茶飲友達
- 2023/03/13
- 00:28
2022 135分 日本
実在の事件をヒントに、高齢者専門の売春クラブで繰り広げられる人間模様を描いた群像ドラマ。様々な事情から高齢者売春クラブ“茶飲友達(ティー・フレンド)”に関わる高齢者たちの孤独と性に正面から向き合うとともに、クラブを運営する若者たちの孤独や葛藤も丁寧に描き出していく。主演は「サクラダリセット」「ボクはボク、クジラはクジラで、泳いでいる。」の岡本玲。共演に渡辺哲、磯西真喜、海沼未羽。監督は「燦燦 -さんさん-」「ソワレ」の外山文治。
allcinemaより
自分も老境に近づきつつあることもあって本作のテーマ『孤独』に関しては身につまされるところがありました。本作を観ながらずっと脳裏に浮かんでいたのは『PLAN75』です。老いて貧困、頼れる人も仕事も無く死を選ぶというストーリーでしたが、ティーフレンズに携わる人達はティーフレンズ側も顧客側も売春という世界を通して生き長らえようとしていました。
上映後人生で初めて舞台挨拶を見て、その際に監督が言っていたのですが「実際の事件は摘発されたけれどもそのことによって取り残された人達(規約違反によって老人ホームを追い出された人達など)のことを考えると果たしてなにが正義なのか」ということを考えて本作を作ったという旨のことを言っていたのが一番記憶に残っています(全てを記憶してはいないので一語一句は合っていないとは思いますが「果たしてなにが正義なのか」という言葉は言っていました)。
「果たしてなにが正義なのか」
ティーフレンズ代表佐々木マナが自分の仕事をある人に咎められた時に「こっちはプライド持ってやってんだよ!」といきり立っていましたがプライドを持とうがなんだろうが違法は違法です。その時点で言い訳はできません。しかし彼女のビジネスで生活が成り立っていた人達や生きる希望を見いだした高齢者達がいたのも事実です。性欲は高齢になってもある。娼婦は世界最古の職業らしい。オランダでは受刑者にも娼婦があてがわれると聞いたことがあります。高齢になって独り身で寂しさと性欲をもて余している人には風俗が必要でしょう。それは高齢者でなくともそうでしょうね。つまり風俗はいつの時代も需要はある。けれども売春は禁止されている。ではパートナーがいない人の寂しさと性欲は何処でどの様に満たされるのだろうということになりますよね。異性とお茶を飲むだけで満たされるなら簡単でいいのだけれどそうじゃない人が多いから(ティーフレンズで言うところの『玉露コース』をチョイスする人達🍵✨)この作品が生まれた訳ですね。
違法は違法。しかし佐々木マナの言う「正しいことだけが幸せじゃないでしょ」と言うのも事実なんですよね。じゃあ一体どうすればいいの??と考えさせられる作品でした。
ストーリーも分かりやすいし作品中の役者さんはどなたも良かったと思いますが一つ気になったことは運営側(ティーフレンズの代表と従業員。皆若い人達)の複数人の個人的な背景(生い立ちや何故この仕事をしているのかなど)を結構な時間を割いて描いていましたが(丁寧に描かれていたとは思います)、実際に現場で顧客の相手をするティーガールズ(レディース?)達のそれはほとんど描かれていなかったのが逆じゃないのかなあと思いました。この作品の主役は身体を張って現場で働く彼女たちではないの?顧客に関しても口頭で経歴が説明される部分はありますがそれも極簡単だったのでもう少し掘り下げても良かったんじゃないのかと。全部やってると散漫になるのかもしれないけどとりあえずティーガールズに関してはそうした方が良かったと思いました。
印象的だったのは佐々木マナとお母さん。永遠に上手くいかない関係ですね。身内でもそういう人間関係もあるので会わない方がいいです。マナは幼少期にお母さんから愛情を十分に受けられなかったことから困っている人達とファミリーを形成したいと思った訳ですが、彼女の生い立ちには同情しますが本当のファミリーは違法ビジネスでは築けないということに気づいて欲しかったです🙇それを象徴している内容にもなっていて私は「当然だよね」と思ってしまいました。
封切り当初は都内の単館上映だったそうですが現在全国に拡大中の様です。なので自分も1ヶ月遅れですが観れました。実際最近まで存在を知りませんでした。『PLAN75』と同じ様に孤独を抱えて生きている人々にフォーカスした今の時代を象徴するリアルな作品と思います。
監督曰く「隣のシアターでは何百億かけた作品が上映されていますが、こういう映画も一つの映画として是非皆さんに広めて頂きたい」とのことでした。個人的には何百億かけた映画よりもこういう作品を観るために生きています。観れて良かったです。何百億かけたスーパーエンターテインメント作品を好む方にはお勧めしませんが市井の人のヒューマンドラマ、最近の作品では先述しましたが『PLAN75』や『夜明けまでバス停で』などを好まれた方には合うんじゃないかなと思います。
★★★★★★
舞台挨拶の様子です。遠くてピンボケでごめんなさい💦
左から監督、ティーフレンドの顧客役の方、女性4人はティーガールズ役の方たち。右がプロデューサーの方です。
現場の話や裏話を聞けて楽しかったです。
キャスト候補の方達はワークショップに参加されて(ワークョップ参加も選考だったみたいです)総数600何十人。キャスティングは一人のプロの俳優さん以外全てオーディションだったそうです。
因みに当日の観客は20人位…だったかな?それでもこの手の作品としては多い方です。
監督と2ショット撮らせて頂きました(*/□\*)
監督イケメンでした✨
パンフレットは小さいサイズでした。
1000円也。表紙は佐々木マナ役の岡本玲さんですね。
左上が監督のサインです。
シアターで内でスタッフの方が配られていたティーバッグ。
作品内では「玉露コース」など緑茶がフィーチャーされていたので、てっきりお茶かと思ったらコーヒーでした☕
お洒落~😃❤️😃
美味しく頂きました。
すっきりしていてちょっとだけ苦くてグッドでした✨
コーヒーの説明書が入っていました。
因みに自分が住んでる地域のシネコンでは舞台挨拶がたまにあるところが一つあって、そこには彼の宇宙戦争のレイア姫様も御光臨されたことがありましたが、今回のこのシネコンでは舞台挨拶の舞の字も全く聞いたことがなかったので結構びっくりしました。