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行き止まりの世界に生まれて

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2018    93分 アメリカ

“ラストベルト(錆びついた工業地帯)”と呼ばれる地域の一つイリノイ州ロックフォードで育った3人のスケートボード仲間の12年間を描き、アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞にノミネートされた感動ドキュメンタリー。監督のビン・リューは、少年時代から自分たちを被写体にスケートビデオを撮り続けていた。成長した彼は映画監督を目指し、スケボー仲間でアフリカ系アメリカ人のキアーとカリスマ性のあるザックにカメラを向ける。大人になった彼らは多くの問題を抱えていた。なぜ、こんなことになってしまったのか、彼らへのインタビューを通して原因を探ろうとするビン監督だったが…。

allcinemaより

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もう少し詳しくはこちら⬇️がお勧め。
監督のインタビュー


 
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存在を知った時絶対に観たいと思いましたが、キネ旬か千葉劇場にしか来ないパターンかと。そうしたら最寄りの館に来たので嬉しすぎて初日に行ってしまいました。とても素晴らしかったです。

冒頭のジャケットの一番上がビン(監督)、真ん中がザック、下がキアーです。彼等は地元のスケート仲間です。彼等は家庭不和の中で育ち、そこから逃れるようにスケートボードに夢中になりました。冒頭で彼等が街中をスケボーに乗って疾走するシーンがあまりにも気持ちよくて胸がすく思いがしました。見ている方がこんなに気持ちいいのだから実際に疾走している彼等はどれだけ気持ちがいいのだろうと。キアーが「スケボーさへできればそれでいいんだ」と言っている気持ちが分かる気がしてしまいました。

冒頭の方は皆でスケボーをやったり友達同士でふざけたり、独立記念日に屋根の上に乗って花火を見て騒いだりという如何にも青春の日々という感じの映像が続くのですが、そんな彼等も大人になってきて人生に向き合わなければならなくなります。そこからが見所です。心に傷と現状への憤りを抱えながらそれでも彼等が何とか大人になって人生と向き合おうとする姿が等身大で記録されており、とても心を動かされました。


この映画を見て思ったのは人生は不公平だということ(こればっかりだけどでも本当に)。生まれる家と土地は選べないから。
この映画の内容を聞いたときにスリップノットを思い出したんです。

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何でかと言うと彼等はアイオワ州デモインの出身で、昔何かでメンバーのインタビューを読んだのだけど、地元は何も無いところなのでじっとしてると気が狂いそうになるんだみたいなことを言ってた記憶があります。そこで彼等が没頭したのが音楽だった(そして大成功した)。

つまり何かに没頭しないと生きていけない環境だった。この映画に出てくる少年(~青年)たちが情熱を注いだのはスケボーだった。
映画の中に地元でスケートボードの店をやってるおじさんが出てきます。短いシーンですがとても印象に残っています。おじさん曰く、スケボー好きな街の少年たちは店に来て不平不満をこぼしていった。僕は彼等に言った。「スケボーは誰かと知り合ったりする為だけのものじゃない。スケボーがあれば生きていけるんだ」。この言葉の具体的な意味は私はスケボーをやらないので分からないのに(昔ローラースケートをやって挫折したことはある(ノ∀`))、理屈じゃなくて分かる!と思ってしまいました。とても感銘を受けました。
この店のおじさんとビンの会話も心に残りました。「君(ビン)は自分のことは話さなかったね」
彼(ビン)の言葉は彼がずっと撮ってきた映像なんだなあと。言葉より多くを語っています。

登場人物の中ではビンの繊細な感じも魅力的でしたが、私が一番印象的だったのはキアーの子供の様な笑顔でした。天使の様な笑顔だけど硝子の心臓。そういうイメージの人です。(以下ちょっとネタバレ)彼はここにいると駄目になると言ってレストランで働いたお金をコツコツ貯めて街を出ていきました。そこに至るまでの道のりも一度貯めたお金をお兄さんに盗まれたりと苦労がありました(この件はグッバイ、ケイティを思い出しました。因みにいい映画なのでお勧め❗)。旅立つ日お母さんを抱き締めて涙をポロポロこぼすのを見て優しい青年だなあと😢💘DV男のザックと対照的です。ザックは涙は流さない。笑うけど笑顔も冷めて見える。ザックはちゃんと働いて子供の養育費は払っている様だったけどお酒の飲み過ぎなのが気になりました。
キアーは移住先で就職し、なんとスケボー関係のスポンサーが2社ついたそうです‼️(と言うことはスケボーはセミプロ並の上手さなのですね)。それを聞いて他人事ながらとても嬉しかったです。キアーの場合はスケボーがあったから生きてこられたというのを地で行っていると思いました。

ビンは本作で映画監督になるという夢を叶えました。本作は無駄が無く余計な脚色も無く等身大の彼等をリアルに伝えています。音楽も自然体で映像に合っていました。ストレートに心に響く素晴らしいドキュメンタリーです。ビン・リュはー才能のある人だと思います。

因みにオバマ元大統領絶賛作品だそうですが、以前別のオバマ元大統領絶賛作品(エイス・グレード)を見た時は、悪くはないけど傑作とは思わなかったが、本作は傑作だと思いました。

本作を見て思ったこと。人生は頑張って生きるしかない。それしか幸せになる方法は無い。不幸を環境や他人のせいにしても何も変わらない。当たり前のことですがそのものすばりの内容です。

直接は全然関係ないけれどビン・リューが中国系の人(おそらく)ということもあって「幸福路のチー」を思い出しました。台湾映画ですが。自分の地元が舞台、将来の夢、チー(監督がモデル)も同級生も問題を抱えながら生きている、人種差別、暴力(弾圧)、親との関係、チーはアーティスト(映画監督)になった。などチーの方がずっと和み系作品ではありますが、しみじみとしたヒューマンドラマという意味で。


お勧め作品です‼️本当に観て良かったです。

★★★★★★★★☆








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