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牛の鈴音

 
 
2008 78分 韓国
 
 
78歳の農夫チェお爺さんは若いときから農業一筋
この30年間は連れ合いのお婆さんと40歳の老牛とともに来る日も来る日も畑を耕し続けた
地方の農村も時代の波とともに近代化して行く中お爺さんは頑固に手仕事と(牛に健康な草を食べさせたい一心で)無農薬に拘っている
お爺さんとお婆さんはこの老牛のお陰で9人の子供たちを育てることができたと感謝している
 
お爺さん、お婆さんと老牛との生活、絆を牧歌的に綴ったドキュメンタリー
 
 

 
 
存在を知った時に是非観たいと思っていたのですが幸い最寄の館で上映されました
↑その館の外看板なのですが左側の貼り紙(暗くなっている部分)には一週間限定上映、右側にはメンバーは500円で観られる旨が書いてありました
 
 
 

 
 
 
とても素晴らしいドキュメンタリー作品でした
韓国で300万人を動員しインディペンデント作品では歴代1位の興行収入に輝いたというのも分かる気がしました
 
出演者はお爺さんとお婆さん、牛、だけでその他(村人、街人、おじいさんとお婆さんの家族等)はあくまでも脇役です
 
 
お爺さんとお婆さんと牛が暮らす山間の村の風景がとてもほのぼのとして美しく季節の移り変わりを赤とんぼやバッタや季節ごとの花々で描いていていたのが詩的で素敵でした
そういう景色を背景に牛の顎のあたりに付いている鈴の音が優しい音色で心地よく響いていました
 
牛は時々モウ~と鳴きお爺さんは時々話をするけどおしゃべりというほどではなく、もっぱらのナレーター役はお婆さんでまぁとにかく愚痴が多い(笑)
内容は「この人と結婚したお陰で苦労しっぱなし。人生は悲しい。」といったことを口を開けば言うのだけれど子供たちが来たときは嬉しそうだったしお爺さんが具合が悪そうなときには「あんたが死んだら私も後を追うよ。」というあたりは愚痴を言いながらも自分の人生に納得しているんだろうなと思ったけれど
 
 

 
 
お爺さんは時々牛にきつくあたるんだけれどお婆さんがうちも農薬を使おうと頼んでも牛にあげる草のために絶対に農薬を使わないところや「人より牛が大切だ」と言った通りに最後まで手放さなかったところにお爺さんの牛への不動の気持ちがよく見て取れます
 
牛は来る日も来る日もお爺さんを乗せた荷台を疲れた足でゆっくりと引いてそこに乗っているお爺さんはいつも転寝をしているように見えて、でも畑でお爺さんは毎回(長年の畑仕事のせいで折れ曲がってよろよろの)足で牛の為に自分がよろめくくらい重い草(無農薬の!)を沢山刈って牛に与えている
 
この二人のバランスを見るとどう見てもお爺さんに重労働させられている牛の方が分が悪い気が私はしたけれど(牛にだってもっと楽ができる人生があったかも)お互いが無くては生きていけない存在には違いありませんでした
 

 
 
 
 
私はこの作品を見ていたらロベール・ブレッソン監督作品バルタザールどこへいくを思い出してしまいました
 
これはバルタザールというロバの一生を描いたお話でバルタザールは人間の勝手のせいであちこちを転々とする波乱に満ちた一生を送る
その点が一所に30年暮らしたこの牛とは違うけれど流浪の人生であっても定住であっても共に人生は楽ではないことに変わりはない
バルタザールも農作業をさせられたりサーカスに在籍していたり人間からいじめに遭ったりと苦労が絶えなかったけれどこの牛も新入りの若い牛に角でつつかれて傷ができたりお爺さんにやつあたりされたり老化して傷ついた皮膚に蝿がたかったりしていたのを見て牛もロバも人生とはかくもしんどいものだとm(__)m
もちろん人間も
 
お婆さんの愚痴「人生は悲しいね」を思い出します
(T_T)
でもこの牛はきっとそんなこと思っていない
何の疑問も持たずに毎日畑を向かうのでしょう
その姿がまたいじらしい(T_T)
 
