ヒトラーに盗られたうさぎ
- 2020/11/29
- 19:34

2019 119分 ドイツ
ドイツの世界的絵本作家ジュディス・カーによる自伝的児童文学を「点子ちゃんとアントン」「名もなきアフリカの地で」のカロリーヌ・リンク監督が映画化した家族ドラマ。ヒトラーの台頭で故郷のベルリンを離れ、過酷な逃亡生活を余儀なくされるユダヤ人一家の姿を、9歳の少女の目を通して描き出す。主演は新人のリーヴァ・クリマロフスキ、共演にオリヴァー・マスッチ、カーラ・ユーリ。
1933年2月、ベルリン。兄と両親と楽しく過ごしていた9歳の少女アンナ・ケンパー。しかしある日、母から家族でスイスに行くと突然告げられる。ヒトラーが次の選挙で勝つかもしれず、ヒトラーを批判してきたユダヤ人で演劇批評家の父にも危険が迫っていたのだった。スイスでアンナに友だちができて少しずつ新たな生活にも慣れてきたころ、ユリウスおじさんやって来て、ベルリンの家のものはナチスが何もかも奪っていったと教えてくれた。やがてアンナは10歳となり、家族は父の仕事先を求めてパリへと向かうのだったが…。
1933年2月、ベルリン。兄と両親と楽しく過ごしていた9歳の少女アンナ・ケンパー。しかしある日、母から家族でスイスに行くと突然告げられる。ヒトラーが次の選挙で勝つかもしれず、ヒトラーを批判してきたユダヤ人で演劇批評家の父にも危険が迫っていたのだった。スイスでアンナに友だちができて少しずつ新たな生活にも慣れてきたころ、ユリウスおじさんやって来て、ベルリンの家のものはナチスが何もかも奪っていったと教えてくれた。やがてアンナは10歳となり、家族は父の仕事先を求めてパリへと向かうのだったが…。
allcinemaより
事前知識無く観ました。観ている内にこれは実話なのだなと。何故なら特にドラチックな展開など無く平凡な話だったからです。こういう平凡な話を映画化するのは著名人の自伝だろうと。やはりそうでした。と言ってもつまらなくはなかったです。主演の女の子がとても表情が豊かで存在感がありました。お兄ちゃんも両親も叔父さんも良かったです。仲の良い家族なのが素敵でした。一際職人芸が光っていたのはドイツの自宅で乳母役だった女性。彼女はそのままドイツに残るのですが一家を思う深い気持ちに泣けました😭
個人的に一番印象的だったのはスイスの景色です。只々美しい。スイスでアンナの友だちになった女の子の素朴な可愛らしさ、アンナが好きだからいじめるやんちゃでイケメンな男の子が良かった。双方ともにアンナとの別れのシーンが印象的です。
パリに行ってからは経済的に行き詰まりいつもお腹が空いていて家賃も払えない状態に。当然ぎすぎすしてしまう家族でしたが、そんな中でもパパがママにチョコレートケーキを、息子にエスカルゴをプレゼントするシーンが和みました。特にママとパパが公園のベンチに仲睦まじく座り、ママがケーキにかぶりつくシーンは幸福の象徴に思えて最高に素敵でした。パパは批評家としては辛辣な人でプライドも高かった様ですが、家族想いの人だったんだなと。
ジュディス・カーは昨年95歳で亡くなられました。まだ9歳の女の子が母国を追われたのはとても大変なことでしたが、それでも戦争になる前に亡命し、イギリスに落ち着き、その後絵本作家として成功し95年の天寿を全うした人生は好運だったと思います。ユダヤ人というだけで迫害され命を落とした人が何百万もいたのですから。
本作を観てエセルとアーネストを思い出しました。共通点は二人とも絵本作家になったというところと、レイモンド・ブリッグズは1934年生まれなのでジュディス・カーの方が9つ年上ですが同じ時代をロンドンで過ごしました(ブリッグズは戦時中は疎開していた様でしたが。ジュディス・カーは分かりません)。エセルとアーネストはブリッグズの両親の話で40年間に亘る物語。本作(うさぎ)はファミリーの話ではありますが、主役はアンナ(ジュディス・カー)で母国を出てイギリスに向かうことになったところまでの短期間の話。あと実写とアニメ、本国生まれと移民という違いもあります。別に特に結びつけることは無いのですが実在した人の伝記はとても興味深いということと、たまたま同じ時代に同じ国で生き、同じ職業に就いた、両親が子供をとても愛していたというところで結びつきました。内容はエセルとアーネストの方がずっと面白かったです。アニメというところも大きいと思いますが(私は特にアニメファンではありませんが本作はとても大好きでした。味わい深かったです)。
アンナ役の女の子がとても素晴らしかったので立派な女優さんに成長してほしいと思いました。素晴らしい子役でも消えてしまって残念に思う人が結構いるので。
★★★★★