リコリス・ピザ
- 2022/12/06
- 11:30

2021 134分
アメリカ
「マグノリア」「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」の名匠ポール・トーマス・アンダーソン監督が1970年代のハリウッド近郊の街を舞台に、年上の女性に恋した青年の瑞々しくもままならない恋愛模様を、実在した人物やエピソードを散りばめつつノスタルジックに描いた青春ラブストーリー。主演は三姉妹バンド“ハイム”のアラナ・ハイムと、アンダーソン作品の常連だった故フィリップ・シーモア・ホフマンの息子クーパー・ホフマン。ともに本作がスクリーン・デビューとなる。共演にショーン・ペン、トム・ウェイツ、ブラッドリー・クーパー。
1973年、ハリウッド近郊のサンフェルナンド・バレー。高校生のゲイリー・ヴァレンタインは子役として活躍し、自信に満ち溢れていた。ある日、カメラアシスタントをしている25歳の女性アラナと出会い、一目ぼれしたゲイリーはすぐに猛アタックを開始する。アラナはゲイリーの強引さに閉口しながらも、やがて食事の誘いを受け入れ、2人は次第に距離を縮めていく。そんな中、ゲイリーの共演者の一人と出会い、そのまま付き合うようになるアラナだったが…。
1973年、ハリウッド近郊のサンフェルナンド・バレー。高校生のゲイリー・ヴァレンタインは子役として活躍し、自信に満ち溢れていた。ある日、カメラアシスタントをしている25歳の女性アラナと出会い、一目ぼれしたゲイリーはすぐに猛アタックを開始する。アラナはゲイリーの強引さに閉口しながらも、やがて食事の誘いを受け入れ、2人は次第に距離を縮めていく。そんな中、ゲイリーの共演者の一人と出会い、そのまま付き合うようになるアラナだったが…。
allcinemaより
念願のリコリス・ピザ、ちょっと前ですがやっと見ました。一言で言うと雰囲気ものなので、どこまでこの世界に入り込めるかで評価が分かれる作品と思います。私は見終わって雰囲気、カメラワーク、サントラはとても良いと思いましたが、ストーリーは「で?結局この人たちは何をやっていたの?」と思いました😐
で、解説を読んでみたのですが、それで何を描かれていたのかがよく分かり、作品がより輝きました。この作品の登場人物には実在のモデルがいて、フィリップ・シーモア・ホフマンの息子(お父さんに体型や顔がそっくり)演じるゲイリーもそうで、作品中彼はウォーターベッドやピンボールのビジネスをやっていましたが、事実だった様です。ブラッドリー・クーパーやトム・ウェイツが演じた人物もモデルがいて、性格や台詞もその人たちをオマージュしている様です。詳しくは解説(ネット上にも沢山あると思います)を読んでみてください。
年上女性のアラナと彼女を好きになったゲイリーのストーリーは、これも解説で読んだことですが、その昔PTA(ポール・トーマス・アンダーソン)がまだ子供の男子が大人の女性を口説いているのを目撃して、あの二人が本当に付き合ったらどうなるのか?と思ったのが元ネタで、ずっとそのアイディアを長年温めてきたものが作品化された様です。ブラッドリー・クーパーやショーン・ペンは知りませんが、それ以外の出演者は(主演の二人も)PTAのよく知る人たちでまとめたということみたいです。PTAのパートナーのマーヤ・ルドルフも出てましたね。
こういう背景(この時代のアメリカンカルチャーと舞台となっているこの界隈のこと)を知ってる人じゃないと、何なのこれ?ってなると思いますが。私はスター誕生(1976/2018)絡みでブラッドリー・クーパーが出ていることくらいしか分かりませんでした。ディカプリオのお父さんや主演のアラナさんのファミリーやPTAのファミリーが出ていたり、多分他にも細かいネタが沢山入っているのかと思うので、分かる人には楽しいのかも。
最初に書きましたが個人的にはサントラとカメラワークが凄く良かったです。特にlet me roll itのシーンはゲイリーの気持ちと曲が完全にシンクロしていて、それを完璧に表現しているカメラワークも最高で、個人的にはここがベストシーンでした。この曲が収録されているアルバムは1973にリリースされていて、丁度この映画の設定と同じ年ですね。その頃の自分(中1くらい)も母親に「ポールの新譜出たから買って⁉️」と頼んで、もらったお金を握りしめてレコード屋さんにLPを買いに行ったことを思いだし、懐かしくて泣けます😭
あとエンドロールの二人の仲睦まじい宵闇(明け方?)の街を歩く後ろ姿。あれは切なかったですねー😭普通に考えるとこの幸せは長くは続かないということを象徴しているのが切なかった🙇😢💔その前のクライマックスシーンで一瞬だけカットインするあのシーンも最高でしたね😭😭💘✨✨✨😭😭✨あとゲイリーが間違えて逮捕されて解放されたときのシーン。ネタバレになるから詳しく書かないけどあの間接的な演出凄く良かった。ああいう表現凄く好きです。ブロークバック・マウンテンでジャックが車のサイドミラーに映るイニスを観察していた様な。
主演の二人が演技が初めてというのもびっくりのナチュラルな演技でとても素晴らしかったと思います。クーパー・ホフマンはお父さんが早くに亡くなってしまって色々苦労もあったと思いますが、俳優としては素人なのに有名監督の方からオファーがかかるというのはやっぱり持って生まれた星が違うのですかね。実際役にハマっていたと思うし。アラナさんも三姉妹の中で彼女が抜擢された訳ですが、彼女も適役と思ったし。PTA流石。美男美女じゃないところが良かったです。
どうでもいい話ですみませんが、笠井紀美子が結婚したのが音楽プロデューサーで、その人がミニー・リパートンの彼の有名なLoving youの作者だとは知ってたけど、その人がミニー・リパートンの元夫で二人の間に生まれたのがマーヤ・ルドルフだということを初めて知りました😮つまりPTAは笠井喜美子の義理の息子であるという。でもPTAはマーヤ・ルドルフとはパートナーだけど婚姻関係には無いのですよね。本当にどうでもいい話でごめんなさい😅世の中には知らないことが沢山あります(笑)
PTAの作品はやっぱり好みが分かれますね。明らかに万人向けではない。私は本作は今まで観た中では(全部は観てないけど)好きだったかも。ファントム・スレッドよりは好みだった。
★★★★★★★☆