バルタザールどこへいくを見たときバルタザールは言葉を話さないけれどバルタザールの瞳を見れば気持ちは一目瞭然と思った
この牛もそうだった
 
牛は最期の時かそれに近いときに一筋の涙をこぼした
私にはそれが寂しそうに見えた
「ずっとお爺さんとお婆さんと一緒に畑に行きたかった」
とでも言っているように見えた
 
そこがバルタザールの最期とは対照的だった
 
どちらが幸せなのかは分からないけれど
 
 

 
 
 
良質のドキュメンタリー作品と思いますが惜しむらくは一部やらせの部分があることです
これは本当に残念でした
誰が見てもやらせと分かる演出で何故こういうベタなことをしたのかなと
ドキュメンタリーでやらせはやめてほしいm(__)m
 
しかしそれを差し引いても素晴らしい作品と思います
 
こういう素晴らしい作品を500円で見られたのはとてもラッキーだったと思います
 
全国区上映ではないようですができるだけ多くの館で上映してほしいと思いました
 
 
お爺さん曰く
 
「休むのは死んでからだ。それまでは一生働く。」
 
怠惰な私の耳には痛かったけど逆に言ってこれだけの長きに渡って一つのことを極めるのは羨ましいとも思いました
それも素晴らしいOLD PARTNER(これが原題です)と共に(T_T)
 
 
☆☆☆☆☆☆☆☆
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

コメント

No title

フウさん


初めまして
ようこそいらっしゃいました
(*^_^*)


私の知人にも子供の頃家に牛がいたという人がいました

やはり農作業用の牛だったそうです

私は周りに家畜がいなかったので実感できないのですがフウさんの様に家畜とともに過ごした方にはこの映画は特に特別なものなのではなあかと思います

No title

友→友でコメント出来て良かった。
フウも子供の頃学校行く前に牛に餌をやるのが日課だった。
家族同様の牛、映画のあらすじ見ただけで沸々と思い出されます。

No title

しげさん


朴訥とした感じの作品だけにやらせ部分はとても浮いていましたm(_ _)m


それでも観る価値のある作品だと私は思います
(^-^)v

No title

これは観たかったけど時間が合わなかったんですよね~
あ、そうなのか~やらせな部分もあったんですねぇ
たしかにそれは残念ですね。
それでもいい作品って事はなければもっといい作品って事ですもんね~

No title

私のメッセ受信範囲はお友達のお友達までにしています

No title

わるい子さん

本日体調不良につき又後日お話しましょう

とりあえずメッセを受信できるようにしてくださるか日記かブログをやっていただくかでなければ私のメッセを書く場所がなくまともにお話ができません

No title

わるい子さん


いえいえp(^-^)q

又遊びに来てくださいね
( ´∀`)♪

No title

そうですね(笑)
ありがとうございます

No title

わるい子さん


いえいえ単純ではなくとても深いコメントです!


う~ん・・・この牛の場合は明らかに労働基準法違反なので(笑)話せたら厳しい苦情が出るかも(^^;)


でもねぇこの牛表情もとても優しいんですよ
だから言っても「少し休ませて」くらいかなぁ
そう思うと又切ないんですけどね(T^T)


お爺さんは牛の気持ち分かっていたんじゃないかと思います

No title

こんにちは(笑)
お話を見させて頂いて…
あらためて思った事があらます

「動物と話せたらいいな」
俺は牛さんもきっと心を人並に持っていて 辛い時は辛いと言いたいんじゃって思います。

気持ちがわかったらそれも辛いのだけど…
わからない方が後悔するんでは…ってね

単純なコメントですいません。

No title

りゅうちゃん


牛は物言わないだけに見ていると胸がつまるものがありました
(T^T)


この牛とても優しくて新しい牛が生んだ子牛がお母さんじゃなくてこの牛にまとわりついていたのが印象的でした


りゅうちゃんのところのお嬢さんのごとく牛もそれぞれ性格が違い新入りの牛は働きたくない性格だったみたいでやはりこの老牛はおじいさんにとって良い出会いだったんだなぁと思いました

No title

最初の映像を見てから、最近涙もろい私はティッシュを持って、ブログを読ませてもらいました。
こういう映画はとても弱いです(;0;)
牛さんの一筋の涙を見たら私も泣けてしまいました。
やらせもあるようですが、かみえるしゃんのブログを見ていて素敵なお話しだな~って思いました。

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三匹のにゃんずと地味に暮らしています。
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