恋人たち
- 2021/01/16
- 13:05

2015 140分 日本
「ハッシュ!」「ぐるりのこと。」の橋口亮輔監督が、現代の日本で生きづらさを抱えながらもひたむきに生きている3人の男女を主人公に描く絶望と再生の人間ドラマ。主演は橋口監督が続けているワークショップなどを通して見出されたほぼ無名の俳優、篠原篤、成嶋瞳子、池田良。
橋梁のコンクリートをハンマーで叩き破損の有無をチェックする橋梁点検の仕事をしながら裁判のために奔走するアツシ。数年前、最愛の妻を通り魔殺人事件で失い、今なおその喪失感と犯人への憎しみから立ち直れずにいる。自分に関心を持たない夫と、ソリが合わない姑と3人暮らしの退屈な毎日を送る主婦、瞳子。ある日、ひとりの中年男とひょんなことから親しくなっていく。同性愛者で、完璧主義のエリート弁護士、四ノ宮。一緒に暮らす恋人がいながらも、秘かに学生時代からの男友だちを想い続けていた。そんな不器用ながらも懸命に日々を生きている3人だったが…。
橋梁のコンクリートをハンマーで叩き破損の有無をチェックする橋梁点検の仕事をしながら裁判のために奔走するアツシ。数年前、最愛の妻を通り魔殺人事件で失い、今なおその喪失感と犯人への憎しみから立ち直れずにいる。自分に関心を持たない夫と、ソリが合わない姑と3人暮らしの退屈な毎日を送る主婦、瞳子。ある日、ひとりの中年男とひょんなことから親しくなっていく。同性愛者で、完璧主義のエリート弁護士、四ノ宮。一緒に暮らす恋人がいながらも、秘かに学生時代からの男友だちを想い続けていた。そんな不器用ながらも懸命に日々を生きている3人だったが…。
allcinemaより
救い様の無い話だなあと思いながら見ていました。正にライフイズアビッチという感じです。
3人の内で一番分かる気がすると思ったのは主婦瞳子。(★ネタバレ注意★)姑と夫は完全にモラハラ。よくあんな家で生きてるなあと。でも他に行くところも無いし。自分で選んだ人だし。と諦めの境地。でも心の中では自作の小説に描いたように王子様を夢見ている。ある日本当に王子様が現れた。ちょっと(大分)くたびれた王子様だけど。一瞬瞳子の人生に光が差す。でも王子様は只の詐欺師でヒモでヤク中だった。結局人生は○ソのままというオチ。よくありそうな話だけど。
私そのあとが好きじゃなかったんですよ。最後に瞳子の夫が瞳子にちょっといいことを言うのですよね。あんなモラハラ夫があんな台詞を言うとはどうしても思えませんでした。歳は幾つか知らないけど二人とも若くは見えなかったので年齢的にも不自然でした。とても違和感がありましたね。もしかしたら瞳子が他の男と駆け落ちしようとしたのを知って夫が少しは目が覚めたのかなと思ったのですが。でもやっぱり違和感しか無かったなー。
アツシは同情はするけどあんな風に腐っている暇があるなら奥さんの分まで必死で生きろと思ってしまった(私は彼を見ていてあの悲惨な母子殺人事件の遺族の男性が、犯人の死刑を求めて毅然と戦い続けた姿が脳裡に浮かびました)。裁判だって諦めなければいつか光が見えるかもしれない。
ゲイの弁護士の電話の独り語りもうーんて感じかなあ。
主演の人たちの演技もイマイチだったかと。個人的には瞳子役の女優さんは良かったと思うけど。駄目男役の光石研さんは流石ですね。ヤク中のシーンとか凄い。木野花さんは毒姑役はお任せですね!(笑)
ドキュメンタリーフィルムの様な趣は印象的だったけれど、どうも終盤の取って付けた様な希望の持たせ方がしっくり来なかった。アツシは精神的にダメージが大きかったので立ち直るにしてもかなり時間がかかったと思うけどその過程が描かれていなかったので説得力に欠ける。リリーフランキーもとりあえず出しました感が否めない。
唯一いいなあと思ったのはアツシの職場の社長。アツシの愚痴を淡々と聞いて、「(人を)殺しちゃ駄目だよ。殺しちゃったらこうやって話せないよ。もっと話したいから。人間は美味しいもの食べて笑わないと」この最後の言葉に慰められました。今世の中がこうだから皆ストレス抱えて生きているけれど、とりあえず美味しいご飯食べて温かいお風呂入ってちゃんと眠って生きていくしかないもんね。
ということでどうも消化不良の感が大きかったです。
タイトルが内容に合わないという意見が多い様でしたが。私の解釈はアツシが街をさ迷っている時におバカなカップルがいましたが、あの二人に象徴されるのではと思いました。アツシが後でそのことを独り言で奥さんに語る時、「楽しそうだった。俺たちもああいう(楽しかった)時があったよね」と言っていましたがそういう意味だと思います。瞳子もかつて夫と、弁護士は片想いだけどかつて友人と、アツシも奥さんと恋人たちの様な楽しい時があったのだけれど今は。。。という意味なんじゃないのかなあと。時は移ろう。でも人生は続く。
★★★