
2009 106分 ベトナム
「愛の落日」「モン族の少女 パオの物語」のドー・ハーイ・イエンが主演した2009年製作のベトナム映画。新婚でありながら満たされない思いを抱えるヒロインの葛藤を見つめた異色のアートハウス系作品。共演に「インドシナ」「ミスター・ノーバディ」のリン・ダン・ファン。監督は「癒やされた地」のブイ・タク・チュエン。
ハノイに暮らすズエンはタクシー運転手のハイと出会って3ヵ月で結婚する。結婚式でハイは酔いつぶれ、ズエンはそんな新郎をもてあます。ある日、式に来られなかった友人を訪ねたズエンは、友人から帰りに届けてほしいと手紙を預かる。ところがズエンは、手紙の相手トーに襲われてしまう。しかしトーの危険な魅力の前に、女の欲望が目覚めていくズエンだったが…。
allcinemaより
たまたま見つけて気になって見ました。2009の作品ですが劇場公開されたのが2019の様です。
タイトルの如く漂うように生きている人々の物語です。そもそも普通に考えてズエンとハイの組み合わせが無理があります。ズエンは通訳の仕事をしている美女。かなり美人です。夫のハイはタクシー運転手でマザコン。ズエンに特に優しくない。性格も適当。容姿も特にイケメンではない。どうみても不釣り合いですが😑(余計なお世話だけど)。出会って3ヶ月で結婚したというのも早すぎて疑問。熱烈な恋に落ちる関係には見えないけどなあ。相手がトーなら分かるけどなあ。
如何にも女性がメロメロになりそうなタイプだもの。トーも出会っていきなりズエンを襲うという最低の奴なのだけどでもズエンはトーを好きになる。トーはとても優しい。でもとても残酷。これも女性が惹かれるタイプですね😢
因みにこのトー役の俳優(ジョニー・グエン)はスパイク・リーの5ブラッズに出ていたということですが気がつきませんでした。おそらくベトコン役で出ていたと思いますがまた見てみます。
登場人物たちが皆変です。皆何考えてるのかなあという感じ。まともなのはズエンのお祖母ちゃん位ですね。ズエンも不倫はしてしまいますが基本はまともです。あの夫じゃしょうがないよねと同情してしまいます。トーなら傾いてしまうのも無理はない🥺
あまり何を言いたいのか分からなかったが微妙な女心と人生とは移ろいやすいものであるということかなあ。心と身体は裏腹だってことかな。
個人的に好きだったのは登場人物たちが暮らしている住宅の風景。床に扉がある屋根裏部屋みたいな部屋とか窓に鉄格子があって硝子が無かったり。どの部屋も暗い。ドラム缶をくりぬいたバスタブ。レトロな調度品や植物。凄くレトロ感満載で昔の日本を思わせるような。昔の話かと思ってしまいましたが現代の話でした。あと薬草風呂(ジャケットの画像)。お釜の様なものに薬草を入れて蒸す。そのそばで布を被ってじっとしている。要するに簡易な薬草サウナですね。面白かったけど結構苦しそうにも見えました。
ズエンが女友達の髪を庭でお手入れしている風景も印象的でした。ベトナム的ヘッドスパですね。
今気に入って見ているYouTubeチャンネルがベトナム人のチャンネルということもあって見ていたらベトナムに行きたくなりました。以前一度ベトナム旅行に行くことを決めてお金も払って体調不良でキャンセルしたのが悔やまれます🙇今では本当にいつ行けるか分からないですね😢
そう言えばハロン湾と思われる場所が出てきてそこで観光客たちが遊覧船から飛び込んで泳いでいたのですがハロン湾て泳いでいいのですか⁉️知りませんでした。
そのハロン湾で事件が起きるのですがその時のトーがとても素敵なんです。この人まともだったんだと思わせるシーンでした。
他に個人的に気になったエピソードはグエンのお祖父ちゃんの秘めた恋。グエンがお祖父ちゃんの古い写真を見つけてそこに若き日のお祖父ちゃんと知らない女性の2ショット。グエンのお祖母ちゃんはその女性を知らないと。お祖母ちゃんの台詞「知らない方がいいこともある」はその通り。カーネーションの糸ちゃんの夫を思い出しました。写真は残しちゃ駄目。後から罪なことになるから。
個人的なベストシーンはラスト近くの階段のシーン。曲線の階段でやっぱり暗い。グエンの顔の影。手すりの仄かな輝。素敵すぎ。人生で一番幸せな瞬間だと思うなあ。あれよりも後でも先でもなくてこの瞬間が。ラストシーンも意味深です。エンドロールが始まるまでの音の余韻がまた良い。
トレイラーに使われている曲。何を言っているのか分かりませんが超アバンギャルドな曲で印象的でした。聴く度に神経を逆撫でされます。
万人向けではありませんが私は見て良かったです。雰囲気ものが好きな人にはい良いかもです。
雰囲気も良かったけどジョニー・グエンが素敵だったので評価高めで。
★★★★★★★