動すると共に人間と自然の共存について色々と考えさせられると思います。
老マタギは白神山地とマタギの将来を心配していました。

「国は自然を守るというのは誰も入れないことだと思っている。そうなると動物が増えて大変になる。山を分かっているマタギが山を守らないと駄目になる。でも国はマタギと話そうともしない」

私は自然に携わってはいませんがこういうことはよく考えます。自然や生態系を守るには学者系の専門家だけではなくて、老マタギの言うようにずっとその土地で自然と共存しながら生きてきた人たちと話すべきだと思います。

他には森のざわめきや、伐られることを怖がる木の声が聞こえるマタギの話や、ムー民ならおそらくお馴染みのタキタロウの話も面白かったです。

山の奇談というと凄く怖い話が多いですが、この本にはそういうのはあまり無いです。そんな中でも第6章の「呼ばれる」と第4章の「セキド石」は怖かったです。「四つ熊の祟り」は後味の悪い話のところが怖かったです。

八甲田山と山津波の話だけでも史実として衝撃ですし、トータルで自然への畏怖と畏敬に溢れた良書だと思います。


満足度/お勧め度
★★★★★★★★★★






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kamieru

Author:kamieru
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三匹のにゃんずと地味に暮らしています。
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