シチリアーノ 裏切りの美学
- 2020/09/04
- 23:00

2019 152分
イタリア / フランス / ブラジル / ドイツ
イタリアの巨匠マルコ・ベロッキオ監督が、組織を裏切り、司法当局に協力したマフィアの大物トンマーゾ・ブシェッタを主人公に描いた実録犯罪ドラマ。主演は「フォンターナ広場 イタリアの陰謀」「修道士は沈黙する」のピエルフランチェスコ・ファヴィーノ。共演にルイジ・ロ・カーショ、ファウスト・ルッソ・アレジ。
シチリアでマフィアの抗争が激化していた1980年代初頭。パレルモ派の大物トンマーゾ・ブシェッタは抗争の仲裁に失敗しブラジルに逃れるが、家族や仲間たちがコルレオーネ派によって次々と抹殺されていく。その後、ブラジルで逮捕され、イタリアに引き渡されたブシェッタ。彼が誇りを込めて“コーザ・ノストラ”と呼んできマフィアの現状に失望し、ついに“血の掟”を破り、マフィア撲滅に執念を燃やすファルコーネ判事に協力することを決断するブシェッタだったが…。
シチリアでマフィアの抗争が激化していた1980年代初頭。パレルモ派の大物トンマーゾ・ブシェッタは抗争の仲裁に失敗しブラジルに逃れるが、家族や仲間たちがコルレオーネ派によって次々と抹殺されていく。その後、ブラジルで逮捕され、イタリアに引き渡されたブシェッタ。彼が誇りを込めて“コーザ・ノストラ”と呼んできマフィアの現状に失望し、ついに“血の掟”を破り、マフィア撲滅に執念を燃やすファルコーネ判事に協力することを決断するブシェッタだったが…。
allcinemaより
マフィアの映画らしい。事前知識はこれだけでした。観ている内に実話ベースなのだと知りました。当時の実録の映像(ニュース映像など)が入っていたからです。
凄く面白かったです。終わった時に時計を見たら二時間半も経っていて驚いたが全く退屈しませんでした。
最近見たマフィア映画と言えばアイリッシュマンでしたが、私はアイリッシュマンはデニーロが若いときから老人までを演じていて、若い時の顔はCGで作ってあるのがとても違和感がありました。顔は若くても(その顔もアンドロイドみたいで違和感がありました)全体像や動きはお爺さんなのです。ジョー・ペシの演技と存在感は最高でしたが。
本作はそういう違和感が無かったです。監督初め役者が全員イタリア人。ほぼ全編イタリア語。これが最高でした(イタリアのマフィアの話なので)。主演のピエルフランチェスコ・ファビーノが役になりきっていて最高でした。時節ごとに容姿が全く違うのですよね。顔がふっくらしていたりほっそりしていたり。メイクが素晴らしいのだと思いますが、もしかしてその都度減量とかしたのかなあとか思い、だったら凄いなと。どの位の期間をかけて撮影したのかと思いました。HPに本人のインタビューがありましたが、本人はローマ出身らしいのですが、シチリア訛りを覚えるのが大変だったみたいです。シチリア訛りと言えばとても面白かったシーンがありました。ルイジ・ロカーショ(好きな俳優です。久しぶりに見た。相変わらずいい感じだった。元気そうで良かった。)演じるコントルノが法廷で証言するシーン(画像下から2つ目)で彼が話し出すと周りの人たちが「何を話しているのか分かりません。通訳をお願いします!」「標準のイタリア語で話してください!」と大騒ぎするのです。シチリア訛りが酷いらしいのです。コントルノは「俺はこれしか話せないからわからないなら帰る」と(笑)イタリア語が訛りまで分かる人が見ると凄く面白いんだろうなと思って見てました。因みにルイジ・ロカーショはシチリア出身だと初めて知りました。
裁判や取り調べの様子などへぇーこうやってやるんだと珍しかったです。ブシェッタの警察の取り調べで口を割らせるために目の前でブシェッタの奥さんをヘリコプターに宙づりにしていたシーンはびっくり😮脚色とは思いますが。
昔イタリアの南の方ではマフィアは獄中でも優遇されたという話を聞いたことがありましたが、それを本作の中で初めて見ました。キャビアなど御馳走を食べて娼婦もあてがわれる。娼婦が来ると他の囚人は全員部屋の外に出される。びっくり😮
本作を見てその世界観にどっぷりハマり、帰宅後イタリアのマフィア関連の記事をネットで読み漁ってしまいました。本作のHPでファビーノ曰く
>マフィアの置かれた環境や実際に起きたこと、彼らの掟、仲間内で使われた用語など。それがあまりに魅力的だったので、映画を撮り終えたとき、この探求という作業を終えるのが残念で、もっと続けたいと思ったし、いつの日かそうすると思うよ。
分かるなあと思いました。
サングラスをかけている画像は石原裕次郎と被ってしまうのは私だけでしょうか。
トンマーゾは法廷に出る為にわざわざスーツを仕立てていました。明るい色で。それがまた似合うのです。店でのテーラーとの会話。「明るすぎるかね?」「日中でしたら十分映えます。」
そういう何気ない会話も印象的でした☺️
本作を見て思ったのはマフィアの身内に生まれなくて良かったと。敵対するファミリーは20等身まで抹殺するのだそうです(劇中で言っていました)。本作の中でも堅気の人たちが抹殺されるシーンがありました。
トンマーゾは多くのマフィアを敵にまわしましたが、長生きして自分のベッドの上で生涯を終えました。これはマフィアとしてはとても幸運なのではないでしょうか。
最後に本人の動画もちょっと出ます。
マフィアものが好きな方、ヒューマンドラマが好きな方にはお勧めです。でもマフィアの話なので人が死ぬシーンや流血はあるのでそれは覚悟してください。でも韓国映画の暴力シーンの様に粘着質な描き方ではないです。
★★★★★★★★