
2022 129分 韓国
「そして父になる」「万引き家族」の是枝裕和監督が、「タクシー運転手 ~約束は海を越えて~」「パラサイト 半地下の家族」のソン・ガンホをはじめとする韓国のスタッフ・キャストとタッグを組み撮り上げたロード・ムービー。何らかの理由で親が育てることができない赤ん坊を引き受ける“赤ちゃんポスト”を題材に、赤ん坊の横流しに手を染める男たちが、ひょんなことから我が子を手放した母親と一緒に養父母探しの旅に出るさまを実力派俳優陣の豪華共演で描き出す。第75回カンヌ国際映画祭ではソン・ガンホがみごと主演男優賞を受賞。共演はカン・ドンウォン、ペ・ドゥナ、イ・ジウン、イ・ジュヨン。
古びたクリーニング店を営むサンヒョン。借金に追われる彼は、“赤ちゃんポスト”を運営する施設で働く若い男ドンスと手を組み、赤ん坊をこっそり連れ出しては、新しい親を見つけて謝礼を受け取る違法な商売をしていた。ある時、赤ん坊を連れ出した2人の前に、思い直して戻ってきた若い母親ソヨンが現れる。ちゃんとした養父母を見つけるためと言い訳した2人に、自分も同行すると言い出すソヨン。こうして思いがけず赤ん坊の母親と一緒に養父母探しに旅に出るハメになったサンヒョンとドンス。そして、そんな彼らの行動を、現行犯で逮捕しようと目論む2人の刑事が執拗に監視していたのだったが…。
allcinemaより
普通に面白かったです。特にドラマチックな展開は無いので脚本自体は平坦かもしれませが、役者が良かったので飽きませんでした。
ストーリーは地味でしたが印象に残るシーンは幾つかありました。最初の方で長い階段下の低い土地のシーンがありましたが、あれは『半地下の家族』で出てきた場所でしょうか。あれ?と思いました。同じカメラマンですが。雨を多用していたのも印象的でしたね。特に実際には雨では無いのですが、泊まっていた宿の窓から外を眺めながら上から落ちてくる水を手を伸ばして触れるシーン。「雨じゃないよ」「雨と同じでしょ」という会話と共に印象に残りました。ドンスとソヨンの観覧車のシーンも良かったなあ。個人的にいちばん好きだったシーンはペ・ドゥナ演じる刑事が、夜に張り込みの車の中から身内に電話をかけてセンチメンタルなことを話して涙ぐむシーンです。いつもは強気でバリバリの仕事人なんだけど人間らしさを垣間見せた部分でした。ストーリー的にはさほど必要なかったシーンかもしれませんが、私は好きでした。このシーンを見て『アンビリーバブル たった1つの真実』のトニ・コレットを思い出しました。やはりバリバリの警察官の役でしたが夫(夫も警察官の設定でした)にだけ弱みを見せるシーンがありました。彼女が夫にDo you love me?と訊き、夫がニコッと笑ってI do.と言うシーンがとても素敵でした。先のペ・ドゥナのシーンと共通しているなと。誰もが愛を必要としていてそれを確認したいときがあるということですね。特に警察官の様な過酷な仕事はそうなのかもしれないですね。メインキャラの話じゃなくてごめんなさい😅ペ・ドゥナは『私の少女』でやはり子供絡みの警察官役をやっているのでキャラが被りました。
一つ疑問だったのはサンヒョンとドンスが人が良すぎたところ。二人とも人情家なんですよね。元から悪どい商売なのにあんなお人好しでできるのかなと。しかも前からやっているのですよね。突然とても良い人になったかの様な。サンヒョンと言えば彼が家族に見捨てられるシーンはとても悲しかったです😭💔
残念だったのは結末。尻すぼみ感がありました。サンヒョンのしたことには疑問が残ります。他も安易な感じがしてどうもすっきりしませんでした。もう少し深みが欲しかったです。
子役の男の子がとても可愛くてひょうきんで和みました👦💓
たまたま見たクローズアップ現代で本作品が取り上げられていました。監督が「命をどう肯定できるか」を考えながら撮ったと言っていました。先日観た『PLAN75』も同じテーマだったと思いました。
私は『万引き家族』よりは好きでした。
★★★★★