サバカン SABAKAN
- 2022/09/18
- 23:14

2022 日本 96分
これが長編デビューとなる金沢知樹監督が80年代の長崎を舞台に、2人の小学5年生男子のひと夏の小さな冒険を瑞々しく描いたノスタルジック・ドラマ。主演は番家一路と原田琥之佑。尾野真千子、竹原ピストル、草なぎ剛らが脇を固める。
1986年、夏の長崎。ちょっと大人しい小学5年生・久田はある日、家が貧乏なせいでクラスの嫌われ者だった竹本から思いがけない誘いを受ける。それは、山を越えた先にあるブーメラン島にイルカを見に行こう、というものだった。翌日2人は、久田の自転車に乗ってブーメラン島を目指すのだったが…。
allcinemaより
以前劇場で予告を観て気になっていたので観てきました。こういうタイプの映画を久しぶりに観たのもありますが、純粋にとても良かったです。『スタンド・バイ・ミー』in 長崎という趣ですかね。ノスタルジー満載で風景も美しく、ぎゅっと胸が締め付けられる作品でした。随所に鏤められているお笑いも完全に昭和のそれだし(監督がお笑い芸人だったということで、笑いのテイストに拘っているということに納得)、家族の食卓も畳の上のちゃぶ台を皆で囲む風景が懐かしくて昭和の人間にはたまりませんね(時代設定は昭和から平成に移る頃ということでしたが、私の感覚ではほぼ昭和でした)。監督さんが長崎出身ということで、故郷への深い愛が溢れている作品と感じました。
なんと言っても主演の少年二人が映画初出演というのがびっくりの素晴らしさでした。公式サイトに二人の作文があり、それがとても素晴らしいのでご興味のある方は是非見てみてください。特に竹本君役の原田君(子沢山の家の長男役)、自分は一人っ子なので弟や妹が可愛くてとても幸せだったというコメントがホロリと来ました😢💘
これが現実だったら二人の冒険は小学生にとっては死と隣り合わせと言うか、生きて帰っては来れないと思われるあまりに無謀なものでしたが(だってブーメラン島は素人が見ても遠い。大人にも不可能に思えます)、そこは映画なので上手い具合に何とか事なきを得ます。二人にいちゃもんをつける雑貨店の夫妻と不良たち以外は全員いい人たちなのもとても良かった。竹本くんと弟妹たちは色々大変だったけど、ちゃんとサポートしてくれる人がいたのも救われました。久田くんの父ちゃん母ちゃん役、竹原さんと尾野さんも昭和のお父さんとお母さんで和めてとても良かった(父ちゃんが歌う昭和の名曲も歌詞が違っていたと思うが、あえて軽い感じで歌も上手くないのが良かった)。物語の展開は定石通りでしたが、それも良かったと思える映画でした。替え歌シーンは別に無くても良かったと思うけど(子供はああいうことをする。自分もした😆とは思った)。竹本くんが冒険譚に残した記は胸を打ちました😭✨✨
本作を見て思ったのは竹馬の友がいる人は本当に羨ましいなと。スタンド・バイ・ミーの4人はその後は結構ビターな展開でしたが、本作は。。。ネタバレになるので書きませんが、友情というのは素晴らしいものであり、子供の頃の思い出というのはかけがえの無いものだと本作を観て思いました。彼らの冒険はたった一日で、島にいたのもそんなに長い時間ではない。でもそれは二人にとって永遠の時だった。
思いがけず良い作品に巡り会えて良かったです‼️
今年観た中でトップ5に入るかも。
★★★★★★★★