2012 フランス/スイス 94分
スイスの高級スキー場で窃盗を繰り返して生計を立てている12歳の少年シモンとその姉ルイーズの日常いや~これ良かったです~☆
久びのヒットでした!!
↑シモンの腕を御覧ください。この眼鏡全部自分で盗んだものなんですがそれを街頭で捌こうとしているところです
どうですかこの慣れてる姿。この道長いのでとでも言わんばかりですね
商魂逞しいです
これには理由がありシモンとルイーズは二人だけで生きているんだけど(他に頼る身内はいないらしい)お姉ちゃんがダメダメで仕事をしてもすぐ辞めちゃって生活力皆無なのでシモンが窃盗品で何とかその日を凌いでいるというのが現実
このお姉ちゃんのダメ度は超ぶっちぎりでいい大人なのに日々の食事もシモンに
「食事はどうするの?」
と訊く。これは
「今日の私のご飯はあるんだよね?(ちやんと調達してくれるんだよね?)」
と言う意味
それに対しシモンはお姉ちゃんを飢えさせない様に日々奮闘する(窃盗を繰り返す)
で、お姉ちゃんは何をしているかというと日々男とほっつき歩いている
あるいはシモンの窃盗品を売ってゲットしたお金を全部使ってしまったり
シモンが調達してきたお金で呑みに行って潰れているところをシモンが助けに来たりとまぁとにかく救い様が無いダメダメ人間
それでもシモンは唯一の身内だからお姉ちゃんを慕っていていつも傍にいて欲しいと思っている
ある晩寂しいシモンはお姉ちゃんと一緒に寝たくてお姉ちゃんの寝ている部屋に行きお金をあげるから一緒に寝て欲しいと言う
お姉ちゃんは超うざいという表情でシモンの提案した金額を吊り上げる
それでもシモンはお姉ちゃんの傍にいたい一心でありったけのお金をお姉ちゃんに渡す
お姉ちゃんに言いたい
「あんたそれでも人間か?」
何とも切ないシーンでした(T_T)
でもこれって実際にありえることなんでしょうか?
まずシモンは小学生の年齢だが義務教育は受けていないのかと疑問
物語は冬休みの設定らしかったので冬休み中のアルバイトなのかなと思ったけどあのお姉ちゃんじゃもしかして学校に行っていないのかも知れない
でもそれは行政が放っておかないと思うけどその辺りは説明が無いのでよく分からなかった
シモンは窃盗品を近所の子供たちやスキーリゾートで働いているシェフたちに売っていたが買う方も窃盗品と分かっていて買っているのも不思議だった
私はこの映画を見ていたらダルデンヌ兄弟の作品を見ている様な気持ちになった
ダルデンヌ兄弟の作品もヨーロッパが舞台でぎりぎりのところで生きてる人々の話で青少年が主人公なのでとても重なるところがあった
例えば『ロゼッタ』もロゼッタのママはアルコール依存症でロゼッタも具合が悪そうで生活環境は超過酷だったし『ある子供』のブリュノは自分の子供を売ってしまうという史上最低の奴だったし
こういう地に足が着いていない希望の光が見えない暮らしぶりの(とりつく島が無い日々というか)そういう刹那的に生きてる人たちの姿がとても重なった
あと登場人物たちの心情がよく伝わるところも共通していると思いました
これらの人たちは一見ろくでなしだったり非人間的な言動をとったりするんだけどでも心のそこの部分には人間らしい部分も持っている
ちゃんとそれも描かれているんです
だから見終わったあとにより印象に残るんですよね
あとこれは私の個人的感覚だけど主人公の男の子がBILLY ELLIOT(リトル・ダンサー)のビリーと重なりました
あの頃のジェイミー・ベルとシモンの容姿が似てるな~と思った(ひょろっとしてる)というのもあるけどビリーの年齢が11歳の設定だったので二人は丁度同じ年頃の男の子です
でもそれで思い出したんじゃなくてシモンが内から溢れる感情を雪山の上を転がって表現するシーンを見た瞬間にビリーが街中を疾走するシーンが脳裏に浮かんだのです
あの時のビリーも溢れ出る感情を爆発させていたな~と
いつの時代も子供は純粋
それを周りの大人たちが分かってあげなければいけない
ビリーは自分を理解してくれる人が傍にいたから素晴らしい将来が開けた
そこがシモンは違うのですがシモンの逞しさをもってすれば明日を生きぬくことができるでしょう
彼には商才がありますしね(それを正しい形で生かさねばなりませんが)
でもその前に彼には純粋な愛情が必要です
それが一番大切なことです
ルイーズしっかりしてね(T_T)
しかしダメダメな大人が出てくる物語ってどうしてこんなに印象に残るのでしょうね
(^_^;)
最近見た中では
俺の笛を聞け もインパクトがありました~
あれのダメダメお母さんも酷かったな~
因みに『俺の笛を聞け』はベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員グランプリ)(2010)、
『シモンの空』は同映画祭特別賞(2012)受賞作品だそうです
両方とも良い作品なのでお勧めいたします☆
因みにルイーズ役の女優さん(レア・セドゥさん)どこかで見たな~と思ったら『美しいひと』(仏2008)で見たのでした
髪の色違うと印象違いますね
この作品は
クレーヴの奥方 (未読)を舞台を現代に変えて映画化した作品だそうですが一言で言うと三角関係の話で同じ学校に通う男の子とその学校のイタリア語教師が両方彼女にメロメロになっちゃうのですがこの作品のレア・セドゥさんを見てこういう人にはメロメロになっちゃうだろうなぁと思っちゃいました
小悪魔的な魅力ですね
あとルイ・ガレルが好きなので(教師役)羨ましかった(笑)
因みに英語のタイトルは SISTER となってます
このタイトルは核心をついているいいタイトルと思います
フランス語は全く分かりませんがフランス語の辞書を見て推測するに原題の意味はおそらく
高所の子供という意味ではないかと思いました
シモンが住んでいるところは山の麓にあり彼はいつもロープウェーで上まで上がって仕事していたからです
TV(BS)にて
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