ドゥ・ザ・ライト・シング
- 2021/05/05
- 00:40

1989 120分 アメリカ
スパイク・リー脚本・監督・主演の第4作。舞台は、ブルックリンの黒人街ベッドフォード・スタイヴェサント。街の小さなラジオ局“ウィ・ラブ・ラジオ”をひとりで切り盛りするミスター・セニョール・ラブ・ダンディのDJがモーニング・コールになって、その年一番の暑さを記録することになった夏の一日が始まった。そして物語は、主人公のイタリア人が経営するピザ屋の宅配人ムーキーを軸に、彼の周りの、ヒップな活動家、ストリートの飲んだくれの哲人、ピザ屋を経営するイタリア人親子、小さなスーパーを開いている韓国人の若いカップル、友人達など様々な人種の日常を追ってゆき、その過程で生じるいろいろな問題点を孕みながら、衝撃のラストへと向かって行く……。パブリック・エネミーの“ファイト・ザ・パワー”に乗せて繰り広げられるこの映画は、その奥底に人種問題、政治・経済問題などアメリカが抱える重大な問題意識を抱えながら、そこに監督スパイク・リーの思想・哲学を重ね、強固なテーマを持って展開される。しかし、これだけの要素をかかえた緊張感を維持しながらも、物語は映画に出てくる様々な登場人物たちのスケッチを彼特有のノリのいいセンスでリズミカルにつなぎ合わせてゆき、ユーモアを交えて進行する。そしてその彼らの他愛もない日常の中に潜む、それらの問題点を、独特のカメラワークなどでさり気なく感じさせながら、ラストに一気に露呈させる構造を持ったこの作品は、数あるスパイク・リー作品の中でも最も力強く、抜群のセンスに富んだ傑作である。
allcinemaより
いつか見なくてはと前から思っていてやっと見ました。
☆☆ネタバレ含みます☆☆
途中までコメディなのかと思って見ていたら、最後に『デトロイト』(映画)状態になってびっくり😮スパイク・リーだもの。お笑いだけで終わる訳ないよね。
ぶっちゃけあまり好きじゃなかったです。構成はよくできているとは思いますが。役者も皆濃いし。でも見終わった時に頭に浮かんだのは「正しいことって何なの?」でした。
ろくに仕事もしないムーニーを雇い続けてくれて、これからもここにいていいと言ってくれたピザ屋の店主に対してムーニーが取った行動は甚だ疑問ですね。恩を仇で返すとはこのこと。同胞が目の前で侮辱を受けたとは言え、事の発端はいちゃもんをつけたあの二人ですから。店主は何も悪いことはしていない。黒人が経営するピザ屋があって店の壁に黒人の写真だけが飾られていても、そこに白人が押しかけて白人の写真を飾れとは誰も言わないよ。ムーニーは何故あそこで硝子を破壊する??それをやったらおしまいだよ。あとは破滅しか無いもの。
最後のキング牧師とマルコムXの言葉も共に挙げるのは(相反する内容)何が言いたいのかと。キング牧師の言葉が全てと思います。マルコムXについてはよくは知らないけど、先日『あの夜、マイアミで』を見た時はマルコムXには全く共感できなかった。
警察がラヒームにしたことは32年前の映画だけれど昨今のBLMを象徴している。『シカゴ7裁判』で裁判官が黒人の被告の両手を縛り猿ぐつわをしたことを町山さんが「あれは白人が奴隷たちにして来たことで絶対にやってはいけないこと。今もあれから何十年経っても何も変わってっていないんですよ。」と解説していたのを思い出した。人間て進歩しないのでしょうか。BLMではないが、コロナになっても後悔しないと路上で宴会をする信じられない人々のニュースが頭に浮かび憤ってしまった💢なぜ世の中の迷惑を考えないのか。
オープニングが一番好きでした。曲もダンスもインパクトがあって最高です。登場人物ではメイヤーが一番好きだったなあ。ダニー・アイエロは何十年ぶりで見て懐かしかった(RIP)。セニョール・ラブ・ダンディのスタジオに貼られているポスター(トレイシー・チャップマン、ホイットニー・ヒューストン、アニタ・ベイカー他)がとても懐かしかった。
個人的に面白かったシーンは、自分の家に入ろうとしている白人男性を黒人たちが取り囲んで、黒人「マサチューセッツに帰りな!」白人「ブルックリン生まれだ」黒人たちブーイング。思わず笑ってしまいました。これが現実なら笑うシーンではないですけれど。人の生まれた地にまでいちゃもんつけないで(笑)
本作は個人的にはヒットしませんでしたが、スパイク・リー作品はこれからも見たいと思います。
★★★