ずっとお城で暮らしてる

2019      96分　　アメリカ

ある一家が殺された家に暮らす若い妹と、その犯人とされる姉。そこで新たな惨劇が幕を開ける……。人気作家による同名小説を原作とした、ダークでヘビーな本格サスペンス。

地方にある大きな屋敷。18歳のメリキャットは、6年前、ヒ素を盛って両親などの家族を殺した姉コンスタンスをそれでも愛し、彼女や、事件以来、車いすに乗るようになった伯父ジュリアンと暮らす。だが同じ村の住民たちからは忌み嫌われており、メリキャットは魔法を信じることで現実逃避をしがちだった。ある日、姉妹のいとこチャールズが会いに来て、しばらく屋敷に滞在することに。コンスタンスは彼と親しくなっていくが……。

WOWOWより

　　　　　　

　

　

面白かったです。サスペンスとしては平坦なストーリーで鈍い私でも早めに落ちが分かりました。でもそこに込められた意味は非常にダークです。雰囲気が物凄く良くて思わず見入ってしまいました。怖い童話を思わせる様な雰囲気。美術、衣装が個性的。各キャストもハマっていたと思います。お姉さんが城の外に一歩も出られないという設定も正に童話ですね。一番衝撃だったのは村人たちの一家への憎悪。メリキャットと顔を合わせれば子供でも大人でも魔女だの出て行けだの言いたい放題。このことからもメリキャットの一族が人々に愛されていなかったことが分かります。ここから既に闇を感じますね。終盤の暴動シーンは『その男ゾルバ！』を思い出してしまいました。舞台になった島の人々は本能剥き出しだったので。

何が怖いってタイトルが一番怖いですね。姉妹にとってこのお城は幸せな場所とは思えませんが、それでも私たちはここで暮らしてきたしこれからもずっとここで暮らすのよという信念の象徴です。本作は邦題も原作のままなのでそれは良かったと思います。

原作者のシャーリー・ジャクソンは人間の心の闇を描き続けた作家とのこと。それは本作を見ただけでも頷けます。

製作総指揮にあのマイケル・ダグラス。シャーリー・ジャクソンの息子さんの名前も。

★★★★★★★