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象は静かに座っている

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2018   234分 中国

鮮烈な長編デビュー作にして、本作完成後に29歳の若さで自ら命を絶ったフー・ボー監督による上映時間4時間弱に及ぶ渾身の叙事詩大作。中国の寂れた田舎町で先の見えない鬱屈した日々を送る年齢のバラバラな4人の男女が、やがて2300km離れた動物園にいるという一日中ただ座り続けている象を見るために旅立つ姿を描き出す。出演はチャン・ユー、ポン・ユーチャン、ワン・ユーウェン、リー・ツォンシー。

allcinemaより

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存在は知っていて気になっていたのですが、見たら凄く落ち込む予感がしたので見ないで来ました。でもとても高評価なので気になって見ました。

久しぶりに長尺作品を見ました。普通に面白かったですが傑作とは思いませんし、お勧めしたいと思う作品でもないです。海外の映画サイトでも凄く高評価なのがびっくりです。

内容は不遇な人生を生きている4人の人物が、ある出来事を介して繋がり、とある象に会いにその地に向かうというもの。


登場人物が皆最低で賢明な人が一人もいない(特に年配の男性が大切にしてきた犬の亡骸を袋に入れてゴミの様に投げ捨てるシーンが信じられなかった)。皆不幸なことを他人のせいにしている。劇中に「死ねばいいのに」「殺すぞ」という言葉が頻繁に出てくる。見ていて心が荒んでくる映画だった。

雰囲気は良い。手前の人物にだけ焦点が当たっていてその後ろはボヤけている特徴的な映像。イケメンのヤクザ役の俳優の雰囲気が素敵だった。同じ場所、時間のシーンを登場人物別の視点で時間差で見せる演出も面白かった(大好きなドラマ『アフェア』を思い出させました)。

でもそれだけ。感動には程遠い。
私は不幸な話は好きだけどこの映画はただ不幸なだけだから好きじゃない。この世界は本当に酷いところだということを延々と訴えているだけ。その表現が長すぎるしくどい。

本作の表現方法がタル・ベーラに例えられている様ですが、私は『ニーチェの馬』しか見ていないけれど断然ニーチェの馬の方が好きです。ニーチェの馬は俯瞰でそこにいる人々と状況を淡々と捉えているのが素晴らしかった。本作は言葉もシーンも多すぎる。

行き止まりの世界に生まれて』をお勧めします。経済が死んでいる街で不幸な生い立ちの元に育った少年たちの話です。彼らはDVを受けたり、一生懸命貯めたお金を身内に取られたりと本当に不幸でしたが腐らずに生きてそれぞれの生きる道を見つけました。ドキュメンタリーなので本作とは基本が違いますが、不幸な境遇の中から努力して新たな人生を踏み出した彼らに希望と感動を覚えました。不幸だと言っているだけの本作には共感できない。象に会いに行くのはいいけれどそれで人生が変わるとは思えないからそこもピンと来ない。ピストルの少年も短絡的すぎる。皆不条理な世の中を賢明に生きているんだよ。最後の象の鳴き声も突然でびっくりした。

監督には生きて映画製作を続けて欲しかった。

★★☆

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