
2007 91分 タイ
スマトラ沖地震で多くの犠牲者を出したタイの村を舞台に、バンコクから来た若き建築家と古ホテルを営む美しい女の、静かな愛と痛ましい悲劇を描く
シネフィル・イマジカ(現イマジカBS)の作品解説より
とても好みの作品でした
私は見る前に勘違いをしていまして「痛ましい悲劇」という箇所を見て二人が出逢って恋に落ちたけどそこにスマトラ沖地震の津波が襲い二人の愛は引き裂かれたというお話かと思ってしまったのですがそうではなくて設定は地震後で地震後すっかり様相が変わってしまい復興も進んでいない村が舞台になっていました
その村にビーチのホテル建設の現場監督の青年がやってきて喧騒は好きではないからと寂れたホテルに泊まりそのホテルを営む女性(↑の写真)とお互いに惹かれて恋に落ちるのですが幸せも束の間ある出来事が起き。。。というお話
二人の心理描写が繊細でいいんです
このホテルはかつて女性の両親が営んでいたが地震後両親はホテルを娘に託してこの地を出て行ってしまった
女性は叔父さんと二人でホテルを切り盛りしていて女性の毎日はとても忙しくアッと言う間に過ぎていき自分のことをしている暇は殆どない
その上甥(弟の子)の面倒を母親代わりで見ている
彼女が小さな洋装店という趣のお店で束の間洋服や小物を楽しそうに見ている(けど何も買わない)様子に彼女の質素な暮らしぶりが窺えます
彼女には弟がいるけれど自らをチンピラと名乗り(実際にチンピラでチンピラたちとつるんでいる)姉が再三家に帰って来るようにと促しても帰ってこない
弟が何故そうなったかは分からないが地震と津波で村の様子が一変してしまったことが原因と思われる
彼の様にこの村での生活にストレスを感じ将来に希望を持てずに日々焦燥感と共にその日暮らししている若者たちが描かれている
(舞台の地がおそらく湿地帯の様でホテルの屋上や街の建物の壁や軒先にカビが生えて暗い緑色になっているのが目に付いた。この決して消えない緑色が村の人々の晴れない心と重なった)
そんな中で日々必死に生きている女性は正に掃き溜の鶴に見える
そんな彼女だからおそらく恋をしている暇も今まで殆ど無かったのだと思うが男性が宿に来てほど無く男性が気になり彼がシャワーを浴びている時彼の部屋のドアにそっと耳を当て様子を伺い彼の歌声を耳にして微笑む様子が可愛らしい
二人の関係が近づくに連れて女性がとても可愛くなっていくのも微笑ましい
男性は女性とは対照的に若い頃は好きなことをしていたが生活が荒みある日心を改めて転職をして建築家になった
(そういう過去のせいで父親との関係が険悪だったが転職によって修復されたと女性に話す場面がある。それ以外はこの男性についてはあまり過去がよく見えないけど)
それでも女性の洗濯を手伝ったり果物が好きな女性の祖母に果物をお土産に持って来たりして優しい人に見える
とりあえず過去は色々あったけど今を生きようとしている(生きている)男女が出逢って恋に落ちた
しかし小さな村なので二人のことは村の噂になりドライブ中にチンピラから嫌がらせを受けたりする
それでも二人は惹かれあっていた
そんな時不測の事態が起こりいきなりの意外な展開に驚愕
(((((((゜.゜)))))))
何?????
という感じでした
そこでハタとタイトルの意味に気づいた(@_@。
そうか~そういうことなのか~~。。。
う~ん。。。。。(-_-;)
つまりこれってワンダフル・タウン(素晴らしい街)は各人によって意味合いが違うんだなと
これって『シークレット・サンシャイン』(2007韓国)を思い出してしまいました
愛する亡き夫の故郷で人生の再スタートを切ろうとやってきた母子。何とか落ち着いたかなという矢先に不測の事態が起こる
建築家は仕事で村に来たけれど宿はあえてビーチじゃなくて離れたところに自分でしたのでそこから運命が変わる
まぁ当たり前ですが住む場所によって人生変わりますよね
共にその極端な例を描いた映画ですね
Wonderful Townは人によって評価が分かれていてイマイチな人はイマイチ、好きな人は凄く好きみたいですが私は後者でした
日本と通じる風景も見ていて和みます
万人向けではありませんがミニシアター系が好きな方にはお勧めです
TV(CS)にて
★★★★★★★