ラスト・パラディーゾ
- 2021/04/06
- 00:26

実話ベースの話が好きなので見ました。基本的にとても好みでした。市井の人たちの実際にあったであろう話。美しい風景。悲惨な話でしたが、この時代にはこういうことってあったんだろうなと思います。
主人公のチッチオは気骨のある男で、労働者たちから搾取している権力者たちにも怯まない。しかし無類の女好きが玉に瑕。チッチオの祖父は還暦の頃10代の女性と駆け落ちして戻らなかった。やはり頑固な男だったらしい。朝帰りしたチッチオに母は「お前は祖父の血を引いている」と毒づく。そんなチッチオが惚れ込んだのが町の権力者の娘ビアンカだった。二人は逃避行の計画を立てていたが。。。
というお話です。不倫ではありましたが、チッチオとビアンカは本気でした。この話を見ていて思い出したのは『みじかくも美しく燃え』。昔スウェーデンで実際にあった家庭のある伯爵とサーカスの女性団員の逃避行とその結末を描いたお話です。★★ネタバレ注意★★この二人は結局破滅するしかなかったのですが、チッチオは逞しい男だったので逃避行しても何とか生き延びたと思われますが、そこが上手く行っては映画になりませんね。これ以上は言いませんが。
他にこれを見ていて思い出したのが『ドッグマン』。これも実話ベースです。人は人に嫌なことをすると因果応報ということを肝に命じて生きねばなりません。
ということで基本的にとても好みの映画でしたが謎の部分が2つありました。一つはある事件が起こるのですがその犯人が分からないこと(ハネケの『白いリボン』を思い出してしまった。傍若無人な人も出てくるし)。もう一つは結末。何故そうなるのかまったく分からなかった。説明も無い。厳密にはもう一つ分からなかったことが。それはタイトル。原題はL'ultimo Paradisoです。パラディーゾはチッチオの姓です。L'ultimoは「最後の」。それで意味が分からなかったのですが、チッチオには息子がいるので「最後のパラディーゾ」は現状ではチッチオの息子です。でも物語的にはそうではない。それでもう一度L'ultimoの意味を調べたら「前の」とありました。これで分かりました。これはつまりチッチオの兄のことです。素晴らしいタイトルだなあと思いました。違うのかな?イタリア語に詳しい方教えてください。それでもやっぱり結末は(?_?)です。
もうとにかくビアンカの父親ともう一人労働者たちから搾取していた男が言葉にならないくらいの外道です。ああいう輩がいるから血生臭いことが起こってしまうのですね。益々ハネケの白いリボンを思い出しますが(怒)🌋
ところでチッチオのお祖父さんはどんな晩年だったのか気になります。愛人に捨てられるのが落ちかなあ。もし死ぬまで幸せだったなら許せない。でもそういう人もいるのかも。
チッチオの「ここで死ねない」は分かる気がする。私は逃避行は興味無いけど。あとチッチオは奥さんのことも愛してました。それも罪だけど。色々な意味で子どもが可哀想。
あとチッチオとお父さんがあまりにも似てない。お父さん役の人が監督でした。役は別の俳優にするべきだったと思う。女優さんたちは皆良かった❗
★★★★★★☆