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尾崎紅葉著 金色夜叉





やっと読破して感無量です!!(笑)
全部で3年くらいかかったかなぁ(^^;

青空文庫でガラケーで読んでたんですが7割程読んだところでガラケーが壊れて自動栞が入ってた箇所が行方不明になり・・・m(__)m
スマホ(kindle)だったらすぐ探せるけどガラケーだと何千ページも一枚ずつ捲らねばならず元のページまでたどり着けずそれで挫折してました


で、スマホでkindleデビューして仕切り直しました☆
Kindle本当に便利ですね
分からない言葉を触るだけで辞書もひける!
でも昔の言葉だから辞書に載ってないものも結構ありましたが(-_-;)
文語体苦読むのはいつも苦労するけどこれはかなり大変でした
(O.O;)(oo;)
長いし(青空文庫kindle版で本編終わるまでが9470ページ)!

ストーリーは有名すぎるから知らない人はいないと思うけど一応言うと許嫁同士で幸せだった貫一と宮だったが一転宮が富豪に見初められて嫁いだことから二人の人生は転落
というお話です


前置きが長すぎるが(笑)感想はとても面白かったです


☆以下ネタばれ有りにつき御注意ください☆

☆一言で言うなら究極のメロドラマ!!

貫一、宮ともに訣別してから不幸の道まっしぐら
(TへT)殆んど生き地獄
こんなに辛いならイングリッシュ・ペイシェント(メロドラマの大傑作。因みに原作は未読で映画を見ただけですが)のアルマシーとキャサリンの方が最期は悲劇的だが二人は確かに愛し合いそれを決して後悔していないだけ生き地獄の貫一と宮よりずっと幸せだったと思う(T-T)
でもその永遠に晴れることのない心の闇がこの作品の肝だと思います


☆日本語はこんなにも美しいと実感

三島由紀夫は、金色夜叉の名文として知られる、「車は馳せ、景は移り、境は転じ、客は改まれど、貫一は易らざる其の悒鬱を抱きて、遣る方無き五時間の独に倦み憊れつゝ、始て西那須野の駅に下車せり」を挙げ、この名文が浄瑠璃の道行の部分であり、道行という伝統的技法に寄せた日本文学の心象表現の微妙さ・時間性・流動性が活きている部分だと解説し、「『金色夜叉』は、当時としては大胆な実験小説であつたが、その実験の部分よりも伝統的な部分で今日なほ新鮮なのである」[2]と述べている。
  1. ^ a b 三島由紀夫「解説」(『日本の文学4 尾崎紅葉泉鏡花』)(中央公論社、1969年)。三島由紀夫『作家論』(中公文庫、1974年)に所収。
wikipediaより

浄瑠璃はよく知りませんが(時々ラジオで聞いてカッコいいな~とはいつも思う。ドラマチックなので)

>「『金色夜叉』は、当時としては大胆な実験小説であつたが、その実験の部分よりも伝統的な部分で今日なほ新鮮なのである

これは感覚的に分かる気がします
平成の今でもそれは変わりないのだと思います

☆昔の人は純粋で熱かった

今の人はもっとずっとドライで草食系という言葉ができるくらいだからこういう風に一人の人(こと)に執着するエネルギーは無い(人が多いと思う)ので二人のエネルギーに圧倒されました
自分は現実的で諦めが早い人間なのでかの有名な熱海のシーンも寛一の割り切れない気持ちは分かるけどこうなった以上はここまでの縁だったと思うしか無いしそれを来年の月がどうとか言ったり女子に足(!!)を上げても惨めなだけだしよくそういうエネルギーがあるなぁ粘着質だねなんて思ったけどそれは現代人のドライな考え方なので寛一のこの純粋さが今作の核且つ時代を感じるところなんですよね

宮の後悔が殆ど怨念に変わっていく様も凄まじい
現代人ならとっくに唯継(富豪の夫)とも離婚して寛一と復縁はちょっと難しいから別の人と再婚するの様なパターンと思うんですけど時代がそういう時代じゃないので夫は眼中に無く、でも離婚もせず只ひたすら後悔の念だけの生き地獄のみの人生

