ザリガニの鳴くところ
- 2022/11/21
- 08:40

2022 125分 アメリカ
日本でも話題となったディーリア・オーエンズの世界的ベストセラー文芸ミステリーをリース・ウィザースプーンが製作を務めて映画化。アメリカ南東部の湿地帯を舞台に、ひとつの殺人事件の謎に包まれた真相を、容疑者とされた少女の過酷な生い立ちと淡い初恋の行方とともに美しい映像で描き出していく。主演はTV「ふつうの人々」のデイジー・エドガー=ジョーンズ、共演にテイラー・ジョン・スミス、ハリス・ディキンソン。監督は「ファースト・マッチ」のオリヴィア・ニューマン。
1969年、ノースカロライナ州の湿地帯。ある日、裕福な家庭の青年チェイスの変死体が発見される。事故と事件の両面から捜査を進める警察は、やがて湿地帯に一人で暮らす若い娘カイアに疑いの目を向ける。カイアは6歳の時に両親に捨てられ、以来学校にも行かずにたった一人で自然を相手にたくましく生き抜いてきた。それゆえ村では異質な存在として、人々から“湿地の女”と呼ばれて蔑まれてきたカイアだったが…。
allcinemaより
原作は未読。とても面白かったです。私は話が複雑だとついていけませんが、ストーリーはとても分かりやすかった。私が分かるのだから誰が見ても分かります。まずそれが良かった。そして落ちが意外でびっくり😮そこが肝ですね。今回は見事に推理が外れました。
疑問に思ったのはカイアは6歳の時に一人になったこと。父親がDVだったのでまず母が出ていった。それから順に姉兄たちが出ていき父と二人きりになり最後に父も出ていった。ここが疑問ですね。母は精神を病んでしまった様だったので仕方ないとして姉と兄が一人も末っ子(カイア)を連れていかないというのはあり得ますか?それと6歳の子が一人暮らしをしていたことに違和感があります。いつの時代もストリートチルドレンはいたと思いますが、カイアは自分の家に一人で暮らしていたんですよね。それを街の人は皆知っていた。ここがあり得ないと思うのですが。6歳の子が一人で暮らしていたら普通はおそらく泥棒や変質者に襲われるでしょう。そういうこと無くして成長できたのが信じられないし、福祉の人がカイアを訪ねて来たのがカイアが思春期になった頃でした。それまで何していたのかという話ですよね。雑貨店の夫妻や裁判で弁護を担当した弁護士の様にカイアをサポートしてくれる人はいましたが、そもそも未成年(まだ子供)の女の子が一人暮らしというのがあり得ません。行政の手が届かなかったとしても地域のコミュニティはどうなっていたのかと思いました。普通は孤児院の様なところに行くのでは。戦時中や大恐慌時代じゃあるまいし。と思うのですがどうなのでしょう。
そこが非現実的と思いましたが、それ以外は面白かったです。遺体で発見された男は死んで当然の屑野郎で、『彼女がその名を知らない鳥たち』の黒崎や水島を思い出しましたけれども。
一つ残念だったのは男が死んだ経緯が描かれないことです。死んだ現場が示されるだけ。どの様に死んだのかは描かれない。個人的には再現ドラマで見せてほしかったですね。そうすれば何があったのかがよく分かるので。敢えて描かれないのでしょうし、想像はつくのですがやはり映像で見たかったです。
☆以下はぼかしてはありますが、これから見る人は読まない方がいいかも。
それとあれですね。あれは何故あそこにある?普通は無いよね?想像はつくけど総合的に考えるとあそこには無いよね。そもそもあそこにはいつからあったのか?それも謎ですね。ここもちょっとすっきりしなかったし安易に思えましたが。でもストーリー的には重要ポイントですが。。。うーん。。。🤔
この作品を見て思い出したのが乾きと偽り。(☆☆プチネタバレ注意☆☆)遺体が発見されたのが水辺付近。毒親を持つ女の子。意外な場所にあったエビデンス。が共通しています。一番思ったのは「毒親は諸悪の根元であり、人生で最も不幸なこと」ということでしたね。
本作(ザリガニの鳴くところ)は舞台が湿地帯というところが、事件そのものもカイアの人生にも直接繋がっているところに唸らされました。乾きと偽りは逆に干ばつ地帯が背景になっており、主人公のヒリヒリした気持ちと干ばつがリンクしていましたが、舞台設定って大事なんだなあと思います。
久しぶりに面白い映画を観ました。個人的には雑貨店の夫妻と弁護士役のDストラザーンの好演が印象に残りました。
エンドロールを見ていたら、エンドロールに使われているテーマ曲(カロライナ)のクレジットにテイラー・スフィフト(written and performed by)とあってびっくりしました😮彼女とは思えない暗くて重い曲だったので。何かと話題になっている彼女ですが、やっぱり才能ある人だなあと。曲は歌詞も含め作品に合っていると思いました。
★★★★★★★