いつかの君にもわかること
- 2023/04/03
- 20:58

2020 95分
イタリア/ルーマニア/イギリス
「おみおくりの作法」のウベルト・パゾリーニ監督が余命宣告を受けた若いシングルファーザーとその幼い息子の絆を描いた感動のヒューマン・ドラマ。残されてしまう最愛の息子のために里親探しを始めた主人公の葛藤と決断の行方を描く。主演は父親役に「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」のジェームズ・ノートン、息子役に本作がデビューのダニエル・ラモント。窓拭き清掃員として働くジョンは不治の病を患い、33歳という若さで余命僅かとなってしまったシングルファーザー。息子のマイケルはまだ4歳で、彼のために新しい家族が必要と、養子縁組の手続きを進める決意をする。マイケルにとって最良の両親を見つけるべく里親候補との面談を繰り返していくジョンだったが…。
allcinemaより
命がテーマの作品を続けて3本観て(すべていまくいきますように/ロストケア)これが最後でしたが(どれだけシリアスな作品が好きなのかと我ながら思う😳)これはまだ幼い息子を残して逝かなければならない、しかも身内は他にいない、本人もまだ若いという状況を鑑みると主人公の心情は本作が一番気の毒かもしれません。66歳で没した作家井上光晴は亡くなる前に寂聴先生に言った。「76なら文句は無いよ。でもまだ66なんだよね。」この言葉が印象に残っているがジョンはまだ33である。過酷にもほどがある。でもどうにもすることができない。
本作は実話にインスパイアされたとあったので実年齢は分かりませんがジョンの様な状況の人がいたということでしょうね。消えゆく命の灯火の中で必死になって子供の為に最善の場所を探したのでしょうね。顔も名前も知らない人だけれどそう思うだけで泣けてくるし立派だなと思います。
ストーリー自体は淡々としており起伏がないのでちょっと体調不良の時に観たということもあって少し眠くなってしまいましたが、父子の最期の日々を淡々と追っているところが本作の醍醐味でしょう。
☆☆☆一部ネタバレ注意☆☆☆
一番印象的だったシーン。裕福な家庭にジョンと息子と女性のソーシャルワーカーとで面談に行ったシーン。最初はいい感じだったのですが結局先方から断られます。そのあとソーシャルワーカーの女性とジョンがカフェの様なところでお茶しながら話すのですが二人とも落胆していて女性も涙目になっていて。それを見た時に大変な仕事だなと😢胸に迫るものがありました。ジョンはとても落胆していて女性にその気持ちを吐露しますが彼女は言います。「成立する方が少ない」。。。やっぱりそうなんだなとしみじみ🙇
ジョン「カフェじゃなくてパブで一杯呑みたい気分だ」
女性「今度はそうしましょう。あなたの身体が大丈夫なら☺️」
ジョン「呑んでも死にはしないだろ」(と言って少し微笑む)。
この一連のシークエンスがこの会話一つとっても何とも切ないと言うかシニカルと言うか。忘れられないシーンでした。現実はとても厳しかったですが彼女の様な献身的な人と出逢えて良かったなと思いました。
タイトルは理想的な場所なんてものはないという意味だと解釈しました。このタイトルもとてもシビアですね。邦題は。。。😅
オチは早めに分かりました。個人的には色々思うところはありましたが理解はできました。とにかく時間がなかったので。。。ジョンはよく頑張りました😭
終盤のジョンの無念な気持ちを爆発させるシーンを見て『残された日々』(グリフィンとフェニックス)のグリフィンのつるはし⛏️のシーンを思い出しました。。。🙇(この世の何人かは何を言っているのか分かってくれるでしょう😢)。RRRのラーマの場合はサンドバッグでしたね🤜💥
マイケルの幸せな人生を祈るばかりです。
★★★★★★☆