でも逆に宮を見てると昔の人は今の人より奔放だったなとも思う
数年ぶりでいきなり寛一の元を訪れ(押しかけ)たり同じことを繰り返し繰り返し長々と綴った手紙(今作の中でこれを読むのが一番面倒だったm(__)mだって長いんだもん)を週一ペースで送り続け(ストーカー的!)挙句の果てに何故高利貸しなどになったのかなんて余計なお世話なことまで書き(@_@。
私が宮だったら自分がしたことを思えばそんなふてぶてしいことはできない(><)
でもこの怨念が肝ですよね

あと寛一に想いを寄せる高利貸しの満枝もいきなり寛一のことを噛むなどぶっ飛んでで目点(@_@。
やっぱり昔の人は凄かった!!!(笑)

☆スピリチュアルなシーンがあるのが意外で印象的だった

宮が夢の中で自害した場所の景色や宮の亡骸が百合の花になっていたのを象徴する事象を寛一が旅先で実際に体験する件はそこだけ
「何これオカルトじゃん(@o@。」と感じた
その地で心中しようとするカップルに巡り合うのも神秘的(@_@。
この一連が異質な展開で新鮮だった
オカルトテイストは鏡花が得意だがお師匠様もスピリチュアルな部分があったのだと初めて知った(ていうか紅葉様を読むのはこれが初めてです。他のも読んでみます。)

☆未完なのが残念

エンディングはいきなりぷっつり切れたという感じで不意を衝かれて涙が出た(宮が哀れだったのもあります)
(T_T)寛一的にも宮的にもオチがつかないところで終わっていて中途半端だった(未完だから仕方ないんだけど)
「この位で終わっている方がいい」という意見もある様ですが私はちゃんと終わってほしかったです

最後に個人的なベストシーンは二人が訣別して数年後に偶然宮が寛一を目撃するシーン
その時宮は双眼鏡越しに寛一の姿を発見し打ち震え涙したのでした
ドラマチックですよね(T_T)
ヒッチコックの映画の小道具の使い方くらい粋です
映画『ブロークバック・マウンテン』でジャックとイニスの初遭遇時、ジャックがイニスを車のバックミラー越しに熱く見つめていた位印象的な小道具演出です

話が長くなったのでこの位で

ということで金色夜叉は映画を見るように浸れます!!
未読の方にはお勧めいたします



かみえる的満足度
★★★★★★★☆



蛇足

金色夜叉と聞いていつも思い出す話があります
以前ネット上で見た話です
その人(男性。確か30代位)は若い時に「リアル金色夜叉」を経験してそれからお金持ちになる勉強をし投資に成功して億の財産を築いた
でも表向きは普通の会社員なので資産家であることを同僚たちに知られない様にするにはどうすればいいかという話でした
なんかこの人には悪いけど資産家を隠すにはどうすればいいのかという部分がちょっと笑えます
大富豪なら隠せないけどそうでないなら黙って地味に暮らしていれば分からないのではと
高級車に乗っているのを目撃されたら人に貸してもらったと言うとか(^^;
この話で思いだしたけど以前TVで見た。やはり若くして株で莫大な財産を築いた人が普段カップヌードルを食べてるシーンが頭に浮かびました
でもこれは株をチェックするのが忙しいのでカップ麺は短時間で済んで最適と言ってましたが

話を戻すとまあ珍しい話ではないと思いますがやっぱり貫一と同じ体験をすると良きにつけ悪しきにつけ人生変わるんだなとこの話でも思ったのでした

お金か愛かは普遍のテーマなのでしょうね

でも現実はこと結婚に関しては女性はお金持ちを重視し男性は若くて綺麗な女性を好む

これは時代が変わっても変わらないんだろうなと思います

分かりきってる話で失礼しました(^^;

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