アングスト/不安
- 2020/07/30
- 15:02

1983 87分 オーストリア
1980年にオーストリアで起きた実在の一家惨殺事件を基に描いた1983年製作のオーストリア映画。殺人衝動を抱えたまま刑務所から出所した殺人鬼が、冷酷非情な凶行へと及ぶさまが殺人鬼自身の内面を通して徹底したリアリズムで描かれ、そのショッキングな内容のために本国オーストリアでは1週間で上映が打ち切られ、他のヨーロッパ諸国でも上映禁止になるなど各国で物議を醸したという問題作。主演は「U・ボート」のアーウィン・レダー。監督は本作が唯一の監督作となるジェラルド・カーグル。日本では「鮮血と絶叫のメロディ/引き裂かれた夜」というタイトルで一度ビデオ化されたのみだったが、世界的な再評価の機運が高まる中、2020年7月に初の劇場公開が実現。
allcinemaより
約5ヵ月ぶりに映画館に行って観たのがこちらです。
犯罪事件簿が好きなので観たいとは思っていました。先日官九郎さんの番組で本作のレビューがあり、1、冒頭の画像から度肝を抜かれた。当時としては画期的な映像である(アニメ業界にいたカメラマンだそうで後にアニメで賞を受賞した人なのだとか)。
2、殺人の手際が悪い。
この話が印象的だったので観に行きました。
まずこの事件を全く知りませんでした。犯人はヴェルナークルーセクという人で現在73歳。終身刑で現在も服役中。私生児として生まれ愛無くして育つ。思春期より盗みや動物虐待をする様になり母をナイフでめった刺しにして逃亡。極端なサディストである。詳細はwikiをご覧ください。
冒頭に書いた映像に関しては確かに印象的でした。バンジージャンプをする人が頭にカメラを付けて自分を撮影する臨場感ある映像。ああいう映像が出てきます。当時はそういうカメラが無かったそうなのでどうやって撮影したのか撮影風景が見てみたいです。それと俯瞰映像が度々出てきました。サントラが常に不安を煽るような曲調で音が大きくて煩かったです。
主演俳優の演技は見事だったと思いますが、本人に全く似ていないのでもっと似た感じの人の方が良かったと思います。それと事実と映画の内容が違うので(逮捕された時の状況など)そこも不満ですね。個人的には事実に即してほしかったです。
wikiの英語版を見ると被害者の女性が亡くなる前にフィアンセからの電話に出ており、今急いでいて時間が無いと言っていたとありました。そういう描写も入れてほしかったです。
一言で言うと本当にゲロゲロな内容です。血まみれだし死姦してるし。しばらく食欲が無くなること必至。そういうのが苦手な方はやめた方がいいです。
個人的な感情ですが人間は勿論ですが、動物好きとしては動物虐待は赦せません。映画では惨殺した一家にペットの犬がいるのですが(この犬だけが家人たちが殺められた後も無邪気に家中を走り回り、それが余計事件の凄惨さを強調しています)、実際はこの家の猫を殺めたそうです。地獄に落ちてほしい。そもそも4人も人を殺めているのに何故死刑では無いのか。精神疾患という理由なのだと思いましたが、そもそもオーストリアは死刑廃止国なのですね。
こういう犯罪者はほぼ例外なく生い立ちが不幸ですね。でもまれにそうではない人も犯罪者になることがあるので、その境い目は何処にあるのかといつも思います。
殺人鬼の話なので後味が良くないのは当たり前かもしれませんが、何も悪いことをしていない人が犠牲になるのは本当に不条理だと改めて思いました。
ということで事件を映画化した作品としては中途半端な印象でした。ドキュメンタリーではないので。。。好みと評価は分かれるのでしょうけれども個人的には今見ているNetflixのリアルディテクティブの方がずっと面白いです。でも当時としてはかなり衝撃的な作品だったであろうことは分かります。
★★★★