本当の僕を教えて
- 2021/07/21
- 01:09

2019 85分 アメリカ
記憶喪失になった双子の兄弟アレックスに思い出話を聞かせるマーカスには、隠しておきたい暗く悲しい家族の秘密があった。
回顧録を基にしたドキュメンタリー。
Netflixより
以前から存在は知っていましたが、ヘビーなんだろうなあと思って見ないでいました。でもやっぱり気になって見たのですが。。。やっぱり暗くて重い話でした🙇
こういう映画を見るといつも思うのですが、世の中には普通の人の顔をしてのうのうと生きている犯罪者がどれだけいるのだろうと。憤りを感じます。
タイトルは、記憶を失ってからのアレックスはマーカスの言うことを信じて生きてきたが、いつからか何かがおかしいと思うようになり、記憶を失う前の自分はどの様に生きていたのか。その頃の僕たち(兄弟)には何があったのかを知りたい。という意味です。
しかしマーカスはそれに関して決して話そうとはしなかった。しかしアレックスは真実を追求し続けた。
その様な内容になっています。(☆☆ネタバレ注意☆☆)アレックスに根負けして終盤でマーカスがついに告白するのですが、そのシーンの前に、その真実は何かを知らないにも関わらず「やめた方がいいと思うよ!聞かない方がいいと思うよ!」と独り言を言った私でした。最悪の内容だと想像がつくからです。
本当に酷い内容でした。あまりにも。
見ていて疑問だったのはこのドキュメンタリーは二人が出版した本がベースになっているということですが、その本の中にはこの真実は書かれているのかということです(マーカスがアレックスに告白したこと)。もしそうならこれはドキュメンタリーではなくて(少なくともあのクライマックスシーンは)演技ということになります。そこが知りたいですね。
それとレビューに「長すぎる。40分(人によっては30分。15分の人も。)で済む内容」というのが複数ありましたが確かにそうかも。ドキュメンタリーとしては内容が浅いです。
この作品は語り手が兄弟2人だけなのです。彼らの両親が問題がある人たちだったということは分かりますが、その情報も断片的なのでもっと深く掘り下げてほしかったです。最近『ウディ・アレンVSミア・ファロー』(HBO制作のドキュメンタリー)を見ていますが、当時の二人を知る人の目撃証言等も入っていて説得力があります。この映画にはそういう部分が足りません。敢えて2人だけで完結させているのでしょうけれど、もの足りません。私は特にアレックスとマーカスの両親についての情報がもっと欲しかったです。どの様な家系でどういう人たちだったのか。ルーツが知りたかった。
二人の両親は色々なものを家に置いていましたがそれらを処分せずに逝きました。息子たちが見たら驚くようなものまでです。私にはそれが不思議でした。私の大好きなドキュメンタリー『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』の主人公、写真家のヴィヴィアン・マイヤーも様々なものを遺して亡くなりました。その中に生前彼女が撮った写真の膨大なネガがありました。お陰で彼女の素晴らしい作品が陽の目を見て多くの人々に感動を与えました。何を言いたいかというと、その様な人の目に触れるべきものは遺していっていいけれど、おぞましいものは処分するべきです。最もそういう思考が無いからこそ飛ぶ鳥跡を濁して一切気にせずなのでしょうね。死ぬ前にドイツで愛した人の思い出を全て焼き払ったという森鴎外はスマートだったなあと改めて思いますが、遺しておいてくれたらなあと思う人は世界中に沢山いるでしょうね。私もいつも思います。
話がずれましたが💧
☆☆雰囲気ネタバレ注意☆☆
この映画を見て思いましたが、当時この悪事に加担していた人たちを今からでも探して罪を償わせるべきです。きっと存命している人がいると思います。絶対に許せません。ウディ・アレンのしたことも決して許されません。本当にがっかり。
この事実を公表した兄弟の勇気に感服します。
★★★★★