すばらしき世界
- 2021/10/13
- 00:12

2020 日本 126分
「ディア・ドクター」「永い言い訳」の西川美和監督が直木賞作家・佐木隆三のノンフィクション小説『身分帳』を原案に、役所広司主演で描く感動の人間ドラマ。真っ直ぐで思いやりもあるが癇癪持ちの元殺人犯を主人公に、カタギとして人生をやり直そうと奮闘するものの、なかなか世間のルールと折り合いをつけられず悪戦苦闘する姿と、そんな彼に手を差しのべる人々との心の触れ合いを見つめていく。共演は仲野太賀、六角精児、長澤まさみ、安田成美、梶芽衣子、橋爪功。
13年の刑期を終え、旭川刑務所から出所した元殺人犯の三上正夫。今度こそカタギとしてまっとうに生きるとの決意を胸に上京した彼は、身元引受人となった弁護士の庄司とその妻・敦子に温かく迎えられる。一方、小説家への転身を目指していたTVディレクター津乃田のもとに、やり手のTVプロデューサー吉澤からある依頼が持ち込まれる。それは社会復帰を目指す前科者・三上の密着ドキュメンタリー番組を制作するというもの。受刑者の経歴を詳細に記した刑務所の個人台帳である“身分帳”の写しに目を通した津乃田は、その壮絶な過去に怖気づきながらも、下町のおんぼろアパートで新生活をスタートさせた三上への取材を開始するのだったが…。
13年の刑期を終え、旭川刑務所から出所した元殺人犯の三上正夫。今度こそカタギとしてまっとうに生きるとの決意を胸に上京した彼は、身元引受人となった弁護士の庄司とその妻・敦子に温かく迎えられる。一方、小説家への転身を目指していたTVディレクター津乃田のもとに、やり手のTVプロデューサー吉澤からある依頼が持ち込まれる。それは社会復帰を目指す前科者・三上の密着ドキュメンタリー番組を制作するというもの。受刑者の経歴を詳細に記した刑務所の個人台帳である“身分帳”の写しに目を通した津乃田は、その壮絶な過去に怖気づきながらも、下町のおんぼろアパートで新生活をスタートさせた三上への取材を開始するのだったが…。
allcinemaより
『ヤクザと家族』のレビューを見ていたら本作品と比較しているものが多くあり、その中に「(本作品の方が)リアリティがある」という意見が印象的でずっと見たいと思っていました。
確かに本作品の方がリアリティがあるかもしれません。実話ベースですしね(原作は読んでいませんが)。『ヤクザと家族』の中でもヤクザの時代は終わったと言われ、組員たちも食べるのに苦労していましたが三上の様な古いタイプの男は尚更生きていくのは大変でしょうね。原作を読んでみたいです。
最近『孤狼の血』(最初の方)を見て役所さんの凄さを実感しましたが、本作もまた見事で。日本の宝ですね。でも何をやっても根底に品の良さ、人の良さが垣間見える気がします。
本作で一番不快だったのは介護施設で障害のある後輩を苛める職員のシーンです。特に後輩の真似をしているシーン。三上のぶち切れ寸前のシーンです。差別以外の何物でもない。仕事を真面目にやっていてもああいうことをやっていたら本末転倒でしょう。彼(後輩)もまた弱者なのですから入居者たちと同じ様に守ってあげないと。生きにくい世の中の末端を見た気持ちです。
★★完全ネタバレ注意★★
結末は早めに分かりました。三上の命の灯火が消えそうなのは冒頭から見えていましたから。後半はいつ死んでしまうのかとハラハラしながら見ることになりました。子供たちとサッカーのシーンで地面に膝まづいた時逝ってしまったのかと思いました😣
終盤三上のアパートの引きのショットで竿に残された洗濯物と風に踊るカーテンを見たときにああついにと。でも私は良いときに逝ったと思うのです。確かに人生これからでしたがもう寿命でしたから。あれだけできなかった我慢をやっとできて人として成長し、周りの人々に親切にしてもらい、かつての恋人との再会もすることになり明るい気持ちで逝った。それがせめてもの救いでした。ヤクザに戻らずに堅気として逝ったのは立派だったと思います。死んだときに号泣してくれる人がいるのも幸せでしたね。
六角精児の店長役は違和感がありました。世間は地獄耳ですから三上の素性は町内会の知るところとなるでしょう。客商売であのように元ヤクザと客の前で懇意に話すというのはたちまち人の噂になるでしょう。個人的には良い人だと思いますが現実的には無いでしょうね。そこが世の中が生きにくいところですがそれが現実でしょう。
印象に残った台詞は長澤まさみが仲野太賀に言った「撮らないならケンカを止める。止めとめないなら撮る。(どっちでもない)あんたみたいのがいちばんどうしようもない」でした。きついなあ😣でもそうかも。
とても良い作品と思いましたが『ゆれる』は超えないかなあ。役所広司は素晴らしいけど。
★★★★★★★