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冬の小鳥




2009  92分 韓国 フランス


これが監督デビューとなるウニー・ルコントが、その脚本に惚れ込んだ「オアシス」「シークレット・サンシャイン」のイ・チャンドン監督のプロデュースを得て撮り上げた韓国・フランス合作映画。実際に韓国のカトリック系児童養護施設からフランスの家庭に養女として引き取られた監督自らの体験をベースに、過酷な運命を受入れ悲しみを乗り越えていく一人の少女の心の軌跡を繊細に描き出す。
1975年、韓国。9歳のジニは、大好きな父に連れられ、ソウル郊外へとやって来る。浮かれ気分も束の間、何も分からないまま、ある施設の門をくぐる。やがて父だけが黙って施設を後にする。そこは、孤児が集まるカトリックの児童養護施設だったのだ。父が必ず迎えに来てくれると信じるジニは、自分は孤児ではないと周囲に馴染むことを頑なに拒み、反発を繰り返す。そんな反抗的なジニを、先輩のスッキが気に掛け、何かと面倒を見る。そして、少しずつスッキに心を開き始めるジニだったが…。


from allcinema









ずっと見なくては思っていた作品でしたがやっと見れました
とても素晴らしかったです
大好きなお父さんにある日突然捨てられて見知らぬ場所で孤独の淵に落とされた少女が新しい人生を歩み始めるまでを追ったお話です

こういうのってどうしても大人の勝手な理由で孤児になる子が不憫で親に対して憤りを感じてしまいます
今作もジニがお父さん大好きっ子だったので余計不憫でお父さんに怒りを覚えました
やむを得ない事情で一時的に預けられるならともかくジニの場合大人の事情で完全に縁を切られたのです
いつか実家が孤児院を営んでいる某タレントさんがTVで
「子供は捨てられたことを覚えていて思い出して泣くんですよ。」と泣きながら言っていたのをいつも思い出してしまいます
しかし育児放棄した親の元にいるよりも大切にしてくれる養父母の元にいる方がずっと幸せなのは事実です
でも新たな幸せを掴むまでの間にこどもの心はボロボロになります
いつの時代も心に傷を負うのはこどもです
この世の全てのこどもを慈しまねばなりません
それは人類の義務なのです
安倍首相も言ってました
未来を担う子供の教育は我々の最大の義務と言えると
(偉そうにすみません。でもそう思います)


ジニ役の女の子の存在感が素晴らしくジニの気持ちが手に取るように伝わりました
見終わった後しみじみとした感慨がありました
それにしてもデビュー作でこんな素晴らしい作品を作れるなんて凄い人だな~と思いました
見終わった後「これは監督さんの自叙伝的作品ではないのか?きっとそうだと思う」と思い実際そうだと↑allcinemaの解説に書いてあるのを知らずにネットで色々調べたら韓国生まれで9歳でフランスに渡ったとバイオにありやはりそうだと知りました

こちらが監督のウニー・ルコントさん

1966年 ソウル生まれ






まるでこの作品の様な透明感、余計な演出の無いシンプルなイメージそのままの方だなぁと思いました
世の中には才能のある女性監督さんいますよね~
最近では館で観た『少年は』残酷な弓を射る』のリン・ラムジーさんも凄いなぁと思いました

ウニーさんは過去には女優として映画に出演したり服飾関係のお仕事をなさっていたそうですが脚本を書くワークショップに参加して書いたこの本がいきなり陽の目を見てしかも自らの監督で作品化されたというのが超素晴らしい(@_@。
しかもバックアップをしたのがあのイ・チャンドンさんというから素晴らしすぎます
私はイ・チャンドンさん作品が超大好きだけど(オアシス超最高です)この作品はイ監督がらみとは全然知らなかったんですがやっぱり自分の嗅覚ってタイプの作品に行き着くらしいですね(^_^;)

イ監督がこの本に惚れ込んだって凄く分かる気がしました
オアシスで主演した女優さんがイ監督について
「社会的に弱い立場にいる人間にしか興味が無い人。」
と言っていたのを覚えていますがこの作品のジニは正にそうです
劇中にジニとスッキがシスターに秘密で面倒を見ている怪我をした小鳥が出てきます
普段は施設の片隅に置いていて御飯を運んであげたり時々秘密で自分たちの部屋の中に持ち込んだりして面倒見ていたけどなかなか自力で飛べるようにならない
まるでいつか施設の中から巣立っていかねばならないけれどなかなか簡単にはいかない(今はここにいるしかない)彼女たちの辛い立場を象徴している様でした


施設の中での忘れられないエピソードがあります
ある日スッキが夜に一人で洗濯しているのを目撃したジニはその洗濯物を見てビックリ
まだ幼いジニはそれが女の子の生理というものだとは全く知りません
スッキはジニに今見たことを誰にも言うなと固く口止めします
後日スッキの説明で事情を理解したジニが言います
「(生理は)普通のことなのに何故隠すの?」
ジニが言います
「ばれるともらい手が無いの。」


つまり生理がある様な年齢の女の子はもう引き取り手がないという意味でしょう
そんなに大変な世界なのかと驚愕でした
適齢期の婚活より熾烈な世界という印象を受けてしまいました(実際に事情は知りませんけれども)
他に施設の孤児の年長者が自分の望んでいない先に泣く泣く引き取られていくエピソードも人生って不公平だなぁと悲しくなりました


孤児というと『エスター』を思い出します(原題はそのまま『孤児』です)
彼女は初対面のときの養父母へのアプローチが上手でしたね
スッキと被りました
あと『天国の日々』のビリーの妹のリンダを思い出しました
彼女はあの後どうやって生きていったのかなとずっと気になっています
あの時代はああいう子供たちが沢山いたんだろうなぁと


因みにウニーさんは大人になってから韓国に戻った時元の家族と対面したそうです又そのあたりの経験を反映した本が書かれて続編がつくられるのかな??と思っているのですがどうなのでしょうか









ヒューマンドラマ好きな方には絶対お勧めです!!!


TV(BS)にて
☆☆☆☆☆☆☆☆


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