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ふたつの部屋、ふたりの暮らし


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2019  95分
フランス / ルクセンブルク / ベルギー


長年人目を忍んで愛を育んできた老境の女性2人が、ある悲劇をきっかけに穏やかな日常を奪われ、家族や世間を巻き込んだ非難と軋轢の渦中にのみ込まれていく葛藤の行方を緊張感あふれる筆致で描いた人間ドラマ。主演は「ローザ・ルクセンブルグ」「ハンナ・アーレント」のバルバラ・スコヴァと舞台を中心に活躍するマルティーヌ・シュヴァリエ。共演にレア・ドリュッケール。監督は本作が長編デビューとなるイタリアの新鋭フィリッポ・メネゲッティ。
 南仏モンペリエのアパルトマン。最上階の向かい合う部屋に暮らすニナとマドレーヌは、長年愛し合ってきた秘密の恋人同士。2人のかねてからの夢は今のアパルトマンを売り払い、ローマに移り住むこと。しかし家族のいるマドレーヌは、ニナとの関係も含め、未だ子どもたちに移住の計画を伝えられずにいた。そんな中、突然マドレーヌが脳卒中で倒れてしまう。話すこともできず、娘に介護されているマドレーヌに、単なる隣人という立場ゆえに近づくことも困難になるニナだったが…。



allcinemaより





とてもインパクトがありました。久しぶりに映画を見てぶっ飛ぴました。これを見て思い出したのは『危険な情事』。あの女性はワンナイトスタンドの男性に執着しており、本作の女性たちは相思相愛だったので背景は全く違いますが、尋常ならざる執着心によって常軌を逸してゆくというところは同じでした。シャブロルの『不貞の女』のヘレンの夫を思い出してしまいました。夫はヘレンの不貞を許さず破滅していくのですが、ラスト間際でヘレンに「愛してる。激しい愛だ」と言うシーンが思い出されました。ニナのマドレーヌへの愛も物凄く激しかったです🔥見ていて彼女のマドレーヌへの命懸けの想いに圧倒されました。ニナはマドレーヌへの愛を貫く為なら何でもするでしょう。実際にかなり際どいことをしてしまいます😣彼女の頭の中にはマドレーヌしかありません。マドレーヌが人生の全てなのです。その愛の形は遠くからマドレーヌの幸せを祈るというものではありません。マドレーヌの側にいるのは私。私しかいない。私でなければダメ。それがニナの愛の形です。所謂ストーカー状態ですがマドレーヌもニナを求めているのでそこは一致していますがマドの家族や世間体が障壁となり苦しみます。


本当に激しい激しい愛の形。私が一番思ったのはここまで一人の人を愛し抜くって凄い。に尽きます。ニナの常軌を逸した言動にはマドの家族の気持ちやヘルパーさんの気持ちを思うと共感できないけど気持ちは分かります。


見終わったあとにため息しか出ないような、でも深い愛に感動させられる作品です。ストーリー展開も分かりやすく、各人の人生のバックボーンも分かりやすく共感できる。サントラもカメラワークも印象的。冒頭の少女2人のシーンは意味深だけど愛憎の象徴かと私は思いました。

猫のシーンがとても切ないんです。何故フランス映画には必ず猫が出てくるのでしょうね?ニナと一緒にいるときもニナが心ここにあらずだったので猫にとっては不本意な状況でしたが、あることが起きて猫もピンチになります。廊下にポツンと一匹でいる猫のシーンに胸が引き裂かれました。あの猫は孤立したニナとマドの象徴なのでしょうか?(少なくとも彼女たちにはお互いがいるけれど)。あの猫のその後が気になりました。きちんと保護されますように🙏


私の好きなゲイムービーに人生は小説よりも奇なりという作品があります。熟年ゲイカップルが晴れて結婚した途端に世間の逆風にさらされて困窮していく話です。彼らは意気消沈して弱っていってしまいますが(その様に見えました)、それに引き換えニナはフルパワーでマドの奪還に奔走します。女は強いなあと思いました。


序盤とラストのダンスシーンが肝です。あれこそが幸福な愛の証。愛しあう人たちが穏やかに暮らせる世の中であります様に。


★★★★★★★★★

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