パリ13区
- 2022/07/12
- 23:39

2021 105分
フランス
「預言者」「君と歩く世界」のジャック・オーディアール監督が「燃ゆる女の肖像」のセリーヌ・シアマと「ダブル・サスペクツ」のレア・ミシューとの共同脚本で撮り上げたラブストーリー。アメリカのグラフィック・ノベル作家エイドリアン・トミネの短編3つを下敷きに、パリの再開発地区である13区で男女4人の迷える若者たちが織りなす恋愛模様を、美しいモノクロ映像でリアルかつ繊細に描き出していく。出演はルーシー・チャン、マキタ・サンバ、ノエミ・メルラン、ジェニー・ベス。
コールセンターで働く台湾系フランス人のエミリーは、ルームシェアを希望するアフリカ系フランス人の高校教師カミーユと出会い、意気投合した2人はすぐに男女の関係に。しかしエミリーの募る想いとは対照的に、束縛を嫌うカミーユはあくまでもルームメイトとして接し、それ以上の深い関係にはなろうとしなかった。同じ頃、32歳で大学に復学したノラは、年下のクラスメイトたちに馴染めず、居心地の悪さを感じる日々。ある日、金髪にウィッグをつけてパーティに参加した彼女は、有名ポルノ女優の“アンバー・スウィート”と勘違いされ、大学に居づらくなってしまうのだったが…。
allcinemaより
ジャック・オーディアールとは知らずに仏映画が好きなのと(仏映画自体あまり上映されないので)、ストーリーに興味があったので観ました。
なかなか良かったです。普通の人の日常を描いた群像劇。テーマはセックスから見るコミュニケーション。孤独感。生き辛さ。仕事と住宅。家族。等がオーディアールが長年暮らし、とても大好きでよく知っているというパリ13区で展開されます。
主要人物はエミリー、カミーユ、ノラ、ルイーズ(アンバー・スウィート)の4人でエミリーはセックス依存症でカミーユも若干そんな感じ。二人とも勝手に生きている。エミリーがロンドンにいるお母さんに頼まれているお祖母ちゃん(エミリーの家の近くの老人ホームにいる)の面会を、お祖母ちゃんが認知症になったのを良いことにエミリーがルームメイトの女性に頼んだのは呆れた。ノラは臆病で複雑で繊細。ルイーズはチャットのシーンしか無いのでよく分からないが、接触してきたノラを受け止めてあげる優しい人だった。
私が本作に興味を持ったのは「セックスから始まった関係とその後」に興味があったのですが、エミリーとカミーユの関係は、まあ紆余曲折ありましたが、結末は納得がいかないものでした。とても安易だし不自然。特にカミーユの気持ちの変化が理解できない。演出(絵的に)はとてもお洒落。でも言ってることは、
え?('_'?)?だった。対してノラとルイーズの結末はあまりにもドラマチックで素晴らしすぎた。あの公園のシーンは。。。息を呑む素晴らしさだった。『去年マリエンバートで』のどのシーンよりも好きだった。それはリアルだったから。私にはこのシーンが本作でのハイライトでした。あれはフランス映画ならではかな。オーディアールお見事です。
オーディアール作品は『ディーパンの闘い』(とても好きでした)以来でした。今サブスクにハリウッドスターたちを起用した前作『ゴールデン・リバー』(本作も気になっていました。リズ・アーメッド出てるし💓)が来ているので見ようと思っています。前作がお金がかかったであろう大作?だったので、その反動で本作はこじんまりとまとめたのかなと。でもなかなか良い作品だと思います。
パリ13区についてオーディアールが分かりやすく話している資料がこちらにありました。読んでいてなるほどーと思いました。ここ10年から15年で再開発されている近代的なパリを象徴する区域だそうです。英語ですがご興味のある方はどうぞ。一番下のところです。
★★★★★★