2010 94分 ルーマニア/スウェーデン/ドイツ
2010年・第60回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員グランプリ)とアルフレッド・バウアー賞をダブル受賞したドラマ。少年院の刑期があと5日で終わるシルビウのもとに、出奔していた母親が突然面会に訪れ、それまでシルビウが大事に育ててきた弟を連れ去ろうとするが……。カンヌ、ベルリン、ベネチアの3大映画祭受賞作を中心に日本未公開だった作品を一挙上映する「三大映画祭週間2012」で公開。
from 映画.com
久しぶりに新鮮で勢いのあるものを見たという気がしました(最近では『少年は残酷な弓を射る』を見たときも思った)
作られた国を確認せず見始めたので作品中で使われている言葉が何語なのか全く分からず(聞いたことが無い言語)舞台がどこの国なのかも分からず見ている間ず~~~~~っと「これって何語??どこの人々?(登場する人々の顔を見ていてもどこの民族か全く分からない))」と考えてましたが見終わって確かめたらルーマニアが舞台で言語はルーマニア語と判明(↑下の方の写真のタイトルが原題です(ルーマニア語と思います)
しかしこの邦題『俺の笛を聞け』を聞いてあの曲♪俺の、俺の、俺の話を聞け~~♪を想起する人は少なくないのではないかと(^o^;)私はすぐこのメロが頭に浮かんでしまいました(笑)
実際今作の主人公のシルビウも「俺の話を聞け!!!!!!!!」状態でありましたが
身勝手な毒親(毒母)に運命を翻弄される少年の話です
大切な弟が待つ家にやっともうすぐ帰れるというところに毒母がいきなり現れ弟を連れてイタリアに行くと言う
あくまでも身勝手な母親はシルビウが家に戻るまで待たずに明日弟を連れて経つという
シルビウはそれを阻止する為にできる限りのことをするが現実は弟と電話で話すこともままならない
しかも院内の嫌な奴が高圧的な態度を取ってくる
八方ふさがりのシルビウはついに・・・(続きは作品をご覧ください(^_^;))
シルビウ役の人がとても良かった(シルビウの気持ちがよく伝わった)
面会に来たのが弟と聞いてすぐに水道の所に行って頭と顔を洗い靴を磨いていた彼の動作にどれだけシルビウにとって弟が特別な存在かというのが伝わった(このシーン印象的でした)
その後看守にトイレに行くと言って弟が誰と来たのか外に確かめに行った行動も理解できる(私がシルビウでも同じことをしたいと思う)
この時点で見ている人は既にシルビウの気持ち(状態)が分かるので感情移入し易い
その後母親が面会に来た時母親に暴言を吐き弟を絶対連れて行くなと釘を刺すのも分かる
母親とシルビウの板ばさみになってる弟の困った表情もとても可哀想だった
でもその後の彼の行動はちょっと疑問
これ言っちゃうとネタばれになっちゃうから言えないんだけどちょっと分別無いというか子供じみていると言うか
そこが疑問だった
というのは子供のときから毒母のせいで苦労してきた身なので人一倍忍耐力があると思うから
それ故院内でも模範生として今までやってきていたからもうすぐ出られるという立場だった訳だし
それは弟と又暮らすのを楽しみに頑張れたからというのは分かる
それ故一番大切な弟を連れて行かれるから壊れてしまったというのも分かるんだけど(多分シルビウは院を出ても国外には行けないので弟をイタリアに連れて行かれたらもう諦めるしかなかったのかもしれない。だから命がけになったのだろうというのも分かる)・・・
分かるんだけど・・・でも・・・子供のときから今まで忍耐に忍耐を重ねてきた(不運を受け止めてきた)人間があそこまでやるのか?(あそこまで自己中になれるのか?)彼はとても賢いのだから別の方法もあったのではないのか?
という風に思ってしまいますね
まぁ別の方法だとこれは映画にならないと言えばそうなんですけどね
ハイライトシーンについては言えないので省くけどこの作品ラスト数分がとても余韻が残っていいです
この数分のシルビウの言動全てに彼の心情、人となりが描かれていました
まるで何も無かったかの様なラストシーンは如何に世間が他人や立場の弱い者に対して無関心かということの象徴に思えました
毒親(身勝手な親。愛に欠ける親)は子供を不幸にする
愛の無い毒親をストレートに批判している作品と思います
『少年は残酷な弓を射る』と共通するものを感じましたね
ぜひ見ていただきたい作品です
TV(BS)にて
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