最後の日々:生存者が語るホロコースト
- 2021/08/18
- 20:14
1998 87分 アメリカ
Netflixより
製作総指揮スティーヴン・スピルバーグ。1999年度アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞作品とのことです。存在を知りませんでしたが今年リストアされた様で(エンドロールにクレジットがあってそれで知りました)、そのリストア版がNetflixで配信されているのを見ました。
解説の通りWWⅡ末期にユダヤ人強制収容所に収容された5人のハンガリー系ユダヤ人ホロコースト生存者の証言を収めた記録です。
感想はとにかく悲惨であるとしか言葉が出ません。当時の実録映像(沢山の遺体やそれを焼却する様子、信じられない位痩せこけた人々など)も沢山出てくるので本当に見るのは辛いです。しかしこれは当事者たちの証言なので本当に貴重な記録です。今まで見たホロコーストが題材の映画の悲惨なシーンの数々を実際に経験した人たちです。後世まで大切に受け継ぐべき作品です。
当事者たちの語るエピソードはどれも映画のシーンそのものですが、個人的に印象的だったのは上の画像のショートヘアの女性のダイヤモンドのお話です。強制収容所に送られることになった時彼女のお母さんが言いました。「スカートにダイヤモンドを縫い付けたから飢えた時にそれを食べ物と換えなさい」と。『ALWAYS三丁目の夕日』でお母さんが息子のセーターの中に、もしもの時の為にお金を縫い込んだエピソードを思い出しました。息子は後日それに助けられました。とても心暖まるエピソードでしたが、あれは高度経済成長期に国民が希望に向かって生きていた時代のお話。彼女に託されたダイヤモンドはこれから正にサバイバルを生き抜く為の糧だったのです。以来彼女は必死でそのダイヤモンドを守ってきました。口の中をチェックされるので何度も飲んで排泄してそれを見つけてまた飲んでを繰り返して。正に彼女と共にダイヤモンドも地獄を生き抜いたのです。心に残るストーリーでした。彼女が言っていました。「ナチは私から家族も何もかも全て奪った。でも私の魂だけは奪えなかった」と。
一つ不満と言うか残念だったのは解放後の各人のヒストリーが殆んど描かれていないことです。もう少し知りたかったです。
20年以上前の作品なので出演者で鬼籍に入られた方もいらっしゃる様です。天国に召された方もご存命の方も皆様の魂が安らかであります様に。
以下作品より
『非人道的行為の歴史は長く ホロコーストはその一章と考えるべきだ 黙殺はできない 人種 肌の色 信条のために 多くの人に与えられた差別を
奴隷制度や魔女の火あぶりも ローマ時代のキリスト教徒殺害も
ホロコーストはそうした悲劇の到達点かもしれない
人間が誠実さと 命の尊厳への確信を
失った結果かもしれない』
★★★★★★★★